生成AIのビジネス活用が進んでいます。生成AIを活用することで、仕事の大幅な効率化が期待できる一方、使い方や注意点を押さえておかなければ生成AIをうまく活用することができません。
そこで今回は、生成AIのビジネス活用について、メリットや活用シーン、具体的な使い方について解説していきます。
この記事を読めば、生成AIをビジネスに活用するコツが掴めます。
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生成AIとは?新しいコンテンツを作れる人工知能
生成AIとは、新しいコンテンツを作成できる人工知能です。あらかじめ指定されたプログラムを高速で行う従来のAIとは異なり、利用者の指示(プロンプト)によって文章作成や画像生成、データ分析、プログラム作成などの多彩な作業を行うことができます。
生成AIは、深層学習モデルを用いて、インターネット上にある膨大なデータを学習しています。そのデータ(大規模言語モデル:LLM)を活用することで、利用者の指示に応じてコンテンツを新たに作成できます。
人間が考えたり、調べたり、まとめたりする作業は時間も労力もかかります。こうした時間や労力を、生成AIを活用することで大幅に削減できます。そのため、ビジネスの世界で長年にわたって時間や労力を費やしてきた調べものや資料作成、アイディアだし、たたき台の作成などの作業が一気に効率化することが可能になっています。
生成AIを活用すれば、新しい価値の創造やイノベーションの推進など人間はよりクリエイティブな仕事に注力できるようになります。
現在、特に人気を集めている生成AIは、アメリカのOpenAI社が開発した「ChatGPT」です。ChatGPT3.5は、誰でも無料で利用することができます。
生成AIをビジネスに活用する3つのメリット
生成AIには主に以下の3つのメリットがあります。
- コンテンツを効率的に生成できる
- データ分析から傾向や改善案を導き出せる
- 顧客満足度を向上できる
それぞれを解説します。
コンテンツを効率的に生成できる
生成AIをビジネスに活用するメリットの1つ目は、コンテンツを効率的に生成できることです。
生成AIは、ビジネスにおけるコンテンツ生成を効率的かつ迅速に行うことができるため、時間とリソースを大幅に削減できます。例えば、効果的なプレゼンテーションの流れを生成AIに考えてもらい、その流れに沿って資料を作成すれば、従来よりも短時間でより効果的なプレゼンテーション資料を作ることができます。
また、メールや契約書のひな形も生成AIで瞬時に作ることができます。例えば、「重要な顧客向けに失礼がないように日ごろの感謝を込めて挨拶文を作ってください」などと明確にプロンプトを作成すれば、その条件に見合った挨拶文のひな形を瞬時に作成できます。あとは、個別の情報を書き込んだり、適時修正を行えば、すぐにメールや書類に使うことができます。
生成AIを活用すれば、日常的に時間や手間がかかっていた業務を効率化できます。削減できた時間や手間を、顧客との関係強化や製品の品質向上などのより付加価値の高い業務に使うことができれば、顧客からの評価や売上を高めることが期待できます。
データ分析から傾向や改善案を導き出せる
生成AIをビジネスに活用するメリットの2つ目は、データ分析から傾向や改善案を導き出せることです。
ビジネスでは大量のデータを収集し、それを分析して戦略的で根拠のある意思決定を行うことが重要です。生成AIを活用すれば、膨大なデータから傾向を分析した上で、改善案を作ることも可能です。
例えば、ECサイトのアクセスログを生成AIに分析してもらい、有効な対策案を考えてもらうことが可能です。生成AIは大量のテキストデータを処理し、キーワードの抽出、感情分析、トピックモデリングなどを自動化できます。これにより、ECサイトのユーザーの利用状況や有効な対策を生成AIに考えてもらうことが可能です。
さらに、財務データや市場動向の分析にも生成AIを適用できます。例えば、ある企業の決算書のデータを生成AIに分析してもらうことで、前年と比較した際に気になる点をピックアップしてもらうことも可能です。
顧客満足度を向上できる
生成AIをビジネスに活用するメリットの3つ目は、顧客満足度を向上できることです。
生成AIを活用することで、24時間365日対応可能なチャットボットを作成することもできます。顧客サポートはビジネス成功において重要な要素の一つですが、人間による対応には限界があります。しかし、生成AIを活用すればカスタマーサポートを強化することが可能です。
例えば、生成AIをウェブサイトやアプリ内に統合することで、ユーザーからの問い合わせに迅速に対応できます。生成AIがFAQ(よくある質問)の内容や過去の問い合わせ履歴を参照して、自動応答で問題解決のサポートを行うことも可能です。これにより、カスタマーサポート担当者の負荷を軽減し、顧客の満足度を向上させます。
また、生成Aなら24時間365日対応が可能なため、営業時間外に顧客がサポートを必要とする場合でも、AIは即座に対応し顧客の不明点を解消できます。これにより、国際的な顧客を持つ企業でも高品質なカスタマーサポートが提供できます。
API連携など技術的な対応が必要になりますが、生成AIをより高度に活用することで、顧客満足度の向上はもちろん、大幅なサポートコストの削減も期待できます。
ChatGPTの使い方がわからない場合は、ChatGPTに直接聞いてみるのも良いでしょう。
生成AIをビジネスに活用するための5つのコツ
生成AIをビジネスに上手く活用するための5つのコツをまとめました。
- 質問は具体的にする
- 質問を深堀してみる
- 質問を箇条書きにする
- 生成AIに役割を与える
- 出力方法を指定する
それぞれを解説します。
質問は具体的にする
生成AIに質問や指示をする場合、曖昧な表現よりも具体的な指示が効果的です。具体的な情報を求める際には、質問を詳細かつ明確にすることで、より正確な回答や結果を得られる可能性が高くなります。
例えば、「ビジネスのコツを教えて」と質問するよりも、「ビジネスで人脈を作るコツを10個教えて」や「ビジネスで伝わりやすいメールを書くコツを教えて」と具体的に質問する方が、より明確な回答を得られるでしょう。
質問を深堀してみる
生成AIの回答内容が抽象的だったりボリュームが少なかったりしたときは、質問をさらに深堀してみると良いです。「もっと詳しく教えて」や「○○についてさらに解説してください」など、質問をさらに深堀してみましょう。
生成AIは1回の質問で満足できる回答を返してくれない場合がほとんどです。深堀する質問を何回か投げかけて、より具体的な回答を導き出しましょう。
質問を箇条書きにする
長文で複雑な内容の質問は、生成AIが正しく理解できない場合があります。複雑な内容の質問は箇条書きを使ってみると良いでしょう。
箇条書きにすることで、生成AIが質問内容を理解しやすくなります。
生成AIに役割を与える
専門的な質問をする場合やより具体的な回答が欲しい場合は、はじめに生成AIに役割を与えてみましょう。
例えば、「あなたは一流の広告プランナーです。SNSを使ったマーケティング戦略を教えてください。」と役割を与えたうえで質問することにより、より具体的な回答が得られる場合があります。
出力方法を指定する
欲しい回答の形式があれば、生成AIに指定することもできます。例えば、「生成AIのメリット・デメリットを表形式にまとめてください」と出力形式を指定すれば、メリット・デメリットを比較表にしてまとめてくれます。
生成AIのビジネスでの活用シーン
生成AIのビジネス活用をイメージしやすいように、より具体的なシーンでの使用例を作成しました。生成AIは下記のようなシーンでも役に立つことができます。
- 商品のキャッチコピーを作成する
- デザインのラフ案を作成する
- 新製品のアイディアを考える
- 外国語の翻訳や長文の要約を行う
- 事業に必要なノウハウを集める
- データから傾向を分析する
- ビジネス上の課題を相談する
それぞれを解説します。
商品のキャッチコピーを作成する
生成AIを活用すれば、商品のキャッチコピーも作成できます。
製品の特長を生成AIに伝えるとともに、複数の案を提示するようにプロンプトに入力すると効果的です。生成AIが提案したキャッチコピーをベースにして、より洗練されたキャッチコピーへとブラッシュアップすると良いでしょう。
デザインのラフ案を作成する
生成AIは指示されたキーワードから、新しい画像を作ることができます。新しいデザインのラフ案を生成AIに作ってもらえば、より具体的なイメージが沸くとともに時間やコストも削減できるでしょう。
画像生成AIの「mage.space」を使えば、簡単な英語の指示で多彩なデザインを瞬時に作成してくれます。同じプロンプトであっても、生成するたびに異なる結果を返してくれるため、デザインの方向性を考える手間や時間を削減できます。
ただし、生成AIが作成した画像は、インターネット上の画像を参考にしている場合があり、他の作品の著作権を侵害している可能性があるため注意が必要です。生成AIが作成した画像を商用利用する際やデザインラフとして参考にする際でも、類似した作品がないか確認することが大切です。
新製品のアイディアを考える
生成AIを活用すれば、新製品のアイディアを一緒に考えることができます。どんな状況や課題に直面していて、どういう製品を作りたいかなどをプロンプトに入力すれば、生成AIがアイディアを一緒に考えてくれます。生成AIが考えてくれたアイディアをベースに考えれば、より短期間で新製品を開発できるようになるかもしれません。
外国語の翻訳や長文の要約を行う
生成AIは、翻訳や要約も得意です。例えば、外国語の文献であっても瞬時に翻訳してもらえます。また、長文を要約することもできるので、情報収集や調査が効率的に行えます。
事業に必要なノウハウを集める
生成AIを使えば、事業に必要なノウハウも効率よく集めることができます。本を買ったりインターネットで検索するよりもスピーディにノウハウを集められるので、ビジネスを加速することができます。
データから傾向を分析する
エクセルなどに入力されたデータなどを生成AIに貼り付ければ、その内容を分析することも可能です。例えば、自治体などが公開している人口動態データから、その傾向や特徴を解説してもらうことができます。
ビジネス上の課題を相談する
生成AIにビジネス上の課題を相談することもできます。ありきたりの回答が返ってくる場合もありますが、改めて考え直してみることで本質的な課題が見えてくる可能性もあります。
生成AIをビジネスで活用する際の注意点
生成AIのビジネス活用には知っておくべき注意点があります。主な注意点は以下の5つです。
- 生成AIは間違う場合がある
- 生成AIのデータは古い場合がある
- 生成AIが作ったデータをそのまま使わない
- 企業秘密や個人情報を入力しない
それぞれを解説します。
生成AIは間違う場合がある
生成AIは完璧ではありません。訓練データの内容や生成AIのアルゴリズム、その他の要因によっては、不正確な情報を出力する可能性があります。したがって、AIの出力をそのまま信用せず、人間が最終的にチェックすることが重要です。
生成AIのデータは古い場合がある
生成AIは膨大なデータから回答を導き出していますが、そのデータが古い場合もあるため現在の状況やトレンドに即していない場合があります。例えば、市場の動きや技術の進展が速い分野では、生成AIのデータが古いために活用できない場合があります。
なお、ChatGPTは2023年9月現在、20021年9月までのデータを利用しています。
生成AIが作ったデータをそのまま使わない
生成AIによって出力されたデータには、ビジネス上ふさわしくない情報や表現が含まれる可能性があります。例えば、倫理的に問題のある表現や差別的な思想が含まれる危険性もあります。
自社の信頼性や企業ブランドが損なわれる可能性があるため、出力データは必ず人間が最終的に確認し、必要な調整を加えることが大切です。必要に応じて、専門家や専門部署への確認などを行うと良いでしょう。
企業秘密や個人情報を入力しない
生成AIのプラットフォームやサービスは、入力したデータが外部に漏れるリスクがあります。特に企業秘密や個人情報などの機密情報は、第三者に漏れるリスクがありますので生成AIに入力しないことが大切です。
なお、生成AIのプラットフォームによっては、プラットフォーム側へのデータ提供をオプトアウトすることも可能です。また、法人向けのプランにすることで、より安全な環境で利用できる場合もあります。
しかし、企業秘密や個人情報をインターネットを通じて外部に送信することにはリスクが伴います。機密情報を生成AIに入力しないように注意しましょう。
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まとめ 生成AIのビジネス活用法について
今回は、生成AIをビジネスで活用するための使い方やメリット、注意点を解説しました。
生成AIは非常に便利なツールとしてビジネスに活用できます。しかし、質問の仕方によって回答の質が変わるため、プロンプトを具体的にできるように工夫していきましょう。生成AIの回答に不明瞭な点があれば、さらに深堀する質問を繰り返していくと効果的です。
また、生成AIの回答は鵜呑みにせず、ビジネスに活用する場合はファクトチェックや自社にふさわしい内容になっているかを確認しましょう。特に機密情報の漏えいや著作権侵害などのコンプライアンス違反には注意が必要です。
生成AIのメリットや注意点をしっかりと理解して、これからのビジネスに大いに活用していきましょう!
株式会社リッカ
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