各種ブロックチェーンプラットフォームを提供しているBaaS専業企業のKaleido社がHyperledger Fabricのサービスを開始しました。
Kaleido社は、単にHyperledger Fabricのサービスを提供するだけでなく、周辺ツール、ダッシュボード、devops機能も合わせて提供すると述べています。
Kaleido社ホームページによれば、「私たちのミッションは、高品質の分散型ネットワークをセットアップするための 簡単なボタン を企業に提供すること」としており、これらの周辺サポート機能により、例えばノードを作成する場合、ピアノードとオーダーノードの2つのタイプから容易に選択できることになります。
kaleido社がHyperledger Fabricのサービスを開始した理由
「Hyperledger Fabricをサービスに加えることは、しばらく前から求められていた。私たちはFabricユーザーに最高のエクスペリエンスを提供したかった。」と、Kaleido社は述べています。Hyperledger Fabricは企業に人気のあるプロトコルのひとつで、メジャーなところでは、紛争鉱物の鉱山から製造業者へのトレーサビリティ実現、サプライヤー管理プラットフォーム、自動車のオンデマンド保険等の活用事例があります。
Kaleido社は、従来より提供していたCorda OSとEthereumの派生型であるQuorum、Go-EthereumおよびHyperledger Besuに加えてHyperledger Fabricを加えることにより3大エンタープライズブロックチェーン基盤に対応することになります。Hyperledger Fabricは他の基盤同様、限られた参加者により構成されるプライベートブロックチェーンで、秘匿性の高いデータを扱えます。
Hyperledger Fabricの特徴
Hyperledger Fabricは、Linux Foundationによるブロックチェーン推進コミュニティーであるHyperledgerのプロジェクトのひとつとしてIBMが主導して開発したブロックチェーンプラットフォームです。
R3のCorda,、ConsenSysのQuorum同様、大企業を開発母体に持つことは、将来に渡って安定的にサポートが受けられるであろうという期待も持てます。一方、Hyperledger Fabricが他のプラットフォーム基盤と異なるユニークな点として、各参加者間で異なる台帳(サブレジャー)を共有することが挙げられます。
ブロックチェーンプラットフォームとひとくくりに言っても、個人向け、企業向け、ゲーム用途、金融用途といろいろあります。各プラットフォームとの比較は以下の通りです。
詳細はトレードログ株式会社のコラム「ブロックチェーンのプラットフォームは用途で選ぼう!開発基盤の特徴を解説」をご覧ください。
Hyperledger Fabricの活用状況
全世界のブロックチェーン開発者数をプラットフォーム毎に見てみると、Hyperledger Fabricが全体の60%、Corda, Quorumがそれぞれ十数%と続きます。
一方、Github Push Code数は、Cordaが突出しており、その後をHyperledger Fabric、Quorumが追う形となっています。
しかしながら開発者アクテビティー数においては、2020年の分散化アプローチにフォーカスしたHyperledger Fabric Version 2のリリース後は、Cordaに代わりトップの座につきました。
このように、Hyperledger Fabricの市場に占める割合は大きく、Kaleido社の参入は、多くのHyperledger Fabricユーザー及び開発者に恩恵を与えることでしょう。
また、あらたにブロックチェーンを導入する企業だけでなく、既にHyperledger Fabricを使っている企業がKaleido社に移行するケースも予想されます。
Number of developers per enterprise protocol 2020 | |||||
Autonity | Baseline | Besu | Corda | Fabric | Quorum |
47 | 621 | 509 | 1130 | 4991 | 917 |
0.6% | 7.6% | 6.2% | 13.8% | 60.8% | 11.2% |
まとめ Kaleido社によるHyperledger Fabricのサービス開始について
今回のKaleido社によるHyperledger Fabricのサービス開始について紹介しました。
Kaleido社によるHyperledger Fabricのサービス開始は多くの開発者にとって選択肢を増やし、設計自由度を広げる意味で歓迎すべきものです。エンタープライズブロックチェーン技術は、全体としてはまだ非常に初期段階で進化途上にあるので、今後はさらにダイナミックな展開が予想されます。
Kaleido社のサービスにHyperledger Fabricが加わったことで、ブロックチェーンの活用が各業界において加速していくことでしょう。
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