ブロックチェーンで変わるテレビ業界

「NFT(Non-Fungible Token)」といえば、東京都の8歳の少年が作ったデジタルアートが最高180万円で取引されたことや、女優の広瀬すずさんが写真集に収録されていない未公開カットのNFTを販売するなどのニュースもあり、現在話題となっています。

今回は、テレビ放送でのブロックチェーンを活用した取組、中でも「テレビ番組」と「番組外」を連動させた取り組みについてご紹介します。

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目次

ブロックチェーンで変わるテレビ業界

 

「番組」と「番組外」を如何にして連動させて相乗効果を上げる取組み自体は、戦後から長らく行われており、例えば「番組連動のCM」や「データ放送などによるインタラクティブな番組制作」などがあります。さらに近年ではブロックチェーン技術を活用して相乗効果を上げる取組みが行われています。

NFT以前のテレビに関わるブロックチェーン業界の取組み

ブロックチェーンを利用して番組視聴者への特典配布

博報堂は2019年にユナイテッド株式会社および原本株式会社と共同し、番組視聴者に対して番組のデジタルコンテンツを配布する「Card Hunter(カードハンター)」というアプリを開発しました。

このアプリは、番組に埋め込まれた音響透かしを検出すると視聴者に対して番組に関連するデジタルコンテンツを受け取れる仕様となっています。実際に、音楽情報バラエティ「関内デビル」に埋め込まれた音響透かしを検出することで、番組出演者のオリジナルトレーディングカードを受け取れるという技術検証が2019年に行われました。

暗号資産を利用した投票システムを開発

テックビューロ株式会社は2016年に番組「ビットガールズ(仮)」に技術提供を行い、暗号資産を用いた投票システムを開発しました。

このシステムは番組出演者ごとにトレーディングカードと株を組み合わせた「トレカブTM」という暗号資産を発行し、視聴者が「トレカブTM」を購入することで持ち“トレカブ比率”に応じた議決権(トークン)が配布され、視聴者自身が様々な意思決定を行えるという内容となっています。

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分散型のテレビエコシステムを構築

ドイツで生まれた「TV-TWO」というプロジェクトは、テレビネットワークの中央集権化を改善するため、ブロックチェーン技術を利用した新しいテレビネットワークの提供を行いました。

現在のテレビ業界は、テレビネットワークの中央集権化が非常に目立つ構造となっており、中央に位置するテレビ局が「広告費用の引き上げ」や「コンテンツの選定」などに強い権力を持っています。

これに対し「TV-TWO」はブロックチェーンを利用することにより、市場参加者が中央を通すことなく参加者同士で直接のやり取りを可能とし、参加者は下記のようなメリットを受けることができます。

・広告主

「TV-TWO」で取得した視聴者のデータを基に広告のターゲティング配信が可能となる。

・視聴者

広告動画を見ることでトークンを獲得し、さらにトークンを利用してプレミアムコンテンツを見ることが可能となる。

・コンテンツクリエイター

テレビ局と契約を交わすことなく、番組を視聴してもらうチャンスの獲得が可能となる。

国内初の地上波バラエティ番組連動NFT

2021年12月に株式会社テレビ朝日は、グループ会社の株式会社テレビ朝日メディアプレックスと、バラエティ番組『もしアニ~もしも芸能人がアニメを作ったら~』と連動したNFTショートアニメ動画の販売(限定1000個)を行いました。

こちらは、番組の中で出演者が考えた原作を人気若手アニメーターによってアニメ化し、作成されたショートアニメをNFTとして制作・販売するというものです。

こちらのコンテンツは、株式会社メディアドゥが運営する「FanTop」で購入でき、視聴者は人気芸能人と人気クリエイターの夢のコラボアートとなる貴重なNFTの入手が可能となります。

・FanTopについて

NFTは暗号資産で購入するものがありますが、今回のショートアニメ動画NFTは購入ハードルを下げることを目的として日本円での決済が可能となっています。また、NFTの保有者情報の管理に「Flow」ブロックチェーンを採用しており、ファンアイテムを入手した際にユーザーの費用負担なしで即座にブロックチェーン上に保有者情報が書き込まれます。

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最後に

「NFT」を活用することで番組制作側からのデジタルコンテンツの配布・売買だけではなく、ファン同士でコンテンツの共有・譲渡・売買を行えるようになります。

番組と「NFT」を組み合わせた新しいコンテンツによって従来とは異なる方法で番組を盛り上げるきっかけとなり、テレビ業界の発展に繋がることを期待します。

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