
Soneium(ソニューム)は、ソニーグループのSony Block Solutions Labsが開発したパブリックブロックチェーンです。2025年1月14日にSoneiumのメインネットが一般公開され、1400万を超えるアカウント数及び、4700万を超えるトランザクション数が確認されたことで話題となっています。
エンドユーザーは、Soneiumのネットワークに対応したアプリケーションを通じてSoneiumにアクセスすることで、Web3ゲームやNFTマーケットプレイス、エンタテインメント関連のサービスなどを利用できるようになります。また、Web3ならではの自己主権的に管理されたSoneiumブロックチェーンは、分散化された公平なインターネット環境を実現し、クリエイターに新しい価値の創造や収益化のチャンスを提供します。
この記事では、Soneiumの概要やメリット、活用例、将来性を解説していきます。
株式会社リッカ
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Soneiumとは?

Soneium(ソニューム)は、ソニーグループとStartale Groupの合弁会社であるSony Block Solutions Labsが開発したイーサリアムのレイヤー2ソリューションを提供するパブリックブロックチェーンです。
Soneiumは、Optimismの技術(Optimistic Rollups)を用いたブロックチェーン開発キット「OP Stack」を活用することでレイヤー2ソリューションとして機能します。イーサリアムのスマートコントラクトを実行できるEVM互換のブロックチェーンであるため、アプリ開発者やクリエイターにとってフレンドリーな環境を提供できます。
Sony Block Solutions Labs Pte. Ltd.
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Soneiumが解決する課題

Soneiumは、Web3技術を活用したユースケースが日常的に人々に使用される世界を目指しています。Soneiumが解決する主な課題は以下の3つです。
データ処理速度の向上や手数料の削減
既存のイーサリアムレイヤー1上にネットワークを構築してデータ処理を担うことで、レイヤー1で生じるデータ処理速度の低下や手数料の増加といった課題を解決します。
ブロックチェーンのレイヤー1では、トランザクション処理が遅くなることが多いです。ブロックチェーンでは、データを記録するために複雑な計算を行います。これにより高いセキュリティや情報の整合性が保たれるというメリットがありますが、その反面で迅速なデータ処理が難しいというデメリットがあります。ブロックチェーンの書き込み処理が集中したり、より早い書き込みをリクエストしたりすると、ガス代と呼ばれる手数料も高騰します。
そこで、複雑な取引処理をレイヤー1で行わず、レイヤー1の外のネットワークであるレイヤー2で行い、そこで検証された結果をレイヤー1に書き込むのがレイヤー2ソリューションです。これによりデータ処理速度を早めるとともに、ブロックチェーンに書き込むデータ量を減らすことができるので、ガス代も抑えることが可能となります。
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分散的かつ自己主権的なデータ管理を実現
従来のインターネット(Web2.0)では、膨大な情報やインターネット上の経済圏が巨大なIT企業によって中央集権的に管理されるようになっています。世界中で利便性が向上したというメリットがある反面、データの主権が開発者やクリエイターから離れ、本来得られるはずだった収益の多くが巨大IT企業の利益になっているケースがあります。また、何者かによってデータが改ざんされたり消されたりする可能性があるため、データの真正性や安全性にも問題が生じる恐れがあります。
一方、Soneiumを活用したWeb3ソリューションなら、データをブロックチェーン上で分散的に管理できるため、何者かによってデータが改ざんされたり消されたりすることは事実上不可能となっています。これによりデータの真正性が担保され、安全にデータを活用できるようになります。また、データの主権を巨大IT企業に預ける必要がなくなるため、開発者やクリエイターの報酬も増える可能性があります。
Web3サービスの一般層へ普及(マスアダプション化)
Soneiumはソニーグループが開発するブロックチェーンネットワークであるため、ソニーグループ内の多様な事業やIP(知的財産)等も活用しながら新たなサービス創出を目指すことができます。ソニーグループが保有するさまざまな技術やIPを活用できるので、これまでにないWeb3ゲームの開発やNFTの売買、エンタテインメント関連のサービスが開発され、一般層に普及する圧倒的な活用事例(キラーユースケース)の創出が期待されています。
また、Soneiumを利用する開発者やクリエイターには、操作がしやすく、効率的、かつコスト効果に優れたツールと環境が提供されていきます。これによりSoneiumを活用した各種アプリの開発やファンコミュニティの構築、収益還元の新しい仕組みなどによって、Web3サービスが広く一般層に普及することも期待できます。
さらに、ソニーグループのS.BLOX株式会社が運営する暗号資産取引サービスなどのWeb3アセットも活用すれば、今までWeb3に触れる機会がなかった人々も日常的に使用できるユースケースを創出し、Web3サービスが人々の日常に浸透する世界の構築を目指せることでしょう。
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Soneiumの活用例

Soneiumは、さまざまな分野で活用可能です。代表的な活用例として以下が挙げられます。
クリエイターの応援・支援をするファンコミュニティの構築
Soneiumでは、各アプリ内の決済に暗号資産を使用できます。ファンはアプリを通じてクリエイターの売り上げに貢献できたり、クリエイターを応援・支援する輪を広げたりすることができます。開発者やクリエイターは自身のアプリ内の決済を通して収益を上げられる可能性があるので、持続的なクリエイティブ活動を実現できます。
Soneiumを活用することでクリエイターとファンは、より親密なコミュニケーションを楽しむファンコミュニティを構築できるようになります。
NFTを活用した新しいファンマーケティングの実現
2025年2月以降、Soneiumに対応したアプリの一つとしてFan Marketing Platformがリリースされます。Fan Marketing Platformは、NFT施策を実行する企業向けに提供するプラットフォームです。Fan Marketing Platformを活用すれば、企業のキャンペーンなどで利用できるNFTを簡単に発行でき、NFTを通してエンドユーザーとの新しい顧客接点を創出できます。また、NFTを取得したファンに特別な体験やコンテンツを提供することで、エンドユーザーとのより親密な関係性を構築できます。
従来、NFTを受け取るにはWeb3ウォレットサービスを利用する必要がありましたが、Fan Marketing Platformではソーシャルログインで利用できるWebウォレット機能を搭載しています。これにより、Web3サービス初心者の方でも簡単にNFTの収集やコレクションを楽しむことができるようになります。
ソニーグループの豊富なIPをNFTとして活用
ソニーグループには、音楽やゲーム、映画などのコンテンツを提供する多様な事業があり、ソニーグループ傘下の企業によって作成・管理された豊富なIP(知的財産)には多くのファンが存在します。ソニーグループの豊富なIPをNFTとして活用すれば、各IPのファンへの価値提供とエンゲージメント拡大を目指せます。
株式会社ソニー・ピクチャーズ エンタテインメントでは、Prime Videoで対象作品を購入した方向けに限定コンテンツへのアクセス権を無料でプレゼントするキャンペーンを実施します。エンドユーザーは、購入した対象作品の視聴に加えて、限定チャネル上のデジタルコレクションや特典映像の視聴及びダウンロードにより、対象作品をより一層楽しむことができます。
また、株式会社ソニー・ミュージックパブリッシングでは、アーティストの新たな顧客接点やファンの創出を目的として、Web3技術を活用した顧客への新しい価値提供に取り組みます。その先駆けとして、ガールズグループ『SANDAL TELEPHONE』のライブイベントと連携した限定NFTの配布キャンペーンを実施予定です。
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Soneiumの将来性

ソニーグループではSoneiumを活用することで、クリエイターとファンに新たな価値提供を目指しています。グループ内のさまざまなエンタテインメント関連の企業と実証実験を重ねることができるので、新たなファンコミュニティの構築やこれまでにないエンゲージメントの向上が実現できる可能性があります。
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まとめ ソニーグループのブロックチェーンSoneiumについて

Soneiumは、ソニーグループが開発したイーサリアムレイヤー2ソリューションです。レイヤー2のブロックチェーンを活用することで、取引の高速化やコスト削減を実現しつつ、高いセキュリティも確保できます。
また、ソニーグループならではの豊富なIPを活用すれば、Web3の圧倒的な活用事例(キラーユースケース)の創出も期待できます。2025年1月14日にSoneiumのメインネットが一般公開され、その後は順次ソニーグループより新しいサービスやキャンペーンがリリースされていきます。
今後のSoneiumの進化に注目していきましょう。
株式会社リッカ
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