ゲーム業界におけるブロックチェーン技術の活用事例が年々増加しています。今回は、ブロックチェーンゲームを活用した工賃作業システム「RevelApp」(レベルアップ)について紹介します。
この記事では、障がい者就労支援を目的としたRevelAppの仕組みや特徴について解説していきます。
株式会社リッカ
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障がい者福祉施設向け「RevelApp」とは?
RevelApp(レベルアップ)の概要や開発された背景について紹介していきます。
「RevelApp」の概要
2024年7月3日、株式会社WAVE3とWellsTech株式会社は、BCG株式会社とブロックチェーンゲームを通じて、障がい者就労支援を目的とするRevelAppのサービスを開始しました。
RevelAppとは、「遊ぶように、働く。」をコンセプトに新しい就労支援システムの機能を提供するサービスです。
株式会社WAVE3は、本プロジェクトについて「ブロックチェーンゲームをプレイする事を、基礎的なPCスキルをはじめ、金銭管理、事務的作業、時間・体調管理といった、就労準備に必要な要素が詰まった”訓練”」と定義しており、障がい者就労支援事業所が抱えるさまざまな課題を解決することを目指しています。
「RevelApp」が開発された背景や課題
RevelAppが開発された背景は、福祉施設や障がい者就労支援事業所の課題を解決するためです。
課題の具体例としては、工賃作業の安定化、通所率の向上、新規利用者獲得のための施設の差別化、就職率の向上、時間管理能力やPCスキルの習得、業務負荷軽減、利用者の自己理解促進などです。
これらの課題を解決するためにRevelAppは開発されました。
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「RevelApp」の主な特徴
次に、RevelAppの主な特徴を5つ紹介します。
ゲーム型工賃作業
RevelAppは、誰もが簡単にブロックチェーンゲームをプレイできる環境を提供し、それを工賃として活用します。
利用者の特性に応じてレベル1〜4の難易度に分けられた多様なゲームが用意されています。ゲームを通じて、利用者はお金の管理方法や基礎的なPCスキル、時間管理、さらには協調性や問題解決能力など、就労に不可欠なスキルを楽しみながら訓練できます。
これにより、利用者は仕事に必要な能力を身につけ、効率的かつ楽しく成長することが可能です。
セルフモニタリングシート
RevelAppでは日々の体調記録表とブロックチェーンゲームのプレイ記録表を基に、自動生成される詳細なセルフモニタリングシートを提供します。
このシートには、利用者が日々の体調や気分、生活ルーティン、ゲームで得られた成果を記録することで、自身の行動や感情のパターンを深く理解できる仕組みが整っています。
セルフモニタリングシートによって自己理解が促進されることはもちろん、支援者が利用者の状況を迅速かつ正確にアセスメントするための貴重なデータとして活用されます。
データの可視化
RevelAppでは記録されたデータを自動的にグラフ化し、可視化される仕組みを取り入れています。
利用者の体調や通所可否の傾向を視覚的に把握することで、一人一人にしっかりと向き合うことができます。また、すぐにデータを取り出すことが可能になることで、支援者は個別面談の準備時間を短縮することができます。
加えて、データの可視化による短縮された時間は、他の利用者の支援に充てられるなどの効果があります。蓄積されたデータを連携機関へ提供することで、社会全体の課題解決に繋げていくことも期待されています。
安定した工賃
ブロックチェーンゲームで得られる報酬は仮想通貨ではなく、工賃として日本円で毎月支払う仕組みを取り入れています。
安定した日本円で報酬が工賃として支払われることで、仮想通貨の価格変動に影響されることなく、利用者は安心して作業に取り組めます。
また、ゲームの難易度に応じて工賃が設定されるため、ゲームプレイの上達によって報酬が増加する仕組みも採用しています。
充実したサポート体制
導入から運用までの全てに対応する充実したサポート体制があります。福祉とブロックチェーン、それぞれの有識者らが親切、丁寧にサポートします。また、利用者向けのわかりやすいマニュアルや、支援員向けの説明資料も充実しています。
加えて、ブロックチェーンゲームを始める上で必要なゲームの選定や環境構築、ゲームのトラブルなどのメンテナンスまでもサポートしてくれます。
このような充実したサポート体制が整っているため、利用者と支援者の双方が安心して取り組むことができるでしょう。
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「RevelApp」がもたらす効果
RevelAppが障がい者就労支援にもたらす具体的な効果は以下の通りです。
通所率の向上
魅力的な工賃作業として機能し、利用者の通所モチベーション向上に貢献します。
最新のブロックチェーンゲームに触れることで、利用者はその面白さや魅力に惹かれ、通所率の向上が期待できます。また、通所モチベーションの向上は利用者の学習意欲を高め、早期のスキル習得につながります。
新規利用者の獲得
ブロックチェーンゲームを活用した特徴的なサービスの提供で施設の差別化が図れます。
他にはない魅力的なサービスがある施設は、入所を希望する人が増える可能性があります。新規利用者の増加によって施設の経営が安定する効果も見込めるため、新規利用者の獲得は重要項目の一つです。
就職率の向上
PCスキルや時間管理能力が向上することは、大切な就労準備の第一歩となります。
RevelAppを活用して就職するためのスキルを身につけることができれば就職率向上にもつながります。ブロックチェーンゲームを通じて就職スキルが得られることは、非常に画期的なサービスと言えるでしょう。
支援員の業務負荷軽減
RevelAppには、利用者のみならずアセスメント補助機能があり、支援員の業務負荷軽減に繋げています。
業務の負荷が軽減されることは、支援員の体力的問題の解決と時間削減に効果的です。また、削減出来た時間に関しては別の業務に充てることができ、より充実した支援が可能になります。
自己理解の促進
セルフモニタリングを通じて、利用者自身の心身状態を客観的に把握することが出来ます。また、健康管理や目標達成に向けた具体的な行動計画を立てやすくなります。
その結果、生活習慣の改善やメンタルヘルスの向上が期待でき、自分自身の成長や自己理解の促進をすることが可能です。セルフモニタリングは、自己理解を深め、より良い人生を送るための有効的なツールとなるでしょう。
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「RevelApp」の今後の展開について
最後にRevelAppの今後の展開について、執筆時点(2024.08.15)での情報を紹介していきます。株式会社WAVE3は、障がい者就労支援の新しいスタンダードを創造するために3つの新しい展開を試みます。
1つ目は、ゲーム企業からの工賃作業受託です。
WAVE3はRevelAppを継続的に利用した施設向けに、ゲーム関連の工賃作業や事務作業をサポートしてもらえる仕組みを構築しています。ブロックチェーンゲームの作業を通じて、より魅力的な仕事に挑戦できる機会を提供できるようにします。
2つ目は、ゲームをきっかけにした障がい者雇用の創出です。
ブロックチェーンゲームのプレイデータを可視化し、それをもとにゲーム会社や特例子会社などから障がい者雇用のオファーを受けられる仕組みを整備しています。何かに継続的に取り組める力は、障がい者雇用において非常に重要な要素になります。ブロックチェーンゲームが、企業と利用者をつなぐ橋渡しの役目になるようなシステムを目指していきます。
3つ目は、福祉とテクノロジーを掛け合わせた学習プラットフォームの構築です。
WAVE3は、工賃作業の在り方を学べる環境を整備していきます。RevelAppを導入した施設には、このコミュニティへの参加費を無償にする予定です。
また、WAVE3は本サービスを通じて、多くの企業やゲーム会社、プロダクト、支援機関と連携を行っていく予定となっています。テクノロジー社会に求められる価値を提供するために、日々の開発や運営に取り組みたいとしています。
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まとめ RevelAppについて
今回は、ブロックチェーンゲームを活用した新しい障がい者就労支援の仕組み『RevelApp』(レベルアップ)について紹介しました。
RevelAppの誕生は、ブロックチェーンゲームを通じて社会で役立つスキルを身につける新たな手段が生まれたことを意味します。本記事を通じて、福祉とブロックチェーンゲームを活用した報酬型の作業システムであるRevelAppについて理解を深め、今後の活動の参考にしていただければ幸いです。
最後に、RevelAppのようなブロックチェーンを活用したサービスが社会課題の解決に寄与し、より良い社会の実現につながることを願っています。
株式会社リッカ
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