IBMとタイの複数の銀行は保証書管理にブロックチェーンを活用します
IBMは9月30日に、タイのBCI(Blockchain Community Initiative)と、共同で開発した電子保証書(eLG)プラットフォームを企業の規模に関係なくあらゆる企業が利用できるようになったことを発表しました。
タイのBlockchain Community Initiativeは、2018年に発足しました。
Blockchain Community Initiativeは銀行協会の14銀行と7つの国営企業や大企業が参加しており、国力の強化のためにブロックチェーン技術を活用することを目的としています。最初の取り組みとして、ElectronicLetter of Guarantee(LG)の管理をブロックチェーン上で管理基盤を構築することを想定しており、コストの削減を目指しています。
LGをブロックチェーンで管理する
保証書は、クライアントが取引先に対して行った支払い義務を保証するために、クライアントに代わって銀行が発行する契約です。
2017年にはタイの商業銀行システムを通じて50万通、金額にして430億ドルを超える保証書が発行されていました。この膨大な量のやり取りには紙が使われ手作業で行われていました。
IBMとBCIはLGの発行工数の削減や紙の文章内容が偽造されるリスクを回避すべく電子保証書プラットフォームを開発しました。
企業はIBMのクラウド環境を通じてシステムを利用でき、保証書の発行、管理が行えるようになります。プロジェクトの当初は、一部の銀行、企業しか使うことができない状態でしたが、今回の発表で、タイの大企業、中小企業までBCIの電子保証書プラットフォームを簡単に始めることができるようになります。
電子保証書プラットフォームは、保証書のやり取りにおけるエンドツーエンドのプロセスを簡素化し、紙の利用を削減することで取引効率を上げ保証書に関するやり取りの透明性を上げることを目的としています。紙を使った取引を電子化するにあたっては、銀行による保証書フォーマットを標準化し、これまで紙で行われていた保証書に関するやり取りをブロックチェーン上で行うことで、通常発行までに3日~7日間かかるところを、eLGプラットフォームでは1日未満にまで発行期間を短縮することができるようになります。また、プラットフォームはブロックチェーンによる分散管理と耐改ざん性からハッカーによるセキュリティ攻撃からデータを守ることができます。
電子保証書プラットフォームで保証書を発行管理することで、発行にかかる期間を大幅に短縮することに成功している一部企業も存在しています。
BCI (Thailand) Co., Ltd.の取締役会 会長であるSilawatSantivisatは以下のように述べています。
“ブロックチェーンは、多業種同士の接続を可能にするプラットフォームを実現するために重要な要素の1つです。ブロックチェーンにより、企業はプロセスと非効率性を改善することができます。適切なパートナーに対してテクノロジープラットフォームがスケーラビリティ、セキュリティ、マルチクラウド機能を提供することで、これらのネットワークは環境や地域全体で効率的に成長できます。”
紙や手入力による管理はブロックチェーンでデジタル化することが可能ですが、ブロックチェーンが最も得意とするのは、異なる企業同士のやり取りをブロックチェーン上で行い、見せたい部分と見せたくない部分を切り分ける等、、データに権限を設けることができる点です。今後業界全体が協力してブロックチェーン技術を利用し、業界課題を解決することを目的としたイニシアチブを取る動きが国内でも起きるかもしれません。
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