トークンエコノミーとは、独自に構成する経済圏のことをいいます。自社専用のトークンを発行し、社員や顧客とのコミュニケーションの活性化につなげることができます。
現在ブロックチェーン技術は、物流、医療、エネルギーなど様々な分野で複数の企業を巻き込んだコミュニティを作成し、お互いにデータを活用する動きが盛んになっています。ブロックチェーンを活用する各社では、将来の大規模なシステム開発に向けた適用やエンドユーザーへの展開を想定した社内向けの小規模実験が始まっています。
今回は独自のトークンエコノミーについて、その事例を紹介します。
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トークンエコノミーで従業員体験を向上
https://japan-d2.com/press/20211126-001
Japan Digital Design株式会社は、社内トークン(JDD Coin)と従業員向けブランドストア(JDD Store)をデザインし社内の新たな仕組みとして導入しました。
社内イベントへの参加や、社内活動に貢献することで「JDD Coin」が従業員に付与されます。付与された「JDD Coin」は、オフィス内の「JDD Store」でコーポレートグッズを購入するために使うことができます。
JDDでは、企業文化や価値観の共有ならびに従業員間のコミュニケーション促進をこの取り組みの目的としています。
また、この取り組みは世界三大デザイン賞の1つである「Red Dot Design Award」を受賞しており、世界的も評価されています。
[Red Dot Design Awardとは]
1955年に創設され、プロダクトデザイン、ブランド&コミュニケーションデザイン、デザインコンセプトの3部門があります。年に一度開催されており、世界中から約2万点の応募から各分野の専門家審査員によって選出されます。
トークンエコノミーで職場コミュニティを活性化
https://www.hakuhodo.co.jp/news/newsrelease/92460/
株式会社博報堂と株式会社博報堂コンサルティングが、2021年8月17日に日本ユニシス株式会社と共同で職場コミュニティの活性化支援アプリサービス「PRAISE CARD(プレイズ カード)」を開発すると発表しました。
「PRAISE CARD」は職場コミュニティの活性化と、その活性度の分析を通じてコミュニティの状態の可視化を支援するサービスです。コロナ禍のテレワークで離れて業務を行っている社員同士が、専用スマホアプリからデジタルカードを送りあうことで、日頃の協力や行動に対し社員同士で感謝や称賛の気持ちを伝えるシステムとなっています。
PRAISE CARDにはブロックチェーン技術が使われています。記録される各社員のデジタルカードの送受信量や保有量といったデータを元に、ネットワーク分析の手法を用いて活性度を分析できます。カードの利用度を分析することで、各コミュニティの状態を可視化することができます。
デジタルカードの交換が活発な部門や、部門を超えた交換が多い社員を表彰するなどのインセンティブも検討しているようです。
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トークンエコノミーで従業員の健康促進をサポート
https://www.rohto.co.jp/news/release/2019/0207_01/
ロート製薬は2019年2月7日に、従業員の健康促進を目的として社内通貨の「ARUCO(アルコ)」を導入したと発表しました。
「ARUCO」は健康をコンセプトとして開発された通貨で、日々の健康的な生活習慣に応じてコインが貯まる仕組みとなっています。
例えば1日8,000歩で1日10コイン、非喫煙で毎月500コインが達成者に付与されます。このコインは、健康食のランチチケット1,000コイン、食リラクゼーション体験2,000コイン、リフレッシュ目的の特別休暇1日10,000コインなどに交換することができます。
従業員に対して行ったアンケートでは、「楽しみながら健康促進につなげられる」という回答が多いようです。
ロート製薬としては、心身の健康を基盤として、情熱をもって日々の仕事に取組み、働きがいや生きがいを持てるような“真の健康”を目指しているそうです。
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トークンの付与により建設作業員の安全行動を促進
https://www.yokogawa.co.jp/news/press-releases/2021/2021-10-29-ja/
2021年10月29日、日揮ホールディングス(HD)と横河電機はプラント建設工事現場の作業員の行動特性を可視化し、モチベーションの向上を目指すシステムの実証実験を行ったと発表しました。
こちらは、作業を行う際に「チームワーク」、「安全重視」、「明るい行動」をとった作業員に対して現場現場者がトークンを付与する仕組みとなっており、付与されたトークンは飲み物などと交換することができます。
現場作業者のモチベーション向上につながったり、監督者と現場作業者のコミュニケーションが増加したりして、現場作業員と監督者や現場作業員同士のコミュニケーションが促進できています。
詳細は以下のリンク先を参照。
まとめ トークンエコノミーの活用事例について
今回は、トークンエコノミーの活用事例について紹介しました。
トークンエコノミーを社内に導入することは、あくまでも実証実験や初期ステップであり、本業における自社の顧客やステークホルダーへの展開を想定した「練習」と考えられます。
今後は、各社内におけるトークンエコノミーやブロックチェーンの学習フェーズが終わり、本格的に社会適用が始まる時期に差し掛かっています。
ブロックチェーンは、社内コミュニケーションの活性化や従業員体験の向上にも貢献しています。
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