NFT鑑定書で貨幣の真贋を証明
偽造貨幣(紙幣)が流通することを防止する目的として、日本では概ね20年毎に日本銀行券を改刷しています。改刷することによって市場に流通しなくなった古銭は時には当時の価値以上の価格で売買されます。
貨幣の機能としては、価値尺度、流通手段、価値貯蔵の3機能が有名ですが、それら諸機能はオンラインバンキング、クレジットカード、電子マネー、そして暗号資産などにより益々デジタル化されていくことでしょう。しかし、ここでは「モノとしてのお金」を収集・鑑賞の対象とする際の偽造防止などにフォーカスします。
日本初貨幣のNFT鑑定書発行
貨幣・紙幣の鑑定書を発行する日本で唯一の団体である日本貨幣商協同組合は、「デジタル鑑定書(NFT 鑑定書)」発行を開始しました。
発行されるデジタル鑑定書は、免許証などと同じくらいのサイズで一見するとプラスチックのカードに見えるデザインとなっていますが、スマホやタブレットをかざすことで証明すべき商品の画像、鑑定書データなどを見ることができるものとなっています。
日本貨幣商協同組合は、持続可能な開発目標(SDGs)の向上に向けた取組みの一環として「デジタル鑑定書(NFT 鑑定書)」は大きな一歩と考えているとのことです。
◎現在の鑑定書について
貨幣の鑑定書は、日本貨幣商協同組合で国内外の古銭のスペシャリストが集まる鑑定委員会が鑑定を行い、貨幣の重量、特徴、発行組織、貨幣の写真などの情報を載せた書類となっております。
鑑定書は以下の流れで発行申請をすることができます。
- 日本貨幣商協同組合加盟店に鑑定書の発行を依頼する
- 鑑定する貨幣を預ける
- 鑑定委員会で貨幣を鑑定
- 貨幣の真贋、評価を鑑定委員会で決定
- 鑑定書の発行
- お客様の元へ貨幣の返却と鑑定書のお渡し
◎過去に起きた鑑定書の偽造事件
鑑定書は対象のモノが本物であることを証明する書類ですが、偽物の鑑定書を作成して偽造品を本物と偽る事例も多くあります。
例えば、美術品では2015年にKオークションで4億9000万ウォン(約4753億円、手数料込みで5億7085万ウォン)で取引された李禹煥の1978年作『点からNo.780217』に添えられた鑑定書が偽物だったという事例があります。
鑑定書の偽物に関する事件をニュースなどで取り上げられることはあまりないため、知る機会は少ないですが、フリマアプリやオークションなどでは偽鑑定書を添付して売買していることもあるようです。
最後に
真贋を証明する鑑定書の偽造をさせないことによって、コレクターは安心して古銭の収集をできます。今回は貨幣について取り上げましたが、NFT鑑定書が普及することにより偽造品の流通を防ぐきっかけとなることを期待します。
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