ガントラッキングとブロックチェーン技術
銃社会と呼ばれるアメリカでは、銃の乱射事件や誤発砲事件などが後を絶ちません。
また違法な銃の輸出入も行われていることや、個人・団体問わず銃を所持する権利が憲法で保障されていることから、銃所有自体を禁止することはほぼ非現実的といわれています。
このような現状なので、ほぼ毎日のように銃が使われた事件・事故が発生していますが、銃規制に関する議論も繰り返し行われています。
これは州政府でも連邦政府でも話し合われていますが、依然として決定的な策はなく、解決までの道のりは長いと言えます。
ガントラッキングに対してブロックチェーン技術の導入事例
2014年に設立されたBlocksafeはジョージア州の民間企業であり、ブロックチェーンを使ったデータ通信・管理の事業を行っています。Blocksafeは銃の存在を否定するのではなく、現存の銃をより安全なものに変えていくという方向でブロックチェーン技術の導入に力を入れています。
その具体策がスマートガンと呼ばれる、所有者本人でなければ発砲できない承認機能を搭載した銃を普及させる動きです。スマートガンにはブロックチェーン技術が搭載されており、誤発砲や登録していない人が無作為に発砲するということは避けられます。その詳細な仕組みはオーナーと権限者が登録され、銃のトリガー自体にロックがかかることによって、発砲自体が容易にできなくなるというものです。
つまり登録をすることによって、銃の有効・無効化、発砲記録、所在などがブロックチェーン上に記録され、トラッキング可能になります。またブロックチェーン上の情報は匿名性を保ったまま管理されるので、政府や第三者に見られることはありません。
スマートガンが抱える課題
アメリカにあるすべての銃がスマートガンになることによって、銃そのものの管理や発砲記録、所有者などの記録がブロックチェーン上に記録され、銃使用が正当な理由で使われるようになりますが、その一方でスマートガンに対する抵抗は根強く存在します。
その中でも全米ライフル協会は「スマートガンの存在は反対しないものの、スマートガンではない銃の購入・所持を禁止することには反対である」と意思表明しています。スマートガンではない銃が市場に多く出回り続ける限り、スマートガンの研究開発をしてもいたちごっこになってしまいます。
アメリカにある銃すべてがブロックチェーン技術が搭載されたスマートガンになる日は遠いかもしれませんが、導入が進むことにより誤発砲は未然に防げます。このような事件・事故だけでも減らすことができれば、銃によって命を奪われる可能性を抑えることに繋がります。
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