国立公文書をブロックチェーンで記録・保管するシステム
デジタル証明、ヘルスケアなどの多彩な分野に対してブロックチェーンを用いた研究・取り組みを積極的に行っているサリー大学は、ブロックチェーン技術と人工知能(AI)を使い、デジタル画像やビデオなどのデジタル政府記録を改ざんから保護することを発表しました。
CoinDeskに提供されたプレスリリース情報
- サリー大学の視覚・音声・信号処理センター(CVSSP)がOpen Data Instituteと英国の国立公文書館と提携し、「ARCHANGEL」を開発したことを発表
- ARCHANGELは「非常に安全な分散型コンピュータビジョンとブロックチェーンベースのシステム」
- ARCHANGELはデジタルデータの保存・記録を長期にわたって維持できるように設計されている
人工知能の研究分野で、コンピューターがデジタル画像やビデオを分析し、いかによく理解できるかを研究します。
ARCHANGELは公文書記録の確実性を保証する
ARCHANGELは、公文書の整合性を保つことを目指しており、ブロックチェーンの技術により歴史の書き換えをさせない改ざん防止機能を実現しています。
ARCHANGELについて、サニー大学は以下の通り説明しています。
「誰でも記録を確認して追加できますが、変更はできません。データを変更することができないので、履歴記録の完全性は損なわれません。」
ARCHANGELは、データを保存・記録するデータベースとしてブロックチェーン技術を採用してします。このシステムは、偶然か悪意かに関わらず、デジタル公開記録が変更されたときには、自動的にフラグを立てるように設計されています。
ARCHANGELの特徴
- ブロックチェーンシステムのプルーフ・オブ・オーソリティー(Proof of Authority)「権限の証明」によってバックアップ
- アーカイブは、文書のデジタル署名を許可されたブロックチェーンにハッシュ化して登録
- 記録の完全性を保証するために、いつでも文書を元の署名と照合して検証可能
Proof of Authorityとは
コンセンサスアルゴリズムで、信頼された参加者は各々自分だけの署名鍵を持っており、参加者だけがブロックを作成できるようにする方法です。
ARCHANGELはすでに複数の英国機関で試行されている
サニー大学のリリース情報では、新しいシステムはすでに英国、エストニア、ノルウェー、オーストラリアの国立公文書館、そして米国の国立公文書記録管理局によって試行されています。来月、同機関は、ロサンゼルスで開催されるCVPRカンファレンスで、その仕組みを説明する論文を発表する予定です。
Open Data InstituteのCEOであるJeni Tennison氏は次のように述べています。
「デジタル記録を操作することがますます容易になってきています。そのため、これらの記録を処理する機関にとって、信頼性を証明できることが重要になっています。」
歴史の記録は度々、整合性について議論が行われます。公文書をブロックチェーンで記録管理することで、記録された歴史の整合性は保証されます。英国の複数の機関で、すでに試行されていることから、英国全体がブロックチェーン技術導入へ前向きであることが伺えます。ブロックチェーンは比較的新しいテクノロジーですが、徐々に政府機関のシステムとしても採用されています。
日本でも、公文書の紛失や改ざんなどがニュースで取り上げられています。政府機関だけでなく、企業単位でも重要な文章の管理をブロックチェーンで行うことで、透明性、記録の完全性を保証することができます。
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