2021年最新注目のブロックチェーンビジネス活用事例10選
2021年は、国内の大手企業が続々とブロックチェーンを使ったプロジェクトの実証実験やPoCを行っているニュースが発表されており、海外ではCOVID-19による感染拡大による、予防接種ワクチンの管理ツール等を中心にブロックチェーンが多く活用されています。
今、ブロックチェーンは、非金融分野におけるビジネスへの流用が非常に活発化しています。
どうしてここまでブロックチェーンが様々な分野において活用されているのか、2021年に公表された事例をご紹介しつつ、ブロックチェーンが活用されているポイントを解説していきます。
2021年最新ブロックチェーンビジネス活用事例 記事10選
ブロックチェーンベースのCOVID-19検査記録アプリで航空業界に安全性をもたらす
2021年2月17日にAir Franceは、COVID-19検査結果を記録することができるブロックチェーンべースのモバイルアプリケーションであるICCAOKPASを利用したテストを3月11日からパリCDG-ポワンタ-ピートル線とパリCDG-フォール・ド・フランス線で4週間行うことを発表しました。ICC AOKpasのアプリケーションを通じて個人のCOVID-19検査結果を空港関係者へ提示することができるようになります。
ICC AOKpassの強みは、80,000を超える認定クリニック、医療提供者による国際ネットワークが構築されているため、検査結果が医療機関を通じた正しいものであり、ブロックチェーンベースで結果を記録するため、改ざんが不可能である点です。
これにより、空港関係者は旅客の正しい検査結果を知ることができるようになります。
保険会社同士のやり取りをブロックチェーンで効率化する
2021年1月26日に米国の保険会社State Farmは、同じく保険会社であるUSAAとともに開発した、ブロックチェーンテクノロジーを使った自動代位弁済請求ソリューションを発表し、このソリューションへの保険会社の参加募集を開始しました。
代位弁済は、保険会社間で何往復もする書類業務が多かったために、書類の郵送が伴うプロセスをブロックチェーンを用いて自動化し、支払処理を適切かつ処理の効率化を測るためのテストが行われていました。
ブロックチェーンの導入で、手動による処理を自動化し、人為的ミスの発生する可能性を削減するとともに代位弁済に掛かる全体の処理時間を大幅に短縮することが期待されています。
ブロックチェーンで自動車中古市場における自動車保有履歴を明らかにする
2021年1月19日に世界最大の自動車メーカーや、交通機関、保険会社、テクノロジー企業などが参加している非営利コンソーシアムであるMobilityOpen Blockchain Initiative(MOBI)は、中古車販売市場において、ブロックチェーンを利用し、複数のステークホルダーと車両の製造証明書を共有することができるモビリティエコシステムを開発していることを明かしました。中古車販売市場においては走行距離が実際の距離よりも短く偽造されたものや、洪水で損傷した車であるにもかかわらずそれを隠蔽して販売している実態があり、偽造や隠蔽を防ぐためにブロックチェーンを活用しています。
ブロックチェーンを用いて自動車1つ1つに対するアイデンティティを確立し、自動車それぞれの修理情報を追跡することで、中古車販売時の偽造、不正な販売を抑制しようとしています。
ブロックチェーンでSDGsを実現|アルミニウムの製造時のトレーサビリティを明らかにする
2021年3月1日に大手アルミニウム生産企業であるHydroは、認証機関であるDNV GLと、協力しDNVの持つブロックチェーン「Tag.Trace.Tags」を使ったパイロットテストを開始したことを発表しました。パイロットテストでは、Hydroの持つ2つのアルミニウムブランドについての持続可能性を証明するためにブロックチェーントレーサビリティが活用されます。
Tag.Trace.Tagsは、製品に一意のデジタルIDタグ付けを行うことで、原産地の情報や位置情報などライフサイクルに関係する情報を記録、製品の追跡を可能にし、製品の特性に関する承認情報をデジタル証明書やデジタル製品パスポートで発行することで製品の真正性を保証することができます。
ブロックチェーンを用いてリサイクル素材を追跡、証明することができるソリューションでSDGsを実現
2021年3月9日にメディアサイトSourcing JournalにてDenim Dealが、ブロックチェーンテクノロジー企業であるAware™と提携して、ジーンズのリサイクル素材の含有量を追跡することを明らかにしました。Denim Dealは衣料品の繊維廃棄物のリサイクルに関する課題を解決することを目標としているイニシアチブであり、Aware™とともに企業がSDGsへの取り組みや、環境に配慮したCo2などの削減目標を正確に測定することができるソリューションを開発します。
ブロックチェーンべースのプラットフォームに記録されているAware™独自のトレーサー粒子というものを使いリサイクル素材を追跡し製品にリサイクル素材がどの程度含まれているかブロックチェーン上で検証・証明することができるようになります。このソリューションにより企業は自社製品のリサイクル素材利用量について証明する手段を得ることができます。
ブロックチェーンで穀物のアレルゲンや油糧種子の純度を追跡管理する
コンテンツ管理プラットフォームをブロックチェーンを活用して展開するYaliyomoは、農業大手企業のAgrariusとともに穀物と油糧種子について、ブロックチェーンベースの追跡ソリューションを用いてトレーサビリティを強化するプロジェクトを発表しました。
このプロジェクトは、ドイツ国内で議論されている「サプライチェーン法」を先取りしたものとなっており、将来的にサプライチェーンの透明性に関して注意を払う必要があることから考えられたものです。ブロックチェーンプラットフォームを利用し、穀物の純度やアレルゲンの残留物がないか等の品質指標を穀物と油糧種子の全行程に沿って測定を行っていく予定です。
ブロックチェーン技術を公立学校が利用、教員と生徒の心身の健康状態をCOVID-19から守り管理する
2021年2月16日に、ブロックチェーンベースの健康管理プラットフォームTeam.Care Networkを提供するグローバルヘルスケアテクノロジー会社であるSolve.Careは、カリフォルニア州の公立学校を行政支援サービスを提供するCollaborative Charter Services OrganizationがTeam.Care Networkを活用することを発表しました。
Team.Care Networkのアプリケーションはスタッフが健康な状態かどうかを確認するために、心身の健康状態を管理することが可能となっており、この機能はCOVID-19によって変化してしまった環境における心身の健康管理に役立つことが大いに期待されています。
ブロックチェーン技術によって、プライバシー保護に配慮したアプリケーションとなっており、GDPRおよびHIPAAの規制に準拠している点が特徴の1つです。
ブロックチェーンで車の部品が純正品か確認する
自動車部品でデンソーに次ぐ世界3位のHyundai MOBISが、AIとブロックチェーンを活用した新しいリソース管理統合システムMAPSを構築し、今年から運用に入ったことを2021年1月3日に明らかにしました。
Hyundai MOBISが提供している自動車の部品は非常に多く、管理項目だけでも300万種類にのぼるため、世界各地の顧客に対して、アフターサービス時に自動車の部品を適切に供給するためには、膨大なデータをリアルタイムで正確に処理することができる管理システムは不可欠でした。
リソース管理統合システムにおいてブロックチェーンは部品のライセンス認証管理システムとして活用され、部品が純正品でありライセンスが与えられているかどうかを消費者が判断できるようなソリューションとして取り入れています。
ブロックチェーンでウールのトレーサビリティを管理
Everledgerは2021年1月に、オーストラリアのウールについて研究開発、マーケティングを行う非営利団体のAUSTRALIAN Wool Innovationが、農場から消費者に届くまでのウールのサプライチェーンの管理過程を追跡するためにEverledger Platformを活用することを明らかにしました。
メリノ種の羊から取ることができるウールは世界的に価値が高く、合成素材に比べてエコロジカルフットプリントを大幅に削減できます。メリノウールは世界中で多く取引されており、サプライチェーンには品質と製品の真正性が求められています。ブロックチェーンを活用し、出荷されたウールの所有権の移転を農場から海外での加工、最終製品までのサプライチェーンを追跡、検証することを可能にすることでサプライチェーンに透明性をもたらし、ウールの品質と真正性を証明します。
ブロックチェーン×繊維サプライチェーンで環境問題解決へ
2021年3月2日にアメリカのニューヨーク洲の公式ウェブサイトのプレスリリースで、IBMと共同でCOVID-19ワクチン接種の証明や検査結果を表示することができるブロックチェーンを活用した健康証明アプリケーション「Excelsior Pass」のパイロットテストを行っていることを発表しました。
Excelsior Passは、個人の予防接種情報、COVID-19検査結果情報に関わる機密データをニューヨーク州の厳格なガイドラインを遵守した形で、劇場や、スタジアムなどの入場時に利用することができるアプリケーションです。
ブロックチェーンを用いて個人の健康情報を管理することで、個人が自分の健康情報を検証可能なQRコードとして開示するか否かに関する裁量を持つことができます。そして開示する情報は、現在の健康状態のみとなり、個人の直接的な医療情報や個人情報は提供する必要はありません。
ブロックチェーンを活用し個人情報に関する機密データの扱いに関するガイドラインに遵守しプライバシーへの配慮を実現しています。
最後に
2021年は、国内においても非常に多くのプロジェクトが発表されています。ブロックチェーンの活用分野は幅広く、テクノロジーの活用方法も様々です。
COVID-19が流行している現環境をより良くするためのブロックチェーン活用も昨今は多く発表されています。今後もブロックチェーンに関する情報の注目度は高い状態で維持されることでしょう。
いろいろな分野におけるビジネスへのブロックチェーン活用事例を引き続き、チェックしてみてください。
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