はじめに


タイトル:デジタル資産とWeb3
著者:小田 玄紀
発売日:2025年4月24日
小田 玄紀氏
この本には、暗号資産の本質からWeb3の社会的な変革、日本の政策課題まで、ビジネスパーソンが今すぐ知っておきたい示唆がぎゅっと詰まっています。小田氏は現在、JVCEA代表理事として業界を牽引しており、2025年6月にも再任されたばかりです。その発信内容は、有識者メディアでも広く紹介されており、Web3議論を加速させています。
この記事では、以下の3つの章立てで感想を展開しつつ、関連メディアでの情報もリンクし解説します。
- 暗号資産の本質的な価値
- Web3が生む経済活動の構造転換
- 日本の政策課題とビジネス戦略
1.暗号資産の本質的な価値をビジネス視点で再確認
本書では、暗号資産(特にビットコイン)がなぜ“デジタルゴールド”なのか、金(ゴールド)との比較を通して論じられています。
不安定な法定通貨へのヘッジや、機関投資家の資産ポートフォリオにおける位置づけなどが、最新データで示されており、納得度の高い解説でした。
例えば、日本暗号資産取引業協会(JCBA)でも、小田氏は「暗号資産こそが信用の総和」としてその正当性を説いています。
このように制度と信用に基づく論理は、本書でも具体的で非常に説得力があります。
さらに暗号資産業界の最前線では、日本初のVASP導入、トラベルルール施行といった マネーローンダリング対策が既に先進的に進行していることも紹介されています。規制対応と市場自体の信頼構築に即した内容は、ビジネスパーソンとしてのリスク理解にもつながります。
2.Web3が切り開く新たな経済活動のパラダイム
本書ではNFT、DeFi、DAO「Web3のキーワード」が具体事例をもってわかりやすく描かれています。
DeFi(分散型金融) | 中央サーバーを通さず、ピアツーピアで金融サービスを提供する仕組み。その応用により、従来銀行が担ってきた役割が「コード」で置き換えられる可能性があります。 |
NFT | 単なるデジタルアートの売買だけに留まらず、証券、不動産、ゲーム・ライセンスといった用途への拡張がリアルに描かれています。 |
DAO | 企業や組織運営の民主化。意思決定が透明なスマートコントラクトで行われ、シェア経済や新しいガバナンスモデルが実現します。 |
3.日本が抱えるWeb3政策と企業の取り組むべき姿勢
日本におけるWeb3の政策面での遅れは、本書で目立つ大きなテーマです。
- SBIをはじめとする国内企業では、暗号資産・ブロックチェーンの安全性強化(犯罪対策、保護構造整備)が着々と進行中。
- 一方、小田氏はメディアや団体の場(JVCEA・JCBAでの講演)を通じて、実際に政策転換につながる提案を発信し続けています。
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WebX 2024 特別対談予告 越智隆雄×平将明×小田玄紀『日本のWeb3戦略と展望』 | 株式会社CoinPostのプレスリリース
特に、WebX 2024などの大型カンファレンスでは小田氏が自民党政策担当者と対談し「日本のWeb3戦略」というテーマで議論をリードしたことも注目ポイントです。 これは単なる技術論ではなく、国家戦略としての経済インフラ再構築という文脈になります。
本書でも、日本がこれからグローバル競争に勝ち残るために、業界・政官学が連携して迅速な規制整備を行うべきと結論づけています。このまま従来の流れを続けていては、海外勢に遅れを取るリスクが指摘されています。
これからのビジネスパーソンに必要な視点とは?
- 暗号資産の本質を深掘りし、ビジネスリスクと機会を正確に把握する。投機と排して、新たな資産クラスとして理解する態度が必要です。
- Web3を既存事業の進化軸・新規事業の旗印として捉える。DeFi、DAO、NFTは単なる流行ではなく、「価値交換の方式そのものの再定義」に繋がる技術です。
- 政策・規制を他人事にせず“参加しながら推進する”姿勢を持つ。小田氏のように、政府・業界団体と協働して制度設計に関わる視点は、企業戦略としてますます重要になります。
まとめ
『デジタル資産とWeb3』は、本質理解・技術把握・政策参画の3軸から未来の戦略を描ける、ビジネスリーダー必読の書です。
これを読めば、「なぜWeb3は企業にとって今すぐ経営戦略へ組み込むべきなのか?」という問いに、説得力と具体性をもって答えられるはずです。
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