AI裁判官も近い?中国で裁判にブロックチェーン技術とAIの採用した結果

AIやブロックチェーンを取り入れた裁判を行った結果

裁判×ブロックチェーン イメージ画像

北京インターネット裁判所の会長Zhang Wen氏が、2019年の中国知的所有権保護フォーラムのセミナーでブロックチェーン技術や人工知能(AI)を採用した判決を行い、素晴らしい結果を示すことができたと述べたことを地元の報道機関Global Timesが4月25日に報じました。

Zhang氏はまた以下の通り述べています。
「判決を下すためのサポートとして使用している現在の人工知能(AI)では、正確性よりも効率性が優先されます。最終的には人間の裁判官が公正な裁定に責任を負っています。しかしAIが裁判官として地位に着くのを目撃した時、我々は未来に向かって歩き出すでしょう」

 

ブロックチェーンを法的証拠として認めた中国

中国では2018年9月7日に、中国の最高裁判所がブロックチェーンに記録されたデータを正式に法的証拠として認めることを発表しています。

最高裁判所は、 「インターネット裁判所は、関係者がデータをデジタル署名付きブロックチェーン、信頼性の高いタイムスタンプ、ハッシュ値検証、またはデジタル証拠プラットフォームを介して収集および保存し、使用された技術の信頼性を証明できる場合、証拠として提出されたデジタルデータを承認する」と宣言しました。

昨年12月、中国東部の杭州市にあるインターネット裁判所では、WEBライターの盗作(著作権侵害)を無くすためにブロックチェーンを使用しました。
この際にインターネット裁判所の裁判官であるWang Jiangqiao氏は、「ブロックチェーンはデータが改ざんされないことを保証するので、司法はブロックチェーンシステムに保存されているすべての痕跡を法的効力を有するものとして認める」と述べました。

偽造不可能なブロックチェーン技術でデジタル証拠を残す

従来、著作権を侵害された場合の証拠として、ダウンロードした履歴や、スクリーンショットを使用していましたが、簡単に偽造できてしまうことから証拠能力として十分な効力を有しているとは言えませんでした。

裁判の証拠としてブロックチェーンを用いてデータを保管する方法としては、証拠保存のためのプラットフォームを利用し、著作権侵害をしている対象のサイトに対して証拠となるキャプチャーやソースコード、関連したデータと一緒にハッシュ値に変換するというものです。
証拠として裁判時に提出するときは、ハッシュ値を検索し、秘密鍵を使用することでブロックチェーンで保存されていたデータを確認することができます。さらにハッシュ値で保存されたデータは、内容のみならず保存された時間も確認することができます。

ブロックチェーンの特徴上、ブロックチェーンに記録されたデータは改変が不可能であるため、裁判の証拠として利用する場合には非常に相性が良いと言えます。

AIを取り入れた裁判で関連業務を効率化

また、中国ではAIを利用した裁判も積極的に執り行われています。海南省の裁判所では、ビッグデータ処理、自然言語処理、グラフ構造の知識データや深層学習などの技術を取り入れており、AIを用いて過去の判決の分析・応用することで判決書や法律に関する文章も作成を行います。裁判に関する作業時間の大幅な減少をAIが実現しています。

 

裁判にブロックチェーンを採用しようとする流れは、アメリカのカリフォルニア州でも確認されています。世界中で裁判にブロックチェーンを取り入れた事例が増えれば、日本の裁判でもブロックチェーンを用いた技術による証拠能力が認められる可能性は大いにあり、そういったプロジェクトが徐々に増えてくることも容易に考えられます。
今後を見越した動きが今求められています。

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

この記事を書いた人

コメント

コメント一覧 (1件)

  • ドバイでは、21年までに連邦レベルでの政府取引の50%が、ブロックチェーン技術を使って実施されるようになることが発表されています。ブロックチェーンの採用は「国民の幸福レベルを上げ」、何百時間もの労働を節約し、政府関連文書を3億8900万枚減らすだろうと見込んでいるとのこと。
    AI、ブロックチェーンの導入は、人々の働き方を大きく変えそうですね。

コメントする

目次