ブロックチェーンで、4億ドルのコスト削減できるの可能性
ledgerinsightsによると、航空輸送業界向けの多国籍ITプロバイダーであるSITAは、カナダの非営利企業体ULD Careと提携し、航空貨物業界で年間4億ドルのコスト削減をするために、ブロックチェーンテクノロジーの活用を模索しています。
ULD・・・航空機の貨物室に搭載するためのコンテナの総称
このプロジェクトではULDをブロックチェーンで追跡・記録します。
航空貨物業界とブロックチェーン
航空貨物業界にブロックチェーンを取り入れることの主な目的は、業界効率を改善することですが、それだけではなく、航空貨物業界全体の業務におけるコストを削減、損失を減らし、貨物に対する損害を防ぐことに役立つことも期待されています。
また、ブロックチェーンプラットフォーム上の耐改ざん性による、サイバー犯罪(セキュリティの向上)、貿易ベースのマネーロンダリング、詐欺、および不正取引のリスクを軽減することも注目されています。
SITAとULD Careの提携で4億ドル削減の可能性
SITAによると現在90万個のULDが稼働しています。
稼働中の非効率性、貨物の紛失や、ULDまたは航空機への損傷などを鑑みると、結果として約4億ドルの不要な年間費用が発生する可能性があると推定しています。
SITAとULD Careはブロックチェーンを使用して、以下の実現を目指しています。
・現在の非効率性、紛失、航空機への損傷などあらゆる損失を防ぐ
・耐改ざん性によるセキュリティ上の問題解決
・詐欺、不正取引、サイバー犯罪、マネーロンダリングなどそのほかの犯罪行為のリスクを軽減する
現在稼働中の90万個のULDによる非効率性等で失う可能性がある約4億ドルを、ブロックチェーンを導入することで未然に防ぎ様々なリスクの軽減を実現しようとしています。
ULDプロセスの透明性を向上させると同時に、ブロックチェーンは、紙で処理していた工程をなくすことができるため、貨物輸送のプロセスをスピードアップさせることもできます。
ULD Careのバイスプレジデント兼財務担当のBob Rogers氏は述べています。
「航空貨物は、全世界の貿易量の1%にすぎませんが、総貿易額の35%を占めており、非効率というのは重要な問題です。」
今回の概念実証(POC)について
今回提案された概念実証(POC)は、航空貨物の旅程全体のすべてのデータポイントを接続し、すべてのULDデータに共通のプラットフォームを提供することです。
ブロックチェーンプラットフォームは、オープンAPIを使用し、既存のULDインターラインプラットフォームと統合してアクセスを可能にします。APIのスムーズな連携により、航空会社はULDの動きを追跡し、コスト管理や、損傷・損失が発生してしまった場合の、問題箇所を特定することができます。
SITAは、特定の貨物を出荷する際には、貨物を監視や追跡する企業が最大12社存在していると述べており、これらの企業は紙ベースでやり取りを行っています。ブロックチェーンプラットフォームを使用することで、関係各所が1つのプラットフォームに参加して、シームレスにデータを共有することができます。
SITAのAir Travel Solutionsの社長であるMatthys Serfontein氏は次のように述べています。
「私たちはブロックチェーンについて真剣に検討しており、今回航空貨物業界を変革する技術の可能性をテストできることをとても嬉しく思います。貨物だけでなく、航空輸送業界全体で共通の課題に対処するという大きな可能性も見出しています。
シームレスな空の旅の最大の障害は、航空会社、空港、地上担当者、管轄当局など、多くの利害関係者ごとに孤立したプロセスです。それらは、あらゆる段階で重要なスピードバンプとして機能します。」
今回のブロックチェーンとIoTを使ったULDの追跡は、Global Blockchain Allianceのプロジェクトの一部です。
他業種同士が1つのプラットフォームでやり取りできる
ブロックチェーンを取り入れることで、異なる業界の企業でも1つのプラットフォーム内で情報交換を行うことができます。航空貨物業界の様にあらゆるステークホルダーがそれぞれ異なるワークフローを行っているような業種は、ブロックチェーンを活用することで、業界全体の効率化につながる可能性を秘めています。
複数の企業、団体を巻き込むことになるため、導入は簡単ではないですが、今回の事例のように近年ブロックチェーンの活用は世界的に様々な業界で盛んに行われています。
コメント