開発途上国との貿易では、生産者に正しくお金が支払われていなかったり、子供が無理をして働かされていたりと、フェアトレードの拡大は容易ではありません。
今回は、カカオ生産に潜む社会課題の解決に向けた取り組みでブロックチェーンが使用された事例をご紹介します。
カカオ生産の課題解決とブロックチェーン活用
フェアトレードとは
フェアトレードは直訳では「公正な取引」ですが、主に開発途上国での生産者の生活や環境の改善を目指した貿易システムのことをいいます。低賃金で働いている立場の弱い生産者の生活を向上させるためには、対等な取引ができるサイクルを作ることが大切です。
なぜなら、生産者に正しくお金が支払われなかったり、子供が無理をして働かされたりしてしまうからです。
国際フェアトレードラベル機構では、フェアトレードの統一基準である「国際フェアトレード基準」を定めています。
- 経済的基準
- フェアトレード最低価格の保証
- フェアトレード・プレミアムの支払い
- 長期的な取引の促進
- 必要に応じた前払いの保証など
- 社会的基準
- 安全な労働環境
- 民主的な運営
- 差別の禁止
- 児童労働・強制労働の禁止など
- 環境的基準
- 農薬・薬品の使用削減と適正使用
- 有機栽培の奨励
- 土壌・水源・生物多様性の保全
- 遺伝子組み換え品の禁止など
(参考:https://www.fairtrade-jp.org/about_fairtrade/intl_standard.php)
農作物生産の背景にある不平等な問題について
かつて植民地支配下の国では、大規模農園で奴隷を利用してタバコや綿花を大量生産し、利益を得ていました。経済的に貧しい国では、独立後も変わらず、先進国に対して生産品を安価に大量に売るという構図は変わリませんでした。
農作物生産が収入源の開発途上国では、このように賃金が安いことで、生活の為に子供も働かざるをえない状況です。学校に通えず、劣悪な環境での健康被害も心配されています。
(参考:https://eleminist.com/article/1748)
カカオ生産の問題解決にブロックチェーンが使用された事例
日々の暮らしの中で、私たちにできることの一つとして、フェアトレード認証の商品購入があります。
フェアトレード認証の商品を購入することによって、世界の生産者を応援することができます。
UPDATER社では、2022年1月28日より、購入金額の一部がカカオの生産国での問題解決に使われる応援金付きチョコレートの販売を開始しました。指定団体に支払われたことを改ざん不可能な状態で証明できるよう、ブロックチェーン技術を活用しております。
支援した内容を辿ることができるので、消費者も安心して購入できるのではないでしょうか。
コーヒーの公正な取引確認にブロックチェーンが使用された事例
アメリカ デンバーのBext Holdings Inc.は、コーヒー豆の公正な取引の為に、ロボットとブロックチェーン技術を活用しました。
ロボットを使用してコーヒー豆の品質をチェックし、ブロックチェーン技術を使って豆の生産者や生産地、バイヤーとの支払い金額などを記録します。
コーヒー農家は品質を公正に評価され、適正な代金を迅速に得ることができます。また、コーヒーを飲む人も、産地確認や生産者が代金をもらったかどうかを確認することができます。
まとめ カカオ生産の課題解決とブロックチェーン活用について
今回はブロックチェーンの耐改ざん性で指定団体へ支援された事、公正な取引が行われている事を確認できる事例をご紹介しました。
フェアトレードには消費者の購入価格や企業側のコストアップなどの問題はありますが、自分が支援したものが最後まで確認できるようになると消費者も安心して購入できます。
ブロックチェーンは「銀の弾丸」ではなく、もっと複雑に入り組んだ社会課題の解決が必要と言えます。
しかし、ブロックチェーンの耐改ざん性は、カカオ生産などフェアトレードの拡大にも貢献しているのです。
コメント