「フランスがオリンピックのチケットにブロックチェーン技術を導入した理由とは?」
フランス政府オリンピック委員会は、2024年のパリオリンピックにて、ファンのセキュリティリスクを最小限に抑えた運営を計画しています。
そのきっかけは、パリで開催されたチャンピオンズリーグ決勝の試合の際に、チケット詐欺が発生したことです。
決勝戦のチケット詐欺問題は多くの混乱を引き起こし、パリが2024年のオリンピックを開催する能力があるのかという議論にまでなりました。
2024年オリンピック・パラリンピック競技大会の省庁間代表を務めるミシェル・カド(Michel Cadot)氏は、この事件におけるフランス当局への批判を受け、30ページにおよぶ報告書を首相官邸に提出しました。
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チケット詐欺問題の原因について
ミシェル・カド氏はこの事件について、何千人ものチケットを持っていない、あるいは偽物のチケットを持ったファンが現れたため、混雑を招いたと報告しました。
他にも交通手段や標識、警備も十分でないことなどが影響し、会場への入場が30分以上遅れたと明かしました。
ミシェル・カド氏が導入したセキュアード・チケットとは?
ミシェル・カド氏は、チケット詐欺の対策として、イベントをサポートするチケットシステムに焦点を当てた提案をしています。
提案の内容は、イベントの数日前に主催者がSMSで送信する譲渡不可のセキュアード・チケットの導入です。
チケット偽造の問題解決
このチケットはブロックチェーン技術を使って生成されたQRコードで構成されています。
セキュアード・チケットは仮想の境界線内でのみ有効であり、会場のセキュリティ境界線に相当します。
チケットはまずプレフィルタリングでチェックされ、来場者が会場に入ると同時にチケットは使用済みになります。
アクセスの問題解決
更にこのブロックチェーンチケットは、個人がデジタルチャネルを介してメッセージを受信できるため、デジタルチャネル経由で、パリのすべての地区から会場に到着する方法や大会中の安全手順など関するメッセージを受信することもできます。
このブロックチェーンチケットを使えば、フランスで開催される他の主要なスポーツイベントにも利用できます。
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ブロックチェーン技術を活用した理由とは?
ブロックチェーン技術を使って生成されたQRコードなら、ブロックチェーンの特徴である「改ざんの難しさ」から偽造を防ぎ、個人情報を管理する上でもセキュリティの向上に繋がるからです。
スマートコントラクトを用いた来場時のデジタルチャネルや入場時のフィルタリングなどは、人々が会場に入場するまでの流れを非常にスムーズなものにし、チケット確認や警備のコストを下げることもできます。
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オリンピックでのブロックチェーン活用事例
実はオリンピックとブロックチェーン業界の結びつきはこの提案が初めてではありません。
2021年夏にインドの仮想通貨取引所Bitbnsは、東京オリンピックの地元のメダル獲得者に仮想通貨を授与しています。
金メダル獲得者には約2,700ドル(約36万円)、銀メダル獲得者には1,350ドル(約18万円)、銅メダル獲得者には675ドル(約9万円)のデジタル資産を配布しています。
さらに、中国は2022年の北京冬季オリンピックでは、デジタル人民元の普及と浸透を目指していることも明らかになっており、選手や外国人観光客の仮想通貨での決済を可能にしています。
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まとめ
ミシェル・カド氏による提案は、2023年のラグビーワールドカップや2024年のオリンピック・パラリンピックで導入が計画されており、フランス国際テニスなどの主要イベントで実践されています。
日本国内でもチケット販売におけるブロックチェーン技術の導入の事例はありますが、国外では国際的な催しにも積極的に導入していることがわかります。
様々なメリットがあることから、ブロックチェーン技術が導入されたチケットが普及し、当たり前になる時代は遠くないと言えるでしょう。
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