ブロックチェーン技術の無限の可能性
ブロックチェーン技術はその成り立ちから、どうしても金融や投機としてのイメージが強いのが現状ですが、実は世界ではすでに金融以外でブロックチェーン技術を取り入れたユースケースが多数存在します。どのような業界でどのようにブロックチェーンを活用しているのかを知ることで先を見据えたビジネス展開を行なうことができるはずです。
就職活動における学生の個人情報の安全を確立
企業と学生のマッチングサービスは、個人情報の流出や不正利用などの問題が挙げられます。就職活動における学生の情報をブロックチェーンで安全に管理し、学生自身が個人情報のコントロールができるシステム「STAR」のご紹介です。
まず、従来の個人情報はサービス提供側のデータベースで特権的に管理されているため、個々人にコントローラビリティはありませんでした。実際に、リクナビ事件では、就活生の個人情報を明確な同意なしに第三者へ提供していたという事実が発覚し、就活生を不安にさせました。一方、ブロックチェーンを活用することにより、個人が情報を管理し、第三者へ提示する情報を選択することが可能となります。そのため、第三者が勝手に個人の情報を利用することが出来なくなります。
STARとは、学生と企業をマッチングする新しいプラットフォームであり、ブロックチェーンを用いた個人情報の管理·活用を実現するシステムです。同システムは慶應義塾大学FinTekセンターが主幹となり実証が進められています。学習歴や活動実績·適性を登録し、その蓄積したデータを就職活動時の企業とのマッチングに活用することができます。また、学生は個人情報の提供先、開示範囲、開示期間を自身で選択し、開示不要になったデータを消去することが可能になり、安心安全な就職活動を行うことができます。
現在、他大学も参加する実証段階であり、完全オンラインにより学位の取得が目指せる大学、ネットの大学 managaraがSTARの導入に至りました。
ここまでは、大学関連の個人情報管理におけるブロックチェーンの活用をご紹介しました。最後に、ブロックチェーンによって個人情報を個々人が選択可能にした事例と大学関連のブロックチェーン活用事例を紹介します。
個人情報を個々人がコントロールできるようにした医療業界の事例
医療データ管理プラットフォーム「E-NewHealthLife」は、データの管理を中央集権的な方法から分散管理型の方法に変更できるため、患者本人を含めた医療における関係各所がそれぞれでデータを閲覧、管理することが可能となります。また、自分に関する医療データは、自分が承諾をすることで初めて第3者に共有される仕組みとなっています。
大学の卒業証書を管理するブロックチェーン事例
スイスにある世界有数の経営大学 ザンクトガレン大学は卒業証書の認証手段としてブロックチェーンの技術を使用することを発表しました。ブロックチェーンを用いることで卒業証書の信憑性を認証することができるようになります。
最後に
現在STARへ参加している企業は8社ですが、参加する学生や企業が多ければ多いほどブロックチェーンの利用の意義が出てきます。今後はさらに日本から世界への参加企業数·参加学生数の拡大を期待します。
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