ブロックチェーンと既存サプライチェーン管理システムの融合でCOVID-19ワクチンを安全に管理する
分散型のパブリックネットワークの構築を行うブロックチェーン開発会社Hedera Hashgraphは、2021年1月19日、自社のブログサイトで、デジタル資産追跡・管理プロバイダーのEveryware LtdとCOVID-19やその他のワクチンを保管するために使用されている低温保管装置を監視するために、イギリス政府が運営する国民保険サービスの「National Health Service (NHS)」グループに協力していることを発表しました。
Hedera Hashgraphは、Everyware Ltdと協力し、Everyware Ltdが持つソリューションに、Hedera Hashgraphのブロックチェーンベースの分散型台帳技術を用いることで、ワクチンサプライチェーン全体の厳密な管理を実現する予定です。
英国において使用が承認されているファイザー社開発のものを含む様々なCOVID-19ワクチンは、有効性を維持するために常に厳密な低温保管が必要とされています。
ワクチンの補完温度については、集中流通センターや輸送ユニットでは、推奨されている-70℃から±10℃の未開封状態で最大10日間、病院やその他の投与センターでは、2～8℃の冷蔵状態で5日間保管する必要があり、状況によって適温が異なります。
Everyware Ltdが持つソリューション
Everyware Ltdは、ワクチン管理における温度を含む様々な変数を24時間365日、どこからでも管理できるように設定できる追跡・管理ソリューションを提供しています。
この追跡・管理ソリューションを活用することで、病院や医療施設は、ワクチンが患者に投与される前の保管期間中、適切な温度に保たれていることを確認することができます。
さらに、Everyware Ltdは、医療施設が製薬会社、集中保管施設、輸送会社など、ワクチンを輸送するサプライチェーンの関係者と情報を共有し、問題が発生した場合に対応、調整することが可能なサービスも保有しています。
このようなEverywareのサービスは化学療法やその他の医薬品など、独自の保管条件を持つ他の多くの医療・製薬品にも利用されています。
Hedera Hashgraphは、Everyware Ltdのサービスに対して、ブロックチェーンベースの分散型台帳を用いることで、耐改ざん性の高い記録管理システムを提供し、透明性が高く説明責任を果たすことが期待されています。
Everyware LtdのテクニカルディレクターであるTomScreen氏は、次のように述べています。「ワクチンサプライチェーン全体の冷凍ユニットの継続的な温度を管理することは非常に重要です。データの整合性を確保することは、結果の信頼を維持するだけではなく、共有を容易にするためにも重要です。Hederaの分散型台帳テクノロジーは、改ざん防止の記録管理システムを提供し、結果を効率的かつ費用効果の高い方法で記録および検証するのに最適です。」
HederaHashgraphの創設者兼CEOのManceHarmon氏は次のように述べています。
「Hederaは、分散型台帳の透明性と説明責任の証明を実用的かつ費用効果の高いものにすることができます。Everywareの追跡・管理ソリューションはその好例であり、EverywareがNHS施設と協力して新たなCOVID-19ワクチン接種の取り組みを支援している重要な作業に、そのデータの整合性と信頼をもたらすことができることを非常に嬉しく思います。」
今回は既存のサプライチェーンソリューションにブロックチェーンの分散台帳を融合するという事例でした。
既存のサプライチェーンにブロックチェーンを用いることで、記録される情報の耐改ざん性を高めることができ、情報に透明性をもたらすことができます。
さらに、ブロックチェーン上に記録された情報が後から改ざんすることができないことから、説明責任を求められた際の証明として、記録された情報を活用することが可能となります。
このことから厳密な管理が求められる場合には、ブロックチェーン上へ書き込みを行うことは有効的であると言えます。
また、ブロックチェーン上に書き込みを行う際に人の手を介すと、書き込まれた情報そのものが、人的ミスにより間違いを含んでいるという可能性があります。
そのため、厳重な管理が必要とされる場合は、IoT機器等を使い自動で情報が書き込まれるようにすることで、書き込まれる情報自体の真正性を維持することができます。
COVID-19ワクチンの接種が世界各国で始められています。
今回の取り組みはイギリスでしたが、今後、各国でもブロックチェーンを使った管理体制が求められ始めるかもしれません。
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