Salesforce のブロックチェーンを活用して大学に所属する学生の学習履歴を管理
アリゾナ州立大学では、Salesforce のブロックチェーンを使用して、他機関と共有できる教育ネットワークを設計しています。所属している学習者のこれまでの成績証明書と成績を検証し、発行することができます。
毎年、数千人のコミュニティカレッジの学習者がアリゾナ州立大学に編入し、中には準学士号(短期大学の学術称号)を取得していない学習者が存在します。多くは、アリゾナ州を卒業して学士号を取得して卒業しますが、残りの3700万人の米国人が学士号を持たずに卒業するリスクがあります。
このリスクを回避するために、アリゾナ州立大学は地元のコミュニティカレッジと協力して、編入生の学業成績を共有し、編入前の学習者が準学士号を授与されるのに十分な単位を獲得したかどうかを大学が監視できるようにしています。これは逆編入と呼ばれるプロセスです。
このプロセスは簡単ではなく、データ共有方法が学習者の許可に依存しているため、大学と短大での情報交換は困難な状態でした。さらに、コミュニティカレッジは、異なる形式で学習者の記録を残しているため、学習者が大学で受講するコースが自分のコースに適切かどうかを判断する必要がありました。
学習者にまつわる情報の交換をブロックチェーンでスムーズに
アリゾナ州は、この学習者データの交換に関する課題をブロックチェーンテクノロジーで解決しようとしています。
大学の中央企業部門であるEdPlusは、Salesforceとのパートナーシップで、参加機関がブロックチェーンなどの分散型台帳テクノロジーを使用して学習者の学業成績を共有、検証できるようにする学習者のデータネットワークを作成しています。
プロジェクトの目的の1つは、学習者情報を「双方向」に共有することです。
これにより、学習者がアリゾナ州に編入した後に、編入元のコミュニティカレッジは進捗状況に関するフィードバックを引き続き受け取ることができます。
最近まで、双方向の情報共有方法はなく、規則にもなかったため、一部の大学は、自身の生徒がアリゾナ州に編入していたことすら知りませんでした。
情報交換を行うことでコストを削減、より最適なサービスの提供を実現
Salesforce のブロックチェーンを使用して、アリゾナ州立大学は、各機関同士の情報摩擦を大幅に削減し、より迅速で知的なサービスを学習者に提供していきます。
このネットワークを使うことで、すべての受講履歴を一元管理出来る台帳に記録されます。
台帳から学習者の受講履歴から十分な単位を獲得しているのかを確認するだけではなく、記録されたデータをもとに、その学習者に応じた学力レベルのサービスを提供することもできるようになります。
また、学習者自身に記録の所有権と管理権を与えるような仕組みづくりが行われています。この仕組みにより、学習者自身が所有権の管理や所有を所属している大学へ任せることで、情報を開示の許可などの面倒な情報や紙でのやり取りを大幅に省くことも可能となります。
アリゾナ州立大学のエンロールメントサービス担当バイスプレジデント、ケント・ホプキンス氏は次のようにコメントしています。
「Salesforce Blockchain を使ったこの教育ネットワークにより、さまざまな学部生、大学院生に提供しているサービスの向上が期待されます。このネットワークは、総合的でシームレスな学習に大変革をもたらす可能性を秘めています。成績の透明性を高めるのはもちろん、最終的には、学業記録のやり取りが、教育機関と学習者、どちらの側にとっても楽になるはずです。」(引用元)
異なる大学同士の記録を共通の記録法で、共通のネットワークに記録することが出来れば様々な摩擦を解消することに繋がります。学習者自身が大学を卒業したあとも、企業がプラットホームを通じて学習者の情報を見ることができれば、企業と学習者のミスマッチを防ぐことに繋がるなど、教育に間接的に関係する機関との情報交換の場でも応用できる可能性を秘めているのでないでしょうか。
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