『ブロックチェーンハブ都市とは?』
『どんな取り組みが進んでいるの?』
ブロックチェーンハブ都市とは、ブロックチェーンをイノベーションの基幹技術として位置づけ、世界をリードすべく戦略的に発展を遂げようとしている都市のことをいいます。ブロックチェーンを活用すれば、都市を形成するさまざまな分野で革新的な進化が期待できます。
今回は、ブロックチェーンハブ都市について解説していきます。
この記事を読めば、国内外で活用されるブロックチェーンの最新事情がキャッチアップできます。
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ブロックチェーンハブ都市とは
ブロックチェーンハブ都市とは、ブロックチェーンを今後の基幹技術に位置づけ、金融や物流、公共サービス、医療、教育、文化などの発展に革新的な進化をもたらすべく、戦略的に世界をリードし発展しようとする都市のことです。
ハブの本来の意味は、車輪の中心部分のことです。車輪は車軸を中心に放射状に形状を拡大しています。この様子から転じて、中核をなす重要な部分や中継的な役割を担う部分をハブと呼ぶこともあります。
つまり、ブロックチェーンハブ都市とは、ブロックチェーン技術を基盤として都市を発展させ、ブロックチェーン技術発展の中核的な役割を担い、新しい技術革新を戦略的に推進する都市のことです。ブロックチェーンハブ都市には、ヒト・モノ・カネ・情報を管理するコア技術としていち早くブロックチェーンを活用し、世界との競争に打ち勝つための圧倒的なアドバンテージを早期に形成する狙いがあります。
また、ブロックチェーンならではの特性を活かせば、安全性や信頼性、透明性が高く、低コストで効率的な都市を形成できる可能性があるため、都市に住む人々の暮らしや文化がさらに高い水準で快適なものになっていくことも期待されます。
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ブロックチェーンハブ都市で期待される発展やメリット
ブロックチェーンハブ都市で期待される主な発展やメリットには以下の5つがあります。
- 経済の活性化
- データの安全性と透明性の向上
- スマートシティの実現
- グローバルなイノベーションの中心地化
- 市民生活の利便性向上
それぞれを解説します。
経済の活性化
ブロックチェーンハブ都市として期待される発展の1つ目は、経済の活性化です。
ブロックチェーン技術の振興により、新たなビジネスモデルやサービスが生まれる可能性が高まります。大手企業がWeb3ビジネスに参入したり、新興企業が起業したりすることを都市ぐるみで推進するため、新しい雇用機会が創出される可能性があります。
例えば、ブロックチェーンを活用したスマートコントラクトや分散型アプリケーションの開発、暗号資産投資やメタバース運用など、これまでにないサービスや経済圏が形成されることが考えられます。
ブロックチェーン技術を振興することで、都市内に新たな産業が育成され、地域経済の活性化が期待されます。
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データの安全性と透明性の向上
ブロックチェーンハブ都市として期待される発展の2つ目は、データの安全性と透明性の向上です。
ブロックチェーンに記録されるデータは、極めて改ざんが困難で、関係者間でオープンな状態で共有されます。これにより、不正なデータ変更や消去ができなくなるため、データの安全性や透明性が向上します。
例えば、製品やサービスのサプライチェーンをブロックチェーンで構築すれば、関係者間でオープンでセキュアなトレーサビリティが実現できます。違法労働などの不正な取引や偽物の混入を排除でき、取引先や消費者は、いつでも製品やサービスに関連する安全性が確認できます。
都市全体でブロックチェーン技術を導入すれば、不正なユーザーが情報を改ざんしたり、サイバー攻撃によって大切なデータを失う可能性が減らせます。重要な都市インフラを守るだけでなく、データの真正性も担保されるため、都市全体が信頼性の高い取引先として評価される可能性があります。
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スマートシティの実現
ブロックチェーンハブ都市として期待される発展の3つ目は、スマートシティの実現です。
ブロックチェーンを活用することで、都市全体のIT化やDX化が加速します。ブロックチェーンによってデータの安全性や信頼性が担保され、さまざまな分野での効率化、省力化が実現できる可能性があるからです。
例えば、ブロックチェーン技術を活用したエネルギー管理システムや交通制御システムが導入されれば、低コストでエネルギー効率の高い社会インフラが整備できます。家庭や企業が自家発電した電力や再生可能エネルギーで発電された電力を選択的に利用することが可能となり、地球温暖化ガスの排出量削減や電力コストの削減に貢献できます。また、ブロックチェーンを活用した交通制御システムでは、交通のリアルタイムなモニタリングや交通量のコントロールが自動的に行われ、交通渋滞や事故の軽減につながります。
スマートシティの実現には、データの高い信頼性とシステムの高い耐改ざん性が必要です。ブロックチェーンを活用することで、安全性と持続可能性が高い都市形成が実現できます。
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グローバルなイノベーションの中心地化
ブロックチェーンハブ都市として期待される発展の4つ目は、グローバルなイノベーションの中心地化です。
ブロックチェーンの活用により、都市経済が発展し、データの信頼性が向上します。これにより、国内外の取引先とのビジネスが活性化し、グローバルにおけるイノベーション推進の中心的な役割を担える可能性が高まります。
ブロックチェーン技術を活用した先端的な都市は、世界中から先進的な企業や研究機関、起業家や投資家、銀行や証券会社などの金融機関、大学などの教育機関、病院などの医療機関が集まり、多様な分野での連携や交流が促進され、イノベーションが起きやすい土壌が形成されます。
グローバルなイノベーションの中心地としての注目が集まるようになれば、ますます企業や人材、投資マネーが流入し、さらなるイノベーションの発展が期待できます。
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市民生活の利便性向上
ブロックチェーンハブ都市として期待される発展の5つ目は、市民生活の利便性向上です。
ブロックチェーン技術を活用したサービスやシステムにより、市民の日常生活がより便利になります。例えば、ブロックチェーンを活用した支払いシステムが導入されることで、低コストなキャッシュレス決済が普及し、買い物や交通機関の利用が活性化されます。また、ブロックチェーンを活用した個人データ管理システムが導入されることで、個人のデータが安全に管理され、公共サービスの利用促進や地域コミュニティの活性化が期待できます。子育てや老後の生活が安心して過ごせる都市になれば、市民生活の満足度が向上していきます。
また、ブロックチェーンを活用した医療データ管理システムが導入されれば、医療情報の改ざんや紛失が防止され、医療データの活用が進み、革新的な治療法や医薬品の開発が期待できます。不正な医療行為の検出やカルテ改ざんの防止なども実現でき、安全性や信頼性の高い医療サービスが提供されます。
その他にも、ブロックチェーンを活用した不動産登記システムが導入されれば、不動産取引の透明性が向上したり、取引の自動化によって土地や建物の流動性の向上が期待できます。
市民生活の利便性が向上すれば、都市へ流入する市民が増えたり、出生率向上による人口増加なども期待できることでしょう。
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世界のブロックチェーンハブ都市
世界にはブロックチェーンハブを目指している国や都市が多数存在します。ここでは、以下の先進的な都市をご紹介します。
シンガポール
シンガポールは、ブロックチェーン技術を積極的に活用している先進的な都市の一つです。政府はブロックチェーン活用やWeb3スタートアップ企業を支援し、イノベーションを促進しています。
暗号資産に関する規制が厳しい日本から、シンガポールに拠点を移して活動している日本のWeb3スタートアップ企業も多数存在しています。
参考:
金融分野ブロックチェーンハブを目指すシンガポール、MAS主導のプロジェクトで世界をリード
https://www.sbbit.jp/article/fj/100147
クリプトハブを目指すシンガポール、暗号通貨投資ではなくブロックチェーン活用に注目
https://ampmedia.jp/2022/09/10/crypto-singapore/
Web3起業家はなぜシンガポールに向かうのか?
https://www.itmedia.co.jp/news/articles/2210/05/news037.html
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ロンドン
イギリスのロンドンは、ヨーロッパにおけるブロックチェーン技術の中心地の一つです。ロンドンはもともと金融サービス業界が盛んであり、ブロックチェーンを活用した取引や決済システムの開発が進んでいます。また、ロンドンはブロックチェーン技術の研究や教育機関も豊富なため、Web3技術者や暗号資産の専門家が集まる拠点となっています。
参考
ロンドンが世界トップの仮想通貨ハブ都市としてランク付けされる
英国政府、世界的な暗号資産技術のハブ化に向けた計画を発表
https://www.jetro.go.jp/biznews/2022/04/7b81c7cb99fd031a.html
英「暗号資産の世界ハブに」 王立造幣局がNFT作成へ
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGR04DHK0U2A400C2000000/
ドバイ
アラブ首長国連邦(UAE)のドバイは、2016年に「ドバイブロックチェーン戦略」を発表しました。世界に先駆けてブロックチェーンを活用した都市づくりを始めています。分散型IDによる行政手続きの効率化や世界中からWeb3スタートアップ企業を呼び込むための税制改正や法整備を進めています。2022年にはメタバース戦略も発表し、Web3市場での主導的役割を目指しています。
参考
ブロックチェーンの新たなビジネスハブ ドバイ
https://gaiax-blockchain.com/dubai-report
UAE、ブロックチェーン戦略2021を発表
https://jp.cointelegraph.com/news/uae-government-launches-blockchain-strategy-2021
アラブ首長国連邦(UAE)Web3マーケット・レポート
https://www.jetro.go.jp/ext_images/_Reports/02/2024/bb368cf2ff6f3aa3/202402_rev1.pdf
仁川広域市
韓国の仁川広域市は、ブロックチェーンハブ都市の形成を目指しています。韓国は仁川広域市をデジタル経済自由区域に指定し、ブロックチェーンの新技術開発やWeb3関連企業の発掘に力を入れています。BinanceなどのWeb3企業やAMDなどの先端IT企業と提携し、ブロックチェーンとメタバース業界のリーダー的存在を確立しつつあります。
参考
韓国仁川広域市、ブロックチェーンハブ都市の形成へ
https://cc.minkabu.jp/news/8517
韓国の仁川、Binance や AMD など 15 社と提携してブロックチェーン ハブを構築
仁川市、ブロックチェーンベース「デジタル経済特区」戦略を策定
https://www.investkorea.org/ik-jp/bbs/i-832/detail.do?ntt_sn=492157
福岡
福岡は日本国内でブロックチェーン技術の普及に積極的な都市の一つです。自治体や企業が連携し、地域経済の活性化や観光産業の支援にブロックチェーン技術を活用しています。また、ブロックチェーン関連のイベントやコンテストも積極的に開催され、地域の技術コミュニティの形成が進んでいます。
電力の地産地消を目指したトレーサビリティ証明が福岡県のモデル事業に採択され、持続可能な社会を実現するための実証が開始されています。また、福岡を中心にNFT活用も進んでいて、九州NFTラボやJR九州NFTなどの新しい取り組みも活発に行われています。
参考
福岡市は日本のブロックチェーンハブになりつつある
福岡県「電力の地産地消トレーサビリティ証明モデル事業」に採択
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000042.000030542.html
九州NFTラボ、第4回ブロックチェーンEXPO【秋】10月25日(水)~27日(金)に出展
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000006.000112740.html
JR九州、アスターネットワーク採用のNFTサービス「JR九州NFT」を公開
まとめ ブロックチェーンハブ都市について
今回は、ブロックチェーンハブ都市について解説しました。
ブロックチェーンを活用することで、都市のグローバルな成長が目指せます。また、ブロックチェーンハブ都市として注目が集まれば、国内外からの優秀な人材や巨大な投資マネーの流入が期待でき、都市が持続的かつ先進的に発展していくことでしょう。
ブロックチェーンは、暗号資産としての活用だけでなく、メタバースやIoT、AI、5Gなどとの融合によって、さらなる進化と発展が期待されています。ブロックチェーン活用が進むハブ都市の取り組みに今後も注目していきましょう。
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