2021年9月1日に政府に新たに「デジタル庁」を設立し、国を挙げてIT技術を活用した取り組みが進められようとしています。その中でもハンコのデジタル化に関する事例を幾つかご紹介します。
ハンコのデジタル化におけるブロックチェーン技術の活用
近年、コロナウィルスの影響により国内でテレワークの普及が進んでいる中で、業務書類の押印のためだけに出社せざるを得なくなる「ハンコ出社」が話題となりました。
ハンコは、書類を「証拠となりうる文書」とする際に本人確認を効率化するために慣例として用いられてきましたが、テレワークが普及している現代では相性が悪いという問題もあります。
このような問題を解消するために、ハンコのデジタル化を進める動きが加速しています。
シヤチハタが従来の電子印鑑とは異なる「NFT印鑑」の開発を発表
シヤチハタ株式会社は、2021年8月に印影のデータと利用者の情報を結び付けてNFT化することで、偽造のリスクを減らした電子印鑑「NFT印鑑」を開発すると発表しました。
こちらのNFT印鑑では、「いつ誰がどの書類に電子印鑑を押したか」という情報を、シヤチハタや電通、朝日新聞など20社が共同管理するブロックチェーンに押印した時点で記録し、押印の証明ができるシステムを目指すとしています。
従来の電子印鑑と比較すると押印した情報の保存先が企業のサーバではなく、ブロックチェーン上に保存するため、データの改ざんなどによる偽造のリスクが低いとされています。
ブロックチェーンを活用した電子契約サービス
エストニアと日本を拠点に活動する株式会社blockhiveが日本国内で展開する電子署名サービス「e-sign」をリリースしました。「e-sign」のユーザーは、スマートフォンアプリから公的本人書類(マイナンバーカード/運転免許証/ パスポートなど)を登録することで「デジタルID」を作成することができ、契約などを行う際に「デジタルID」を利用することによってユーザーの本人性を担保しています。
こちらのサービスは、ブロックチェーン技術を活用することで契約締結日などのタイムスタンプを記録し、高い耐改ざん性を実現しています。また、電子署名の有効期限は従来5年間のものが多かったところを、ブロックチェーンを用いることで半永久的に記録することが可能となりました。
日立製作所でもブロックチェーンを活用して脱ハンコを促進
株式会社日立製作所は、2021年3月にブロックチェーン技術を活用した「日立電子署名サービス」の先行運用を開始したことを発表しました。
こちらのサービスは、利用者が文書に署名した際に、データのハッシュ情報とタイムスタンプ情報をブロックチェーン上に記録する仕組みとなっています。また、相手側の署名捺印が認証不適合な場合に差し戻す機能や、署名を委任する機能、承認フローをカスタマイズする機能などを搭載しているため、商習慣に合わせてカスタマイズが可能となります。
最後に
冒頭でも記載したように、ハンコは「証拠となりうる文書」とするために便利なものですが、押印までの待ち時間、書類の輸送など時間とコストを費やしております。
テレワークが普及している現代では、ハンコのデジタル化は必要不可欠な領域となると考えられます。
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