ブロックチェーンテクノロジーで柑橘類を追跡

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ブロックチェーンテクノロジーで柑橘類を追跡

農業イメージ画像

オーストラリア国内で、商用柑橘類栽培者を代表する業界団体として認められている非営利団体 Citrus Australiaは、ブロックチェーンベースのトレーサビリティシステムを試験運用しています。

Citrus Australiaは、認証サービスプロバイダーのLaava IDおよびブロックチェーン会社のTrust Provenanceと協力して、オーストラリア産柑橘類の輸出向け食品トレーサビリティシステムを開発しています。

オーストラリアでは、果物は農業輸出品に占める割合が多く、中でも柑橘類は、世界の50を超える市場に出荷されます。

昨年(2019)、オーストラリアの柑橘類は304,000トンも出荷されており、そのトップの輸入国は中国となっています。

この試験運用で、Citrus Australiaは、柑橘類の包装出荷業者および輸出業者であるMildura Fruit Company、ならびにオーストラリアのTang-gold(種なしマンダリン)のマスターライセンシーであるNu Leaf IPと提携しています。

このプロジェクトは、ビクトリア州で栽培されている柑橘系果物の生産情報を簡単に確認できるようにし、偽造品を防ぎ、収穫から食卓までのサプライチェーンの実現を目的としています。

消費者は、果物のトレーサビリティシステムにより、柑橘類の産地を農場から市場に至るまで、国内のみだけでなく国際的に追跡することができます。このプロジェクトは、2020年の収穫期間を含む7か月間実行され、その結果は、他農園へのトレーサビリティシステム導入可否の判断材料となる予定です。

柑橘類のトレーサビリティを実現するテクノロジー

Laava IDが持つ技術は、商品の1つ1つに固有の2次元画像のID(フィンガープリントテクノロジ)を振り分けることで商品のトレーサビリティを追うことができ、2次元画像のIDを消費者がモバイル端末で読み取ることで商品の詳細を確認することができます。Laava IDにより商品の安全性や偽造品の防止を実現することできます。LaavaID画像

Trust Provenanceは、生鮮食品の生産者、加工業者、小売業者、販売業者向けに商品のサプライチェーンをブロックチェーンデータベースで記録しリアルタイムのアクセス性と透明性、信頼性を持たせる開発を行っています。
Citrus Australiaの試験運用においては、Trust Provenanceのプラットフォームは、IoTデバイスや、その他のサプライチェーンパートナーの統合システムからの情報をブロックチェーン上に記録し、安全なストレージを提供します。
Trust Provenanceは、既にサプライチェーンのトレーサビリティシステムにおいて、マンゴー生産者と協力した実績を持っています。

消費者は、2社のテクノロジーを用いたトレーサビリティシステムを使うことにより、柑橘類の農場から市場に至るまでのサプライチェーンを確認することができます。

オーストラリアは農業サプライチェーンに積極的

Laava IDとTrust Provenanc の2社は、どちらも連邦政府機関であるオーストラリア連邦科学産業研究機構(CSIRO)から資金調達支援や開発支援を受けています。

オーストラリアの連邦政府の発表では、2020年のブロックチェーンロードマップにおいて、今後5年間で各業界や政府、研究者と協力し、2030年までにデジタル経済をリードするという目標を宣言しました。また、ロードマップでは、ブロックチェーンを活用した農業のサプライチェーンが特に注目されています。

政府の宣言通り、オーストラリアでは、ブロックチェーン食品のトレーサビリティに活発に取組んでいます。また、Drakes Supermarket (オーストラリア最大のスーパーマーケット)とThomas Foods(オーストラリア最大の食肉加工企業)は、IBM Food Trustブロックチェーンを使用して、肉製品を追跡しています。オーストラリア政府による宣言や、政府機関が支援をする姿勢があり、複数の異なる機関からの協力が得やすい環境にあることから、今後もオーストラリアで食品関連のトレーサビリティシステムは活発に導入されていくことでしょう。

フィンガープリントとは
デジタルコンテンツの同一性を確認するために使われる値のこと。デジタルコンテンツをハッシュ関数で計算した結果として出力され、電子証明書や著作権を侵害してないかどうか等様々な用途で利用されている。

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