トヨタ自動車株式会社と分散型台帳ソフトウェアの研究開発及び提供を行っている
株式会社Scalar が知的財産の係争対応のためのプラットフォームである “Proof Chain of Evidence”
(以下、PCE)の試験運用を開始しました。
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自動車業界の開発競争は依然勢いがあり、快適な車の開発に向けて自動車にさまざまなIT技術が導入さ
れてきています。それに伴い、トヨタやホンダなどの日本を代表する企業の技術的な知的財産の係争に関するニュースもよく耳にするかもしれません。係争に備えるためには社内の知的財産を証明するために電子公証やタイムスタンプのサービスを使い知財の管理を徹底する必要がありますが、以下のような課題があります。
- 膨大なプロジェクト関連資料それぞれに対するタイムスタンプの付与
- 特許対応が必要な20年間、継続した公証の更新(電子署名1~3年, タイムスタンプ10年での更新が必
要) - グローバル展開しているそれぞれの国への特許の継続・管理
これらの課題を解決するためにPCEの試験運用が始まりました。
Proof Chain of Evidence (PCE)
PCEは以下のケースの証拠保全を大量のデータに対し行います。
- 電子データがいつ存在していたのか (WHEN)
- 電子データがどの順序で存在していたのか (SEQUENCE)
- 電子データが存在していた時点から、これまで改ざんされていないのか (WHAT)
- 上記について、10 年を越えて証明する (LONG-TERM)
(引用: https://news.microsoft.com/ja-jp/2022/03/31/220331-proof-chain-of-evidence/)
これによりトヨタは係争対策用の証拠保全を行うことができます。
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使われている分散台帳技術
株式会社Scalarが開発した “Scalar DL” という分散台帳技術を利用しています。
Scalar DL は同社が開発したブロックチェーンにインスパイアされた独自の分散台帳プラットフォームで、高いデータ改竄防止性と可用性、拡張性を持ちます。
今回のPCEでは主に改竄の検知機能を担っています。証拠となる電子データとその電子データにトラストサービスで得たタイムスタンプを付与した際に発行されるタイムスタンプ・トークンをScalar DLに記録する機能をPCE内で担っています。
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まとめ
今回は知財管理に関する事例をご紹介しました。
トヨタによる実証実験ののち、分散台帳技術で特許管理にかかるコストを下げることが普及すれば
日本企業の国際的な競争力の強化につながるかもしれません。
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