ミツバチをブロックチェーンで追跡管理すると、食料の安定供給につながる

食用作物の受粉に重要なミツバチは世界的に減少中

蜂蜜イメージ画像

私たちの生活とミツバチは直接関わりがあるわけではありませんが、私たちが食べる作物にはハチの受粉が大きく影響しています。
何年も前から養殖、野生に関係なく世界中のハチの数は減り続けており、現在アメリカにはミツバチのコロニーと呼ばれる生命共同体社会は250万しか存在しておらず、1940年代の半分にも満たない数です。
そして、世界からミツバチがいなくなってしまうと、世界の農家の35%が収穫低下し、世界の主要な農作物の87品種が影響を受けるそうです。

ミツバチによる受粉は生活に不可欠な存在であり自然と農業を支えています。

ミツバチが減っている主な要因として病原体、害虫、ストレス、農薬ですが、確かな原因は解明されていません。
そのほかにも集約的な農業や自然の開花生息地の破壊と断片化、廃棄物によって引き起こされる汚染、気候パターンの変化等様々な現象が影響していると考えられています。

ミツバチをブロックチェーンで追跡、減少の課題を解決する方法を見つけることで食料の安全性と生活を向上させることを使命としているプロジェクトが存在しています。

ミツバチをブロックチェーンで追跡管理するプロジェクト

The World Bee Projectは、複数のパートナー企業からできており、先端技術を小規模農家に直接提供し、ハチの生態系の回復を促進させるビジョンを持っています。

パートナー企業として、コンピューティングテクノロジーについては、エンタープライズデータベース製品で最もよく知られている米国の多国籍ソフトウェアおよびコンピューター企業であるOracle Cloud、受粉花および受粉に関連する研究についてはレディング大学、ソフトウェア開発パートナーはHive Tracksなどですです。

The World Bee Projectによる、World Bee Project Global Data Platformは、IoTおよびAIセンサーを利用し、巣の体重、ミツバチの移動距離、さらには巣内部からの音響データまでの測定基準を収集データをOracleのクラウドに蓄積することで、世界初のAI駆動の「ハイテクな巣」を誕生させ、ミツバチの巣を監視するイニシアチブです。

The World Bee ProjectTheValueOfGlobalHiveNetwork画像

花粉をブロックチェーン上で管理、識別する

レディング大学の科学者たちによりOracleのブロックチェーン・ソリューション上に記録されるデータから巣の周辺の植物からの花粉の署名を記録する方法を開発しました。

Oracleのブロックチェーン・ソリューション上に、すでに記録されている花粉からできている蜂蜜のほかに、後から別の蜂蜜が追加され品質が落ちた場合、別の花粉の署名を記録することができ、その蜂蜜はシングルソースからのものとして認定されることはありません。

Oracleのブロックチェーン・ソリューションは、世界蜂プロジェクトと、EUの世界的な受粉アドバイザーで、国連の生物多様条約のメンバーである、Simon Potts教授と一緒に開発されています。
このことは、これまで追跡が不可能であった問題に対処するものとして、注目されている例の1つとなっています。

Bee Mark©が守る蜂蜜のサプライチェーン

Food Safety Newsによれば店で売られる蜂蜜の75%以上が「偽物」、もしくはラベルの表記が偽造されているそうです。

現在、蜂蜜サプライチェーンには精製糖、コーンシロップ、塩、など不純物が入った蜂蜜や、他の有毒物質などで汚染された蜂蜜が多くの店舗で販売されています。さらに、蜂蜜に貼られたラベルの内容とは異なるものが入っている製品も存在しています。

これは消費者にとっての問題であるだけでなく、良質の蜂蜜を供給する養蜂家にとっても大きな経済的負担となっており、このような養蜂家は持続的に蜂を管理しているので、高品質に管理された蜂の巣の質にも影響を与えます。

The World Bee Projectのチームにより、Bee Mark©というラベルがブロックチェーンを使って開発されています。

ブロックチェーンによって蜂蜜の生産に関わるデータを追跡・記録・保存し、消費者から閲覧可能にすることで、蜂蜜に不純物が入っていないことや、高品質であることを保証するラベルを実現しようとしています。
このBee Mark©は将来的に消費者が小売店でBee Mark©ラベルのQRコードをスキャンすると、蜂蜜に関するデータを確認することが出来るものです。
Bee Mark©で活用されているブロックチェーンフレームワークは、Hyperledger Fabricです。Bee Mark©のラベルからは、湿度や温度、ハチの巣の重量等の情報が保存され、改ざんされていないことを保証します。

現在はまだパイロットプラントの段階ですが、Bee Mark©はブロックチェーンを介した大規模なスケーラビリティプラットフォームを提供することを目標としています。

原産地が販売時点で証明されることで、養蜂家や農家は蜂蜜により高い価格を設定を可能とし、結果的に、巣に対してより多くの時間と資源を投資することができ、同様に、消費者は蜂蜜製品を信頼することができるでしょう。

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