中古自動車業界では、使用済み自動車を解体し取り出された部品の需要が上がっており、世界中で活発に取引が行われています。
しかし、これらの中には適切な処理がされずに市場に出回っている問題があるのが現状です。
そこで本記事では、中古車部品の流通におけるブロックチェーンの活用事例を紹介していきましょう。
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中古車部品販売の問題点
使用済み自動車は、自動車リサイクル法に基づき、本来であれば再資源化のために適切な処理が行われるべきです。
しかし、廃油・廃液等の処理やフロン・エアバッグの処理が適切に行われていないなど、中古車部品の流通には不正な取引が行われているのが現状です。
ブロックチェーンを活用するメリットとは?
ブロックチェーン上で記録されたデータは改ざんが困難であるため、複数企業の間でデータの共有ができます。
中古自動車をリサイクルする際、車の所有者が取引事業者に車を引き渡した後、フロン類回収事業者、自動車メーカー・輸入事業者、解体事業者、破砕事業者といった複数の企業を経由して、回収した部品を処理しています。
車の情報をブロックチェーン上に記録し、車の所有者がどこの取引自動車に引渡し、どこの車両の部品が、どこから来た車が、どこの工場で解体されたのかなどの多様な情報を一元管理することができるのです。
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中古車部品×ブロックチェーンの事例
それでは中古自動車部品分野におけるブロックチェーンの活用事例を紹介します。
SSトレーディング株式会社は、ブロックチェーンを活用した中古自動車部品のトレーサビリティに取り組むと発表がありました。
SSトレーディング株式会社は、SBIグループのSBI Africa(SBIアフリカ)と、SOMPOグループのSOMPO Light Vortex(ソンポライトボルテックス)が共同で設立しました。
SOMPOグループを始めとした損害保険会社等を通じて供給される使用済自動車を引取・解体し、商品化された中古自動車部品をSBI Africaの海外販売拠点等に輸出・販売を行うとのことです。
日本には使用済み自動車が年間330万台程度あり、解体工程の中で発生する日本初の中古車部品は高品質のため、新興国にて強い需要があります。
ブロックチェーンの基盤には、エンタープライズ向けブロックチェーン「コルダ(Corda)」が使用されています。このプラットフォームの活用し、中古自動車部品の販売におけるトレーサビリティを実現します。サプライチェーンファイナンスを通じてキャッシュフローの効率化を図る意図があるとのことです。
さらに、トレーサビリティの実現だけではなく、機械学習を利用した使用済み自動車の購買需要予測等を行うとのことで、リサイクル・リユース精度を向上することも目指しています。
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まとめ
ブロックチェーンを活用することで、品質の高い日本の中古車部品を不正なく流通させることができ、SDGsの達成とアフリカの新興国の発展が一挙両得できる素晴らしい取り組みをご紹介しました。
世界全体としてSDGsが重要視される中で、ブロックチェーンの活用によりリユース・リサイクルの動きが食品、家電、建設、衣服など他分野でも活発になっていくことが期待されています。
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