企業会計とブロックチェーン技術
企業会計は株主、従業員、顧客などに対してその企業の信用性や将来を測る一つの指標です。
そしてこの会計という分野においても、ブロックチェーンが変革をもたらそうとしています。
2015年に起きた東芝の不正会計問題は記憶に新しく、当時大変大きなニュースとなりました。
国内でも最大手と言える東芝は、数多くの製品を開発し世に送り出してきましたが、そのような企業ですら不正会計が行われていたという事実によって、現在でも東芝の地位回復は難航しています。
さらに東芝の不正会計問題においては、東芝の監査を行った新日本有限責任監査法人も不正会計を事前に見抜くことができなかったとして非難の対象になりました。
しかし企業も多種多様な事業を行っており、企業会計は複雑、煩雑化していることは事実です。
企業の監査を行った上で不正を発見することは、容易ではありません。
東芝の例で見るならば発電から社会インフラまで幅広く事業を行っており、異なる会計処理や紙媒体での情報管理が行われていたことを大きな要因として時間、コストが莫大にかかっていました。
これらの書式や財務諸表を一元化するにも、複雑な事業内容をまとめる作業にも莫大なコストがかかってしまう現状です。
しかし、ブロックチェーン技術を会計業務に導入することで、東芝の不正会計問題は事前に防げた可能性があります。
会計業務にブロックチェーン技術を導入するべきポイント
会計業務にブロックチェーン技術を導入することで可能になるポイントは以下の3つです。
-
会計の記録や測定、確認がリアルタイムに行われる
-
紙媒体でのデータ処理や管理がなくなり、ヒューマンエラー防止や人員削減が可能になる
-
会計不正が現実的に不可能になる
一つ目の会計の記録や測定がリアルタイムに行われるという点についてみていきます。
取引情報を、タイムスタンプと呼ばれる電子証明つきでブロックチェーンに記録させます。
この記録は取引にかかわった双方のブロックチェーンに記録され、この記録は監査法人や会計事務所、経営者などの権利がある対象者だけ見られるようにします。
これにより細かい取引情報から財務情報までをリアルタイムで確認することができます。
同時に監査も行うことができるので、無駄な取引の精査などに役に立ちます。
二つ目の紙媒体管理でなくなるという点は、いわずもがな入力の手間や入力エラーなどがなくなるので、人員が削減できます。
現在でもデータ入力などの自動化システムは存在していますが、契約や決済は紙ベースで行われていることが多いため、すべてをデータ化し電子処理することによってその有用性を発揮することができます。
またブロックチェーン上に記録されたデータは永久的に保存されるため、天災や事故などでデータが消滅することはありません。
最後に今回の本題でもある、会計不正が不可能になるという点ですが、ブロックチェーン上に記録されたデータは情報の変更や追加に関しても日時、変更者、内容すべてにおいて記録され、ブロックチェーン上で追跡できてしまうので、現実的に会計不正を防ぐことができます。
以上の理由から、会計業務においてブロックチェーンが有効的であることが分かります。
世界の4大会計事務所のデロイト、EY、KPMG、PwCはすでにブロックチェーン技術を使って会計サービスを行うことを検討しているとも報じられています。
日本も不正会計問題が起きている以上、会計業務が抱える問題や負荷をブロックチェーン技術を用いて解決することが望まれます。
システムの構築、実用に向けて今後研究開発が進むとみられています。
コメント