世界には天災や戦争・内紛などによって、衣食住の支援を必要としている人々が存在します。
彼らへの支援は慈善活動やチャリティー団体からも行われますが、世界各国の政府やNGO、NPOなどからの支援を受けることもあります。
その中でも国際連合は、国際平和と安全の維持、経済・社会・文化などに関する国際協力を実現するものとして設立した国際機関であり、現在も難民や被災者に対して積極的な支援活動を行っています。
しかし、多くの難民や被災者は、公的な身分証を持たないため、個人を識別したり、身元を確認したりすることすらできません。
誰だかわからない人が大勢いる状況では、支援を迅速かつ十分に行きわたらせることは難しいです。人道支援のための活動が、かえって犯罪や不正の温床にもなりかねません。
こうした問題に対処するために、国際連合はブロックチェーンの可能性に着目し、難民や被災者支援に役立てるために積極的にブロックチェーン技術の研究や活用を行っています。
国際連合が取り組むブロックチェーンを活用したプロジェクト
国際連合は、ブロックチェーン技術を通して、国連が掲げる持続可能な開発目標(SDGs)に関わる取り組みを進めていくチームを立ち上げました。
SDGsの中には、
- 貧困をなくそう
- 飢餓をゼロに
- すべての人に健康と福祉を
などの目標があります。
国連は、各国政府やNGO、民間企業とのパートナーシップを強化して、SDGsの達成に向けた活動を世界に広げています。
国連のブロックチェーン活用事例「ID2020」とは?
国連がブロックチェーンを活用した事例はさまざまな取り組みがありますが、ここでは「ID2020」というプロジェクトを紹介します。
「ID2020」はマイクロソフトとアクセンチュアの支援のもと、世界中に存在すると言われている公的身分証明を持たない人たちに、ブロックチェーンを活用したIDを付与するプロジェクトです。
公的身分証明を持たない人たちにIDが付与されることにより、越境時の難民証明や学歴、経歴などの身分を証明することができます。
その他にも、国連世界食糧計画(WFP)では「ビルディング・ブロックス」というプロジェクトをスタートしています。このプロジェクトもブロックチェーン技術により、飢餓撲滅運動を加速させるものです。
食料分配の際に、目の色彩をスキャンしたデータを用いることで食料提供スピードを上げ、不正行為を防ぐことができるとしています。現在は試用運用中ですが、2030年までには世界中の食料問題を解決することを目標にしています。
これらはあくまで国際連合の活動の一部ですが、地方自治体レベルや草の根レベルでも数多くの取り組みが始まっており、ブロックチェーン技術導入には非常に積極的です。
ブロックチェーンなら不正や改ざんを防ぐことができ、安定したシステム運用とコスト削減もできるからです。生体認証と組み合わせれば、手軽に固有のIDを付与することができ、個人を正確に識別することもできます。
まとめ 国連のブロックチェーンを活用について
この記事では、国連のブロックチェーン活用事例について解説しました。
ブロックチェーンは不正や改ざんを防ぐことができ、公的身分証を持たない難民や被災者の証明にも活用できます。
世界規模でブロックチェーンが活用されれば、人類にとって重要な役割を担うことは間違いありません。
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