ブロックチェーンが切り拓く医療分野（ヘルスケア）の課題解決について

医療分野で進むブロックチェーンの活用

医療（ヘルスケア）分野でもブロックチェーン技術の活用が期待されています。

ブロックチェーン技術では「耐改ざん性」や「真贋証明」等、これまでとは異なる技術の提供が可能です。

医療（ヘルスケア）分野では次のような課題等が挙げられています。

• 病院や医療機関ごとに異なる患者の電子情報の共有、連携が複雑であること
• 患者が自分自身の情報をコントロールすることが難しいこと
• 電子情報自体が改ざんされてしまう可能性があること

こういった課題に対しても、ブロックチェーン技術の強みを生かすことができます。

実際にどのような取り組みが進んでいるのかを紹介していきます。

ブロックチェーンの医療分野での活用事例

医療分野でのブロックチェーン活用事例として、以下の3つをご紹介します。

• 分散している個人の健康情報を統合・一元管理
• 発展途上国での医療記録の管理
• 臨床試験データの信頼性を担保や照合検証作業の削減

それぞれを解説します。

分散している個人の健康情報を統合・一元管理

１つ目に「台帳共有」の点で活用されている事例を紹介します。

「Society5.0」実現のためのブロックチェーンプラットフォームが、ブロックチェーンを活用して構築されました。「Society5.0」とは、内閣府科学技術政策によると「サイバー空間（仮想空間）とフィジカル空間（現実空間）を高度に融合させたシステムにより、経済発展と社会的課題の解決の両立する、人間中心の社会」と定義されています。

出典：内閣府科学技術政策より。https://www8.cao.go.jp/cstp/society5_0/

メディカル・データ・ビジョン株式会社の構築したHMVプラットフォームでは、ブロックチェーンを4階層へ分割しシームレスに連携することで、分散している個人の健康情報を統合・一元管理することが出来ます。また有事の際のデータ保全、ユーザが自身の個人情報を適切且つ安全にコントロールできるなど、多くの利点が挙げられます。

このプラットフォームでは「Society5.0」に対応した次世代医療基盤として、今後の取り組みや活動に注目していきたい事例です。

発展途上国での医療記録の管理

２つ目に「非中央集権」の点で活用されている事例を紹介します。

国境なき医師団が医療記録の管理にブロックチェーン技術の導入を開始しました。発展途上国では医師が患者の利用記録へアクセスできないことが問題としてあり、この解決方法としてブロックチェーンが用いられています。

医療記録の包括的な管理が可能になることで、より多くの命を救える未来への期待が持たれています。

臨床試験データの信頼性を担保や照合検証作業の削減

3つ目に「データの改ざん、偽造防止」の点で活用されている事例を紹介します。

東北大学病院は臨床試験にサスメド社の臨床試験システムを用いることを検討しています。背景として

• 限られたリソースの中で、研究開発の効率を上げる必要がある。
• 国際的に諸外国と比較しても治験パフォーマンスが高コストで非効率である。

といった点が挙げられています。

サスメド社のシステムを導入することで臨床試験データの信頼性を担保すること、照合検証作業の削減が可能であるとされています。今後、ブロックチェーンを用いたシステムを活用することで、臨床試験や研究開発に対する効果を検証していく、という事で日本の医療分野に対する新しい可能性が期待されています。

まとめ　ブロックチェーンが切り拓く医療分野（ヘルスケア）の課題解決について

医療分野におけるブロックチェーン技術の導入は現在も拡大傾向にあり、これまで病院や医療機関、関係者の間にあった課題の解決に繋がっています。

ブロックチェーンを活用すれば、医療台帳を共有したり、医療記録を安全に保管したり、データの改ざんや偽造を防止したりすることができます。

今後もさらに発展が期待されるものと予想されます。