教育・学術資格分野のIT化。次に来るはブロックチェーン技術である理由と日本での最新事例
教育、学術資格におけるブロックチェーンの可能性
近年、国内外を問わず、教育分野においてブロックチェーン技術を活用する事例が増えていますが、学術資格の証明にとどまらず、学習量の記録、教育コンテンツや知的財産の保護などにブロックチェーン技術を用いられるようになっています。
ブロックチェーン技術を用いることによって、用紙、人件費としてのコストを省き、その人がどのような教育を、どのような方法で、どれだけの量やってきたかを証明するできます。これにより、教育現場における、あらゆるロスの軽減や、画一的教育から脱することができるかもしれません。
教育コンテンツや知的財産の保護とブロックチェーンの可能性
教育コンテンツに関しても、スマートフォンやタブレットなどのモバイルデバイスの普及やテクノロジーの進化により、教育とITが融合したものが実際に教育現場で使用されるようになってきました。今後、そのような教育法も従来のものと並行で使われていく、そして主流になっていくであろう中で、コンテンツの著作権や知的財産権の保護にブロックチェーン技術は大きな役割を果たします。
日本の教育分野においてのブロックチェーンの可能性
日本においては、株式会社ソニー・グローバルエデュケーションが教育分野のブロックチェーン事業に参入し、ブロックチェーンによって、学習量や活動記録を管理する技術を発表しました。
ソニー・グローバルエデュケーションが活用しているブロックチェーン技術のネットワークは、1人が生涯に渡って学んだことすべてを、学習データとして蓄積し、活用することができる「EDN(Education Data Network)」と呼ばれる教育データネットワークです。
EDNは、Hyperledger Fabricというオープンソースのブロックチェーンフレームワークを使用したもので、「教育に関するデータを非中央集権化」、「教育データの信頼性向上」を実現させています。
特定のビジネスネットワークを実現するためのコンソーシアム型の参加方法を基本としているため、複数組織で共同運用することができる信頼性の高いブロックチェーンネットワークの形成が可能になっているブロックチェーンテクノロジーです。
教育に関するデータを非中央集権化することで、学校や自治体、民間企業など複数の関係者がそれぞれ、ブロックチェーンで管理された教育データの履歴を必要なときに見ることができます。さらに特定の管理者への依存を防ぐことで、ベンダーロックインも回避することができます。
また、ブロックチェーンの性質上、ブロックチェーン上に記録されたデータは捏造・システム上の不正が不可能であり、改ざんをさせない性質を持っているため、記録された教育データの信頼性を保証する役割を果たします。
ベンダーロックインとは
特定ベンダーの独自技術に大きく依存した製品、サービス、システム等を採用した際に、他ベンダーの提供する同種の製品、サービス、システム等への乗り換えが困難になる現象のこと。
教育データをブロックチェーン上で記録するプロジェクトの機能
EDNは主に3つの機能を提供しています。
1.成績証明書などの学籍情報を記録
デジタル成績証明書などをブロックチェーン上で管理することにより、真正性を確保します。
2.学習に関するあらゆる情報を蓄積するデータストア
テストの点数などの実際のデータを直接ブロックチェーンで管理します。データへのアクセス権を付与・削除が可能です。
3.教材やコンテンツの権利情報を保証する基盤
教材を作成した、作成日をタイムスタンプを管理するサーバーと連携させることで作成日を保証し、ブロックチェーンに蓄積することができます。作成した教材の著作権を守ることができます。
ソニー・グローバルエデュケーションが取り組む教育ブロックチェーンのデモンストレーションはこちらから見ることが可能です。
加えてソニー・グローバルエデュケーションは、富士通、富士通総研とともに、外国人留学生の講座受講履歴や成績証明の管理にブロックチェーン技術を使った実証実験を開始したことを発表しています。
教育分野においてのブロックチェーン活用事例は今後も増えて行くことは確実であると考えられます。
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