ブロックチェーン技術と運送業
ブロックチェーン上に情報として記録できるのは、野菜の生産地情報や暗号資産の取引情報だけではありません。輸送に使われているトラックそのものの情報から、積み荷の情報までを記録、管理することが可能です。
2017年6月にIBMとコロンビアの物流流通サービス企業AOSが、ブロックチェーンとIoTが融合した物流サービスを共同開発していると発表しました。
このサービスは、トラックの状況や積み荷についてだけではなく、積み荷の引き渡し日時、担当者までも記録し、運送状況の透明性を向上することが目的です。ドライバーが商品を盗んだり、不正を行わないようにする監視の目という点においても、ブロックチェーン技術は有用です。
具体的にはトラック車両のデータ、空き容量、ドライバーの名前、積み荷の情報が記録されたRFIDタグをトラックに取り付けます。
このタグから情報を読み取り、トラックがいまどこにいるかなどの追跡情報をブロックチェーンに記録します。
従来はこのような作業は手動で行われていたために、ヒューマンエラーや処理スピードが低下し、労力とコストをかけることでしか管理することができませんでした。また、紙媒体での情報共有も多く、その分のコストもかかっていました。
ですがブロックチェーン技術を用いることで、リアルタイム、そして正確な情報が共有され、積み荷がより安全な状態で運送されることになります。
今まで予測することは困難であると言われてきた配達時間も、天気や交通情報等から算出し、より正確なものとして、届け先に伝えることが可能です。
加えて、トラックの走行距離や稼働時間も管理することによって、ドライバーの長時間労働やトラックの安全性も可視化され、事故や事件も未然に防ぐことにつながります。
日本の運送業にブロックチェーン技術を導入することによる大きなメリット
日本においては労働者減少が叫ばれているため、労働環境の改善や労働者確保に企業は積極的です。長時間労働になりやすい運送業従事者の労働環境改善にも、ブロックチェーンが一役を担います。
BtoB、BtoC、さらにはCtoCサービスも盛り上がりを見せている中で、トラック運送は必要不可欠です。ブロックチェーン技術を用いることで、トラック運送の安全性、透明性が担保されることは間違いありません。さらに、そこで働く人の労働環境改善にもつながることから、ブロックチェーン技術を導入したシステム開発が急がれます。
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