【2023年8月まで】ブロックチェーン業界の主なできごと「まとめ」

【2023年8月まで】ブロックチェーンの主なできごと「まとめ」

2023年は、生成AIの登場でITが大きく進化した年となっていますが、ブロックチェーンにおいてもさまざまな変化が起きています。

そこで今回は、2023年8月現在までのブロックチェーン業界の主なできごとをまとめました。

この記事を読めば、ブロックチェーンの最新トレンドを理解できます。

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目次

日本発ゲーム特化型ブロックチェーン「Oasys(オアシス)」について

https://www.oasys.games/

Oasysとは?

Oasys(オアシス)とは、日本発のゲームに特化したブロックチェーンプロジェクトです。コンセプトは「Blockchain for Games」となっており、ゲーム領域でのブロックチェーン活用に特化したさまざまなプロジェクトを推進しています。

https://www.oasys.games/

ブロックチェーンをゲーム領域で活用することで、

  • ゲーム内アセットの所有を証明できる
  • ゲーム内アセットの売買ができる
  • 他のゲームでアセットを利用できる

といったメリットを実現できます。例えば、Aというゲームで手に入れたレアアイテムを、Bさんに売ることでトークンを稼ぐことができます。また、Cという別世界のゲームで使うこともできるようになります。

しかし、従来のブロックチェーンでは、トランザクション処理が遅いこと、取引手数料(ガス代)が発生してしまうこと、異なるブロックチェーン間のインターオペラビリティ(相互運用性)の実現が難しいことなどから、ゲーム領域での本格的なブロックチェーン活用の障壁となっていました。

そこで、Oasysではレイヤー層を2つに分けることで高速処理を実現すること、ユーザーのガス代を無料にすること、マルチチェーン対応も視野に入れたゲーム特化型のプロジェクトにすることなどを目指して、2022年2月8日にプロジェクトを発足しました。また、コンセンサスアルゴリズムにPoS(Proof of Stake)を採用することで、環境負荷の少ないブロックチェーンプロジェクトとなっています。

Oasys(オアシス)のバリデータには、国内大手のゲーム会社や仮想通貨取引所だけでなく、大手通信会社なども参画しています。2022年12月12日にOasys(オアシス)のメインネットがローンチされ、2023年はさまざまな活動が活発に行われています。

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Oasysの2023年の動向

Oasysは2023年6月28日、ブロックチェーンゲームの発表会「Oasys Special Event」を、京都・二条城で開催しました。「Oasys Special Event」は、京都で開催された「IVS Crypto 2023」のサイドイベントです。

「Oasys Special Event」では、セガの人気ゲーム「三国志大戦」のIPを活用したブロックチェーンゲーム「Battle of Three Kingdoms」などの新作ゲームやNFTプロジェクト「OASYX」の第2弾「RYUZO(龍造)」、各バリデータの最新の取り組みなどが発表されました。

Oasysのバリデータは、2023年に入って増えており、ソフトバンク、KDDI、Nexon、MIXI、新領域企画準備株式会社(NTTドコモ子会社)、楽天ウォレットがオアシスのバリデータとして参画しています。

なお、初期バリデータは以下の企業となっています。

Aster Network(アスターネットワーク)、バンダイナムコ研究所、BOBG(ボブジー)、Com2uS(カムツス)、CryptoGames(クリプトゲームス)、doublejump.tokyo(ダブルジャンプトウキョウ)、gumi(グミ)、jump(ジャンプ)、MCH(エムシーエイチ)、netmarble(ネットマーブル)、neowiz(ネオウィズ)、SEGA(セガ)、イールド・ギルド・ゲームス(Yield Guild Games)、Thirdverse(サードバース)、UBISOFT(ユービーアイソフト)、WEMADE(ウィメイド)、bitFlyer Blockchain(ビットフライヤーブロックチェーン)、NHN PlayArt、グリー、ミシカルゲームス(Mythical Games)、スクウェア・エニックス。

Oasysの今後について

今後は、バンダイナムコやセガ、スクウェア・エニックスなどの大手ゲーム会社がOasys上で楽しめる本格的なブロックチェーンゲームをリリースすることが期待されます。また、それに伴いOasysのトークンであるOASやOasys内で取引されるゲーム内アセットの需要が高まることも予想されます。

一方、ブロックチェーンゲームという理由だけでヒットさせることは難しいため、ゲームとしての面白さやブロックチェーン活用による優位性などのユーザーメリットをどのようにして打ち出していけるのかが課題と言えます。

ワールドコインについて

https://worldcoin.org/blog/announcements/worldcoin-orb-going-on-tour-globally

ワールドコインとは?

ワールドコインは、生成AIのChatGPTを開発したOpenAIのCEOであるサム・アルトマン氏らが立ち上げた暗号資産プロジェクトです。

https://worldcoin.org/

銀行口座や身分証を持たない人でも、暗号資産による経済圏内での流通や資産の保持を可能にすることを目的としたプロジェクトです。世界中には、銀行口座や身分証が持てない人も多く、資産の保持や電子決済ができないために貧困から抜け出せないという実態があります。ワールドコインは、こうした格差をなくし、世界中で暗号資産の流通を実現させることを目的としています。

最大の特徴は、ワールドIDを取得すればワールドコインが無料で配布されることです。ただし、ワールドIDを取得する際には、虹彩スキャンによって網膜データを提供する必要があります。

ワールドコインの2023年の動向

ワールドコインは2023年7月24日、正式にローンチされました。日本を含む世界各地の主要都市では、「Orb(オーブ)」と呼ばれる生体認証装置を設置したワールドIDの登録が可能になっています。

正式ローンチ前のテスト版ですでに世界では200万人以上の人がワールドIDを取得し、ワールドコインを受け取っています。正式ローンチ後は、事前に予約をしたうえで会場に行けば、1分程度で登録は完了し、25ワールドコインを無料で受け取れます。

ワールドIDに使われる虹彩情報は、顔認証や指紋認証よりも高精度に個人を特定できるデータとされています。同じ虹彩情報を持つ人が存在する確率は、70億人に1人といわれていて、世界の全人口であってもほぼ唯一性を証明できます。

そのため、ワールドIDを持つことで、世界中の人々と暗号資産のやりとりを手軽に行うことが可能になります。また、実際に会場に出向いてワールドIDの登録を行う必要があるため、ワールドIDを偽造したり他人のデータを悪用したりすることは難しく、安全で確実な個人認証が行えるようになっています。

ワールドコインの今後について

ワールドコインは、ユーザー数20億人を目指していると言われています。また、ユニバーサルベーシックインカム(UBI)を実現することによって、富を公平に再分配し貧困や格差を是正する仕組みを作ろうとしているとも言われています。オープンで公正なWeb3の実現に向けて、ワールドコインは大きな原動力になる可能性があります。

一方、虹彩情報を取得することに関しては、プライバシーを侵害する可能性が高いとして、各国政府が警戒を強めています。例えば、フランスやドイツではワールドコインのデータ収集について調査したり、ケニアではワールドコインの活動を一時停止するように求めています。

ブロックチェーンのサステナブル社会への貢献について

ブロックチェーンの活用は、サステナブル(持続可能な)社会の実現にも貢献することができます。

主に以下の3つの取り組みは、今後の持続可能性を高めるために重要な取り組みとなっています。

PoSアルゴリズムの採用による環境負荷の低減

2022年9月に、イーサリアムのアルゴリズムがPoW(Proof of Work)からPoS(Proof of Stake)に移行されました。これにより、イーサリアムの承認作業で消費されるエネルギー量が99%以上削減されています。

2023年もPoSは環境負荷の少ないグリーンブロックチェーンとして注目を集めています。ブロックチェーンを活用してサステナブルな社会に貢献するためには、CO2排出量の少ないブロックチェーンを採用する必要があります。グリーンブロックチェーンについては、以下の記事で詳しく紹介しています。

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サプライチェーン全体のCO2排出量の可視化

ブロックチェーンを活用することで、サプライチェーン全体のCO2排出量を可視化する動きも活発になっています。

複数の企業が参加するサプライチェーンでは、不正や改ざんが行われない状態でCO2排出量を算出する必要があります。また、コストや手間がかからない状態でなければ、持続可能なCO2削減ができません。

そこで活用が進んでいるのがブロックチェーンです。ブロックチェーンなら、オープンで公正な状態で情報が共有でき、高い耐改ざん性によって不正を防止できます。また、サプライチェーンのマネジメントコストを削減しながら、スマートコントラクトによって業務効率を向上させることも可能です。

サプライチェーン全体のCO2排出量が可視化できれば、CO2の削減効率を高めることができます。例えば、CO2排出量の少ない調達先から原材料や部品を仕入れたり、工場や倉庫の電源を再エネ由来のものに切り替えたりすることができます。

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トレーサビリティの実現による持続可能性の向上

ブロックチェーンを活用することで、製品やサービスの製造や流通、消費に至るまでのサプライチェーン全体の情報を追跡可能な状態にできます。トレーサビリティを実現できれば、サプライチェーン全体の持続可能性を向上することで、売上の増加や社会的な評価向上が期待できます。

ブロックチェーンは国や企業を越えてオープンで公正な形で情報が共有でき、高い耐改ざん性で不正や改ざんを防止できます。例えば、児童労働などの不正や偽造品混入などが検知可能になるため、サプライチェーン全体が持続可能なものになります。

サプライチェーン全体が持続可能な状態にできれば、サステナブルな製品やサービスであるとして消費者や投資家にアピールできるようになります。

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イーサリアム 次期アップグレード「デンクン」について

イーサリアムのアップデートとは?

イーサリアムは、ネットワークの利用者が急増したことによって、ガス代の高騰やトランザクション処理の遅延などが課題となっています。そのため、イーサリアムではこうした課題を解決するために、アップグレードを行っています。

https://ethereum.org/ja/roadmap/

代表的なアップグレードが、2022年9月にPoSへの移行を果たした「マージ(Merge)」です。マージでは、PoWからPoSへの移行によって消費するエネルギーが99%以上削減され、課題となっていたCO2を始めとした温暖化ガスの削減に成功しました。その後は2023年4月にステーキングされたETHを引き出し可能にした「シャペラ(Shapella)」が実装されています。

このようにイーサリアムは頻繁なアップグレードを行っていますが、いまだにガス代の高騰やトランザクションの遅延は課題となっています。こうした課題を解決するために、次のアップデートとして「デンクン」を予定しています。

「デンクン」とは?

デンクンは、2023年後半に予定されているイーサリアムのアップグレードです。デンクンとは、イーサリアムを構成する実行レイヤーとコンセンサスレイヤーの2つのレイヤーでのアップグレードの総称です。(実行レイヤーのアップデートは「カンクン」、コンセンサスレイヤーのアップデートは「デネブ」)

デンクンの主な変更点は、EIP4844のプロト・ダンクシャーディングです。EIPは、「Ethereum Improvement Proposals」の略で、イーサリアムのコミュニティで発案されたシステムの改善提案です。

プロト・ダンクシャーディングは、L2チェーンからL1チェーンへの書き込みスピードをアップするためにデータの一時保存スペースを増やし、イーサリアムブロックチェーンのスケーリングを向上させるものです。L2チェーンの大幅な手数料削減も期待されています。

プロト・ダンクシャーディングでは、L1チェーンであるイーサリアムのスケーリング問題は解決できませんが、L2チェーンを含む全体的な効率が改善されます。また、イーサリアムでもいずれはシャーディング(並列処理)の導入が検討されていますので、デンクンはイーサリアムの今後のスケーリング問題の解決への布石と考えられています。

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FNCT(フィナンシェトークン)がIEOで申込み金額 200億円を突破

https://fnct-whitepaper.gitbook.io/ja/

FNCTとは?

FNCT(フィナンシェトークン)は、ブロックチェーンを活用したトークン発行型クラウドファンディング「FiNANCiE(フィナンシェ)」で利用されるプラットフォームトークンです。

https://financie.jp/

FiNANCiEは、スポーツクラブやクリエイターがファンとコミュニティを構成するとともに、トークン発行によって資金調達とコミュニティの活性化をするためのプラットフォームです。

FiNANCiEでは、コミュニティ内で流通するCT(コミュニティトークン)を発行することで、資金調達をしつつファンとのつながりを強化できます。ファンは、CTを購入することで、コミュニティのメンバーとなってスポーツクラブやクリエイターを応援できます。

FNCTは、CTの購入に利用されるほか、FNCTをステーキングしたり、FiNANCiEのガバナンスに参加できる権利を有したりすることができます。

IEOとは

IEOとは、Initial Exchange Offeringの略で、暗号資産交換業者(仮想通貨取引所)を通じたトークン発行で事業資金を調達する方法をいいます。

暗号資産交換業者が審査を行うため、IEOで資金調達するプロジェクトは、一般的なブロックチェーンプロジェクトよりも信頼性や知名度が高まります。そのため、トークン価格の上昇やプロジェクトの発展が期待できます。

一方、発行されたトークンの価格が必ずしも上昇するとは限らないため、一過性のブームに乗じて資金を投じてしまうと損失を被る可能性もあるため注意が必要です。

FiNANCiEのIEOについて

FiNANCiEは、2023年2月21日より、暗号資産取引所のコインチェックを通じてIEOを行いました。

IEOで調達した資金は、FiNANCiEの開発費や運営費、ユーザーへのインセンティブなどに使われる予定です。目標調達金額は10億6600円でしたが、最終的な申込金額は200億円を突破。IEOで発行されたFNCTの抽選倍率は18倍以上となりました。なお、IEOによるFNCTの価格は、1FNCT=0.41円となっています。

FiNANCiEのトークン発行型クラウドファンディングというプロジェクトの特徴やコインチェックによるIEO第2号案件という注目度の高さもあり、FNCTの購入希望者が多く集まりました。

FiNANCiEの今後について

FiNANCiEが発行するFNCTは、現在のところイーサリアムとポリゴン上で発行されていますが、今後は独自チェーンの開発と運用が予定されています。独自チェーンで運用されることにより、コストであるガス代が減ったり、トランザクションスピードが向上したりすることにより、より効率的なFiNANCiEの運用が期待できます。

また、FiNANCiEあるいはFNCTの注目度が高まることによって、FiNANCiEに参画するスポーツクラブやクリエイターが増え、FiNANCiEや各コミュニティの活性化が期待できます。

一方、各コミュニティが発行するCTの恩恵をどのようにファンに還元していくのかやFNCTのトークン価格は下落リスクなどの課題もあります。FiNANCiEでは、プロジェクトの優位性や話題性を高めるために、積極的な業務提携やキャンペーンなどを展開しています。

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まとめ 【2023年8月まで】ブロックチェーン業界の主なできごと「まとめ」

今回は、2023年8月現在までのブロックチェーン業界の主なできごとをまとめました。

ブロックチェーンは暗号資産の投資目的以外にも、さまざまな場面での社会実装が進んでいます。ブロックチェーンは耐改ざん性の高さや情報の公平性が担保でき、コスト削減などの効果も期待できるため、社会インフラやサプライチェーンでの活用が期待されています。

しかし、ブロックチェーンによるシステム開発には独特のノウハウや経験が必要であるため、信頼できる開発パートナーが必要です。株式会社リッカは、ブロックチェーン開発の豊富な実績とソリューション経験があるため、貴社に最適なご提案が可能です。

ブロックチェーン開発のご要望や業務のコストダウンなどに課題をお持ちの企業様は、株式会社リッカまでご相談ください。

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