【SDGs×ブロックチェーン】サプライチェーン・マネジメントプラットフォームでアマゾンを守る

【SDGs×ブロックチェーン】サプライチェーン・マネジメントプラットフォームでアマゾンを守る

SDGs達成に向けたブロックチェーンの活用事例

概要

2020年9月23日にブラジルの食肉加工会社JBS SAは、ブロックチェーンベースのプラットフォーム「JBS Green Platform」を通じて、2025年までに森林破壊のサプライチェーン全体を監視すると発表しました。JBSは、最初の5年間で2億5000万レアル(4,470万米ドル)を投資し、SDGs(持続可能な開発目標)に配慮し、アマゾンを支援していくことを掲げています。

ブロックチェーン導入の背景

ブラジルではアマゾンの森林破壊への対応が批判されているといった背景があります。ScienceMagによると、アマゾンの森林破壊は昨年の伐採量に比べて28%増加しており、その大部分が違法に行われているという調査結果が出ています。その最大の原因は、圧倒的に牛の放牧と言われています。

これらの調査結果と森林破壊の現状を鑑みて、JBSがSDGsプロジェクトを発足しました。このプロジェクトが解決したい課題が、バリューチェーンの持続可能性、森林保全、コミュニティの社会経済的発展、科学技術開発を実装することにあります。ブロックチェーンを用いたJBS Green Platformでは、SDGs達成に向けて、これらの課題解決を目指しています。

ブロックチェーンをどう活用しているか?

JBS Green Platformは、ブロックチェーン技術を利用して家畜を取り扱うサプライヤーの輸送情報を比較します。このデータは、1人のサプライヤーだけでなく、サプライチェーン内の他のサプライヤーにも送信されます。これにより、JBS SAは、サプライチェーンに係わる全員を特定でき、モニタ二リング、分析することができます。

収集されたデータは、JBSサプライヤー・モニタリング・システムを通じて分析することが可能です。金融機関、サプライヤー、生産者は、ブロックチェーンによりデータの機密性、安全性、透明性を確保した上で、システムにアクセスすることができます。つまり、外部の関係者は、牛の放牧を通じて間接的に森林破壊に貢献しているかどうかを判断することができるようになります。そして、その結果は、彼らの年次サステナビリティレポートに報告されます。

この運営には4つのステップアップを想定しています。JBSは現在、ブロックチェーン・プラットフォームを開発中ですが、年内には完成させプロジェクトを始動する予定です。その後、マト・グロッソ州で、サプライヤーの分析を開始します。その後、アマゾン・バイオームの他の州にも拡大するプランが発表されています。最終段階では、JBSへの販売を希望するすべての直接のサプライヤーにJBS Green Platformの利用を義務付けます。この仕組はSDGsサプライチェーンの構築事例となり、ステークホルダーからは高い評価を受けることが予想されます。一方で、JBSが構築する仕組みはサプライヤー側へ負担を求める仕組みにもなり得る可能性を秘めています。そのため、JBSではサプライヤープラットフォームへ参加したくなるような仕組みづくりも構築しています。JBS Green Platformへ加入しているサプライヤーは、畜産農家に環境、法律、家畜に関するアドバイザリーサービスを提供してもらうことができるので、サプライヤー側にSDGsのノウハウがなくともプラットフォームに参加でき、事業展開ができるよう支援してくれます。

SDGsを実現するためのJBS Green Platformの課題

JBS Green Platformの仕組みを実現できれば、サプライチェーンを可視化しつつ、SDGs社会を創生できるすばらしい取り組み事例となります。しかし、このプラットフォームには、技術的課題以外の課題が指摘されています。

イガラペ研究所(シンクタンク)の共同創設者であるロバート・ムガガ氏の言葉を下記引用します。

“Will indirect suppliers in the middle of the Amazon have access to the internet, hardware and the digital literacy to manage this process?”  

アマゾンで働くサプライヤーたちは、そもそもインターネットやハードウェアへのアクセスや、このプロセスを管理するためのデジタルリテラシーを持っているだろうか? 

引用元原文

この問いかけは現代の技術導入の課題を顕著にあらわしています。5Gが始まり、コロナを機会にデジタル化は急務となりました。しかし、実はシステム導入、技術導入、デジタル化を阻む問題は、実はヒトの問題であることが多いのです。日本企業でも、年配層の方が新規システムを使いこなせず、結局は想定していた効率化を実現できなかったという会社も多かったのではないでしょうか。

システム・仕組みがどれだけ素晴らしくても、使う側がうまく使えないと結局は宝の持ち腐れで終わってしまいます。

JBS Green Platformの事例から見える未来予想図

今回は、SDGsに重点が置かれたブロックチェーン事例でした。SDGsは今後、全世界で取り組む必要がある共通課題でもあります。SDGsで実現したい社会を目指すにはブロックチェーンという技術は非常に相性が良いといえます。しかし、サプライチェーン全体を包括する仕組みとなると、ステークホルダーも多くなり、想定した活用を実現できるかどうかが肝となるでしょう。今後は、単一企業のソリューションとしてではなく、業界ソリューションとしての取り組みが増えていくことでしょう。ぜひ、この事例がそのロールモデルとなるのか注目したいところです。

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