ブロックチェーンで債務不履行のリスク低減

貿易取引では代金を支払い対象となる貨物の代わりに船荷証券を使っているが、輸出者と輸入者が離れていることから船荷証券と代金を同時に交換できません。これにより輸出入者のどちらかで債務不履行となるリスクがあります。当記事では、このようなリスクを低減することを目的として行われた実証実験について紹介します。

債務不履行リスク低減のために証券とデジタル通貨を同時交換

東京海上日動火災保険株式会社と株式会社NTTデータ、株式会社スタンデージ、株式会社トレードワルツの4社は、貿易取引で生じる債務不履行リスクを回避するために電子船荷証券(Bill of Lading:B/L)とデジタル通貨をブロックチェーン(分散型台帳)技術を使って同時交換する実証実験を実施しました。

今回の実証実験は、船荷証券と代金をデジタル化して、ブロックチェーン技術を使って同時に交換する仕組みを検証しました。

船荷証券と代金を同時交換することで以下の効果が期待されています。

(1)債務不履行リスクの回避
(2)貿易コストの低減
(3)中小企業の貿易取引の活発化
(4)貿易の平易化

船荷証券をデジタル化するにあたって、トレードワルツが貿易情報連携プラットフォーム「TradeWaltz®」を提供しました。また、暗号資産の移転技術をスタンデージが提供し、NTTデータが両社の相互運用技術を提供しました。

貿易取引の課題を解決する貿易情報連携プラットフォーム「TradeWaltz®」

「TradeWaltz®」は、株式会社トレードワルツがリリースした業態横断型の貿易情報連携プラットフォームです。

こちらはブロックチェーン技術を活用しており、高いセキュリティ水準のもとで貿易取引を完全電子化することで44~60%の業務効率化が確認されました。また、紙書類が不要となることでコストの削減や貿易実務者のテレワークも可能となります。

ブロックチェーンはセキュリティを担保するだけではなく、特定の企業などが中央集権的に管理することが望まれないシチュエーションに向いている技術です。そのため、貿易のような複数の企業や国がかかわるシステムに適切な技術とです。

最後に

今回は貿易取引におけるブロックチェーンの活用事例を紹介しました。

従来の書面での受け渡しだけでは船荷証券と代金を同時交換は難しいですが、デジタル化することによって、同時交換を可能とすることができます。また、堅牢で改ざん耐性に優れいているブロックチェーン技術を利用することで信頼性を担保した取引が可能となります。

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