5G時代に注目される Kinetic chain Technology
これから急速に発展を遂げることが予測される5Gの時代において、Blockchain Business Mediaでは
Kinetic chain Technologyというキーワードに注目しています。
Kinetic chainとは
Kinetic chainは、生理学においてある目的のために様々な関節や筋肉が連動して動く事を指す用語です。
ひとつの関節で運動が生じるとその影響が隣接関節に波及し、結果として目的を達成するために身体が動きます。このように単体ではそれをほど意味をなさない筋肉や関節は集合し連結する事でパフォーマンスを発揮します。
Kinetic chainと5Gの到来による相乗効果と期待される分野
5G時代においては複数のテクノロジーの連携によって同様の相乗効果が期待されます。
例えば、5Gの主要素はeMBB(高速・大容量通信)、mMTC(同時大量端末接続)、URLLC(高信頼・低遅延通信)の三つで、もちろん各要素ごとに大きなポテンシャルを秘めていますが、それぞれの特徴が連結することによって大きなインパクトを与えることができます。
そして、この三要素の融合は、遠隔医療のロボット手術などコンマ数秒のタイムラグであっても致命的な事故になりかねないものや、自動運転、工場内製造ラインの制御や、瞬時に発生させる必要のあるアラート等に絶大なソリューションを提供することが期待されています。
AI×5Gの融合で起こる相乗効果とデータ革新
現在多くの実証実験において、5Gによって特にIoTの分野が急成長を遂げると見られていますが、同時にIoTはモノとインターネットを接続するいわゆる回路の役割を担うものです。
つまり、どんなに効率・高速・大容量化してもその情報が活用されなければ期待を上回るパフォーマンスを発揮することができません。
そこで現在のところ注目されているのがAIとの連結です。
5G環境構築が可能にするIoTセンサからの大量のリアルタイムデータが、AIの学習量と効率を飛躍的に向上させ、推論データの高精度化を促進させることによって様々な分野でのソリューションが期待されています。
エッジコンピューティングとローカル5Gが実現すること
また、エッジコンピューティングとローカル5Gという取り組みが今後本格化していきます。
エッジコンピューティングとは
エッジコンピューティングは、データをネットワークを通してクラウドに転送する際に生じる莫大なコストとタイムラグとネットワークの遅延やサービスダウンなど致命的な障害を回避するために、情報をサーバーに送らず端末機器に近いローカルデバイスで一旦処理することでリアルタイムでの情報伝達と分析・処理を可能にするものです。
さらに外部からのアタックにさらされる可能性のあるクラウドサービスなどの外部へデータを送らずに、ローカルデバイスでデータ処理を行うことが可能なため、情報漏洩のリスクを軽減することができます。
ローカル5G
ローカル5Gは所有する工場やビルなどの建物内や敷地内で独自の5G環境を構築し、公衆ネットワークを経由せず環境を独占利用することでeMBB、mMTC、URLLCの特性のフル活用を可能にする取り組みです。
今後発展するKinetic chain Technology
ここに3つ目の要素としてブロックチェーン(BC)が加わることが予測されています。
IoTが情報を収集し、AIが分析、BCが蓄積しスマートコントラクトとAIによる判定によって、あらゆる産業のバリューチェーンの自動履行が可能になります。
例えば製鉄所のような物理的に隣接する範囲内でのコンソーシアムを構築することで、取引をブロックチェーン上のプラットフォーム内で完結させ、分散型共通台帳による規格の統一やリアルタイム制御など様々なセキュリティ・契約要件に応じたアカウンタビリティやトレーサービリティを実現させるとともに、IoTセンサから収集される膨大なデータを高速で解析し、効率的にナレッジの共有を行うことができます。
また、ローカル5Gによる無登録機器を拒否するネットワークの導入によって、コンソーシアム外の競合他社からはどのベンダーから、どの価格で何を仕入れているのかといった情報を秘匿する高いプライバシー性能を兼ね備えることが可能になります。
このように、5G時代では、エッジコンピューティング、ローカル5G、IoT、AI、BCがKinetic chain Technologyとして、一つの目的に向かって筋肉が連動するかのごとくソリューションを提供する未来が望まれるのではないでしょうか。