【再生可能エネルギー由来の電力を証明】新時代のブロックチェーン活用事例とは?

再生可能エネルギー由来の電力を証明】新時代のブロックチェーン活用事例
  • 「再生可能エネルギーとブロックチェーンって関係あるの‥?」
  • 「自分にはあんまり関係ない話なんじゃ‥?」
  • 「そもそも再エネ電力ってなに‥?」

こんな疑問をお持ちではありませんか?近年関心を集めているとはいえ、再生可能エネルギー関連の話となると我々生活者とは無縁のように聞こえます。

しかし、再生可能エネルギーは私たちの生活とも深い結びつきがあり、さらにブロックチェーン技術によって大きな変容を遂げようとしています。

本記事では再エネ電力とブロックチェーンの特徴をそれぞれ解説し、さらに再エネ電力にブロックチェーンが活用された実際の事例をご紹介します。

この2つの関係性を理解すれば、新時代のブロックチェーンについての知識が深まります。

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目次

再生可能エネルギー由来の電力(再エネ電力)とは?

再生可能エネルギー由来の電力(再エネ電力)とは?

再エネ電力とは、「太陽光や風力・水力といった、枯渇せずに自然界に存在し続けるエネルギーを利用して発電された電力」のことです。石油や天然ガスなどの化石燃料による発電とは異なり、発電時に二酸化炭素を排出しないという特徴があります。

火力発電が電力供給の大半を占める日本ですが、近い将来燃料が枯渇する問題や地球温暖化の観点から使い続けることが難しいとされています。そのため、脱炭素社会の実現を進めていくうえで再生可能エネルギーに対する取り組みは、さらに必要性が高まっていくと考えられます。

まずはその再エネ電力の詳細について、次項で解説していきます。

再エネ電力の種類や調達方法

再エネ電力の種類や調達方法

再エネ電力の種類

実は、日本における再エネ電力は法令で以下の7種類と定められています。

  1. 太陽光
  2. 風力
  3. 水力
  4. 地熱
  5. 太陽熱
  6. 大気中の熱その他の自然界に存在する熱
  7. バイオマス

エネルギー供給事業者によるエネルギー源の環境適合利用及び化石エネルギー原料の有効な利用の促進に関する法律施行令

自然豊かな日本では、風力や水力は私たちにとっても比較的なじみの深い発電方法です。さらに太陽光も、東京都では2025年から新築戸建て住宅にソーラーパネル設置を義務化する条例が成立し、全国的な話題になりました。

一方で太陽熱や自然界に存在する熱というと、あまりピンとこない方も多いかもしれません。太陽熱発電とは、集熱器によって蒸気を発生させることでタービンを回して発電する方法です。高額な設備が不要でコストパフォーマンスに優れていますが、広大な土地が必要になるため、日本では普及があまり進んでいません。

また、自然界に存在する熱の例としては雪氷熱があります。冬季に雪や氷を保存しておき、夏季の冷房電力のエネルギー源とします。気候上、地域は限定されますが、古代から雪を利用して農作物保存などを保存してきた日本では活用しやすい発電方法かもしれません。

再エネ電力を調達する仕組み

実際に自社ビルで発電設備を保有している企業もありますが、費用や管理の観点から企業が再エネ電力を独自に調達するのは容易ではありません。そこで、環境価値証書を購入して実質的に再エネ電力を調達する制度があります。

環境価値証書とは「環境負荷を与えない」という価値を証書化したもので、「グリーン電力証書」「J-クレジット」「非化石証書」といった環境価値証書を購入することで、再エネ電力を調達しているとみなす仕組みです。この制度を利用することで、企業は大がかりな設備投資をせずに温暖化ガスを削減するという社会的責任を果たせます。

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また非化石証書の一部は、消費者が支払う再エネ賦課金で買い取りされます。同時にその売り上げは買取価格値下げという形で還元されるため、国民の負担軽減にも貢献できます。なんとも意外なところで、私たち国民とも結びつきがあったのです。

制度の概要|FIT・FIP制度|なっとく!再生可能エネルギー

再エネ電力を活用する3つのメリット

再エネ電力を活用する3つのメリット

続いて、再エネ電力を活用するメリットを解説していきます。

主なメリットは以下の3つです。

  • 環境意識の高い消費者に評価される
  • 国際社会や投資家にアピールできる
  • カーボンニュートラル社会の実現に貢献できる

では、それぞれについて解説します。

環境意識の高い消費者に評価される

近年ではファッションや美容、食品などにおいても、環境問題に配慮した消費者が増えています。消費者庁の調査結果によってもおよそ3人に1人がエシカル消費を実践していることが明らかになり、マーケティングの上でもESG経営は欠かせないものになっています。

「倫理的消費(エシカル消費)」に関する 消費者意識調査報告書

企業の環境配慮は直接利益につながるアクションではないため、すぐに目に見える結果を生み出すことは難しいかもしれません。しかし、企業の社会貢献活動は継続していくことで徐々にその目的や意義が周知され、市場における競争優位性を確保できます。

国際社会や投資家にアピールできる

現代の価値観にマッチした企業は、決して国内の消費者のみに評価されるわけではありません。2015年に国連サミットで採択された、持続可能な開発目標であるSDGsでも「エネルギーをみんなにそしてクリーンに(目標7)」と大きく取り上げられています。つまり、再エネ電力を通して脱炭素化を進めていくことは世界共通の文脈で理解されるため、国際社会に対しても存在意義を主張できます。

SDGsってなんだろう?

また、その意義は世界中の投資家にとっても同様といえるでしょう。企業が取り組むべき課題は、企業の経営方針の判断基準です。投資家たちは中長期的なリスクを避けたいため、社会の課題解決をリードする企業にこそ持続可能性があり、中長期的に見ても成長していく企業だと判断します。すなわち、資金調達するうえで投資家へのアピールポイントとなりうるのです。

カーボンニュートラル社会の実現に貢献できる

カーボンニュートラルとは、大気中に排出される二酸化炭素の量と森林などが吸収する二酸化炭素の量の均衡が取れた状態のことです。世界各国がパリ協定に基づいてカーボンニュートラルへの取り組みを表明しており、日本政府も2050年までに温室効果ガスの排出を実質的にゼロにする「2050年カーボンニュートラル」を宣言しました。

第3節 2050年カーボンニュートラルに向けた我が国の課題と取組

冒頭で説明した通り、再エネ電力は発電時に二酸化炭素を排出しません。そのため大気中に排出される温室効果ガスを削減することができ、カーボンニュートラルの実現に非常に効果的なアプローチとして注目を集めています。

再エネ電力にブロックチェーンを活用する3つのメリット

再エネ電力にブロックチェーンを活用する3つのメリット

再エネ電力にブロックチェーンを活用すると、主に以下のような3つのメリットがあります。

  • 電力使用に関する不正や改ざんを防止できる
  • 再エネ電力であることを証明できる
  • 再エネ電力の消費を選択できる

それぞれについて詳しく見ていきましょう。

電力使用に関する不正や改ざんを防止できる

ブロックチェーンは「ハッシュ関数」「PoW」「公開鍵暗号方式」といった複数の技術によって、データの改ざんリスクに対して非常に強いという性質をもっています。そのため電力使用に関して不正を働くことが難しくなり、公共料金の公正性や透明性の担保が可能になります。

また電力会社の中央主権的な旧システムに不具合が生じると、顧客に正しく電力使用量を請求できないことがあります。これに対してブロックチェーンは記録した情報を複数のノード(端末)で管理するため、不具合が起きた際もすぐに正常なデータをリカバリーでき、大きなトラブルに発展しにくくなります。

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再エネ電力であることを証明できる

非改ざん性というブロックチェーンの性質を生かすことで、再エネ電力のトレーサビリティを実現することもできます。エネルギー生成の一連の流れをブロックチェーンで記録・共有し、「どこで・誰が・いつ・どれくらい」といった電力供給の経路を可視化することで、再エネ電力による経済活動を消費者に証明できるというわけです。

実際にサプライチェーンにブロックチェーンを組み込むことで、調達から消費までの透明性を確保している企業や正規品との真贋証明のツールとして偽造品撲滅に取り組む企業は多数存在します。情報の信頼性を語るうえでブロックチェーンは欠かせない存在となっています。

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再エネ電力の消費を選択できる

ブロックチェーンでは、P2P(Peer to Peer)という通信方式を採用しています。これは不特定多数のコンピュータがサーバを介さずに網目状に接続し、直接データファイルを共有できる通信技術のことです。

一方の国内の電力分野でも、電力小売全面自由化によって消費者が直接売り手を選択することが可能になりました。現行の電気事業法では電力の販売は小売電気事業者に限定されているため個人間での電力取引はできませんが、個人間取引とブロックチェーンは親和性の高い技術となっています。

法整備等のクリアすべき課題も残っていますが、ブロックチェーンによる再エネ電力取引が実現すれば、いつでも・誰でも再エネ電力の供給元を選択できるようになります。そのため企業や国家からの関心も高く、国内外の企業でシステムの開発が進められています。

ブロックチェーンで再エネ証明 東電系、個人間取引で – 日本経済新聞

再エネ電力におけるブロックチェーン活用事例

再エネ電力におけるブロックチェーン活用事例

実際に再エネ電力にブロックチェーンが活用されている事例をご紹介します。

出光興産の「IDEPASS™」と「再エネチョイス™」

出光興産では、電力使用者自らが再エネ電力とそれ以外の電力を選択できる分別供給システム「IDEPASS(イデパス)」とEV(電気自動車)ユーザーが再エネでの充電を選択できるシステム「再エネチョイス」を開発しています。

テナント単位でも!EVでも!使用電力は自分で「選べる」時代へ 再エネ電力分別供給システム「IDEPASS™」とEV充電システム「再エネチョイス™」を開発しました

従来の供給システムでは、商業施設や空港などの大型施設内においてテナント・部屋単位で使用電力を選択することはできませんでした。しかし、「IDEPASS」ではブロックチェーンの活用によってトレーサビリティを確保し、空間別の電力の分別供給を実現しました。

また「再エネチョイス」はEV充電の際に「IDEPASS」で分別された再エネ電力を一定比率で含有できるシステムで、個人単位での再エネ活用を推進する仕組みとなっています。

出光興産のブロックチェーン活用を支えるトレードログ株式会社とは?

上述の事例では、種子島空港や南種子町役場庁舎で実証実験が行われるなど様々な組織が参画してプロジェクトが推進されました。その中でもブロックチェーン分野では、トレードログ株式会社のブロックチェーン導入ツール「YUBIKIRI®︎」を電力関連用途向けにモジュール化した「YUBIKIRI for GX」が採択されています。

トレードログ株式会社では、システムの開発からPMOに至るまで一気通貫で行います。知識と経験が豊富なプロフェッショナルによって、様々な角度からブロックチェーンを複合的に組み合わせたサポートを行うため、大手企業との取引実績も豊富です。

トレードログ株式会社

2021年3月には資生堂グループの株式会社ザ・ギンザに向けて、ラグジュアリーコスメブランドでは世界初となる、IoTとブランドマーケティング連携ブロックチェーン技術を導入したツール「YUBIKIRI(ユビキリ)」の提供を開始しました。

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まとめ 再エネ電力の証明とブロックチェーンについて

まとめ 再エネ電力の証明とブロックチェーンについて

今回は再エネ電力のメリットに触れつつ、ブロックチェーンを導入するメリットや実際のケースについて紹介しました。

環境問題やCSRにおける効果的なアプローチとしても期待されるブロックチェーンですが、企業がブロックチェーンを開発・導入する際にはいくつかの注意点や独特のノウハウがあります。ブロックチェーンやスマートコントラクトを活用したビジネス開発に少しでもご興味があれば、トレードログ株式会社・株式会社リッカにぜひご相談ください。

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