Verifiable Credentialsとは?メリットやブロックチェーンとの関係性、国内事例も解説

デジタル時代に変わりつつある現代において、信頼できる証明が重要になってきています。豊富な種類の証明方法が存在しますが、本記事では新しい証明方法として注目されているVerifiable Credentialsについて解説していきます。

Verifiable Credentialsの概要から仕組みと国内事例も紹介していくので、ぜひ最後まで読んでみてください。

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目次

Verifiable Credentialsとは?

Verifiable Credentials(VCs)とは、あらゆる証明書をデジタル化したものです。

具体的な証明書の例としては、運転免許証、学位証、有資格証明書などがあります。Verifiable Credentialsはデジタル社会が加速する現代において、信頼性が担保された証明書として活用されます。

わかりやすい日常的な例

初めに、Verifiable Credentialsが誕生した背景を説明します。デジタル化以前は、個人に紐づく情報の正確性を確認することが非常に困難でした。偽造された運転免許証やマイナンバーカードによる詐欺事件が多発していたため、多くの人がそのニュースを目にしていたと思います。

例えば、学校の卒業証書を紙ではなくデジタルデータに変えることを考えてみましょう。デジタルデータ(Verifiable Credentials)にすることで、卒業証書の紛失や偽造を防ぐことができます。また、スマートフォンなどで本当に卒業したことを簡単に証明できます。

このように、Verifiable Credentialsは信頼性のあるデジタル証明書を提供するために生まれました。

Verifiable Credentialsの仕組み

Verifiable Credentialsは、主に発行者、保有者、検証者、レジストリで構成されています。

  • 発行者:Verifiable Credentialsを発行する者(都道府県公安委員会、大学法人、医療機関など)
  • 保有者:Verifiable Credentialsを保有する者
  • 検証者:レジストリに登録されている発行者の公開鍵を使用してVerifiable Credentialsの信憑性を確認する者
  • レジストリ:発行者ID、保有者ID、公開鍵、無効となった証明書の情報を保管する場所
https://www.w3.org/TR/vc-data-model/

例えば、運転免許証を用いてサービスの利用申請を行う場合、以下のようになります。

  1. 発行者が運転免許証を発行する(Verifiable Credentialsの証明書)
  2. 保有者がレジストリから検証者に対して運転免許証を送信する
  3. 検証者が運転免許証をチェックし、正当性を判断する。
  4. 検証者のチェックで問題がなくサービスの提供が可能と判断されれば、保有者はサービスを利用可能となる。

Verifiable Credentialsのメリット

情報を安全に管理できる

デジタル証明書は、発行者の署名が付いているため、第三者が書き換えを行うことは不可能に近いとされています。また、データ上で保管されるため、紛失や盗難のリスクも無く、安全に管理をすることができます。

必要に応じて誰とでも共有できる

Verifiable Credentialsは、スマートフォンやパソコンで簡単に誰とでも共有することができます。また、証明書用の紙、コピー代、インクなどのコスト削減にも繋がります。

必要な情報だけを確認できる

証明書の場合、名前、年齢、住所、電話番号といった多くの個人情報が記載されていることがあります。しかし、Verifiable Credentialsの場合は、必要に応じて一部の情報のみを公開し、共有することも可能です。

Verifiable Credentialsとブロックチェーンの関係性

ブロックチェーンとは?

分散型台帳技術の一種で、複数の参加者が共有するデータベースのことを指します。このデータベースの情報はネットワーク全体に分散して保存され、常に検証が行われます。正しい情報かどうかを常にネットワーク上で検証しているため、不正な改ざんや消去が極めて困難と言われています。

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Verifiable Credentialsのどこにブロックチェーンを導入するのか?

Verifiable Credentialsのデータベースの一部にブロックチェーンの導入を行います。上記の説明で該当する箇所はレジストリの部分です。

ブロックチェーン導入時の注意点

ブロックチェーンの中には1つのブロックに書き込めるトランザクション数に制限があり、トランザクション数が増加すると処理速度が低下する場合があります。また、ブロックチェーンは一度書き込まれたデータを消去・書き換えできないため、取り扱うデータの誤りには注意が必要です。

これらの課題を解決するためには、用途に応じて処理速度の速い基盤(例:Avalanche)を選択したり、データの誤り検知対策を講じることが重要です。ブロックチェーンのメリットを最大限に活かすためには、そのデメリットを十分に理解し、対策を検討する必要があります。

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Verifiable Credentialsにブロックチェーンを使うメリット

情報の透明性と信頼性が担保できる

ブロックチェーンは分散型台帳技術を活用することで情報はネットワークの間で共有され、常に整合性の確認がされています。このように常に情報が検証されている環境があるため、情報の透明性と信頼性を担保できる特徴があります。

不正な改ざんを防止できる

ブロックチェーン上の情報は、分散されたネットワーク全体に保存されます。そのため、一度記録されたデータを改ざんすることは非常に難しく、外部からの攻撃だけでなく、内部の不正も防止することができます。

開発や運用が効率化できる

ブロックチェーンを活用することで容易に耐改ざん性と信頼性を向上させることにつながり、システム開発が効率化されるでしょう。さらに、セキュリティ対策で高額なコスト費用をかけていたものが、ブロックチェーンの採用によりコスト削減できる可能性があります。

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Verifiable Credentialsで知っておきたい技術 

デジタル署名

デジタル署名とは、デジタル文書のデータの真正性と整合性を確認するための技術です。これにより、デジタル文書の送信者が本物であり、データが改ざんされていないかを証明することができます。

公開鍵暗号方式

公開鍵暗号方式とは、暗号化と復号のために2つの異なる鍵(公開鍵と秘密鍵)を使用する暗号技術です。公開鍵は誰でも入手可能であるのに対し、秘密鍵は所有者だけが知る情報になります。

DID(分散型ID)

DID(Decentralized Identityとは、中央集権的な機関に情報を預けるのではなく、個人で自分のデジタルIDを管理できる技術です。Verifiable Credentialsと組み合わせることで、ユーザーが自身のデジタルアイデンティティを安全に管理し、必要な情報だけを共有することが可能になります。

ゼロ知識証明

ゼロ知識証明とは、ある主張が正しいことを証明する際に、その主張の内容自体を明らかにせず、その情報が正しいことを証明する方法です。これにより、特定のプライバシーを保護しながら情報の検証が可能になります。

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Verifiable Credentialsの事例

TOEIC® Program公開テストの公式認定証をブロックチェーン技術を使ってデジタル化

https://www.iibc-global.org/iibc/press/2022/p212.html

TOEIC Programを実施・運営する国際ビジネスコミュニケーション協会(IIBC)は、2023年4月のテスト結果より、ブロックチェーンを活用してデジタル公式認定証を導入することを発表しました。これは、国内における大規模検定試験では初の試みとして注目されました。

今回のデジタル公式認定証には、株式会社サイバーリンクスが提供するデジタル証明書発行サービス「CloudCerts®」を採用しています。また、IIBCはデジタル公式認定証の導入に伴い、紙ベースのテスト結果報告を2023年の11月から廃止を行い、持続可能な開発目標(SDGs)に貢献しています。

https://www.iibc-global.org/iibc/press/2022/p212.html

国内大学初!千葉工業大学が学位証明書をNFTで発行

https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000039.000042635.html

千葉工業大学は株式会社PitPaと共同で、令和4年度卒業・修了生の学位証明書をNFTで発行して授与したとして話題になりました。大学が学位証明書をNFT化した事例としては、国内初となり、NFT学位証明書は希望者約1100名に順次贈られました

学位証明書がNFTで発行された背景としては、学生のプライバシーを保護しながら卒業の証明ができる、個人管理が容易になる、就職時におけるリファレンスチェック時の時間やコスト削減に繋げるためです。また、NFTは学生が自らコンセプトからデザインまで考案して作成されました。

千葉工業大学は今後も共同でプロジェクト開発の連携、他大学や企業に展開を進めることで社会全体のDX推進に貢献していくとしています。

https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000039.000042635.html

薬剤師資格証のデジタル化にブロックチェーンデジタル証明書

https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000052.000076099.html

株式会社サイバーリンクスは、公益社団法人日本薬剤師会が発行する「薬剤師資格証」のデジタル化において、自社サービスの「CloudCerts®」が採用されたことを発表しました。CloudCerts®とは、ブロックチェーンを利用したデジタル証明書発行サービスのことで、なりすまし防止や偽造対策が可能になる他、ICカードを携行しない場合でも安全でセキュアな資格証明を実現することができます。

従来のICカードの「薬剤師資格証」はそのまま利用可能ですが、2024年3月よりスマートフォン等の画面で表示可能な「デジタル薬剤師資格証」が新たに発行されました。これら一連の国家資格を保持していることの証明書のデジタル化は国内初の取り組みとして注目されました。

https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000052.000076099.html

まとめ Verifiable Credentialsについて

ここまでVerifiable Credentialsについて国内事例を交えながら解説してきました。

今後さらにデジタル社会が進むことが予想される中で、Verifiable Credentialsのような新しい証明方法は私たちの生活において欠かせないものになるかもしれないでしょう。本記事を通じて、Verifiable Credentialsの知識を深め、今後の活動の参考にして頂ければと思います。

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