IBM社は、多くのスタートアップと提携し、積極的にブロックチェーン業界に参入しています。IBM社では、ヨーロッパにおいて非常に人気の高い自転車に注目をし、自転車ユーザーにとって大きな問題となっている盗難についてのソリューションを提供しました。
ヨーロッパで自転車が盗まれた場合には、反論の余地が出ないような所有権証明の提示が必要です。また、盗難報告および届け出には様々なプロセスが必要で、場合によっては受理されるまでに数週間かかることもあります。
このような自転車盗難に関する雑多な問題を解決するために、IBMのブロックチェーンソリューションが活用されています。
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自転車盗難時の複雑な保険請求処理を迅速化
自転車の人気が特に高いオランダでは、人口の84%が1台以上の自転車を保有しています。近年は、電動自転車などの台頭で自転車自体の値段が高騰していることもあり、自転車の盗難が深刻な問題となっています。
ヨーロッパIBMのブロックチェーンチーフであるLouis de Bruin氏はこの問題について以下のように述べています。
「現在、盗まれた自転車の報告と申し立てのプロセスは、所有者、保険会社、警察にとって非常に面倒です。しかし、自転車の所有情報をブロックチェーンに記録すれば、ストレスを軽減できます。盗まれた自転車と所有者に関するすべての情報はブロックチェーンに記録され、当事者が適切なタイミングでアクセスできるようになっています。このブロックチェーンを活用することによって、盗まれた自転車に関する届け出を数秒で処理することができます。」
アプリケーションは所有者用・保険会社用・警察用の3つがあります。
自転車の所有者は、オープンソースのHyperledgerを活用して設計されたプラットフォームで自転車を登録します。
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自転車盗難の保険支払いをスマートコントラクトで迅速化
自転車が登録されると位置情報がプラットフォームに送信されます。自転車が盗まれた場合、所有者がアプリを使って報告すると、保険会社や警察のアプリケーションにこの情報が通知される仕組みとなっています。
保険会社用のアプリケーションでは所有者が補償を受ける資格があるかどうかを検証します。また、警察用のアプリは、盗まれた自転車の情報を開示して盗難報告の確認と事務処理を行うのを助けます。
所有者に保険がかけられているかどうか、自転車が施錠されていたかどうか、警察が盗難報告を確認したかどうかなどを確認し、保険の支払い手続きなどがスマートコントラクトで実行されます。
ブロックチェーンの機能のひとつ。ブロックチェーン上であらかじめ設定した条件に従って、取引が自動的に行われる仕組み。
売買や権利の移動など複雑な作業を人の手を介すことなく自動的に行われるため、間違いや改ざんがなくなり、手間や時間などの削減にもつながる。
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まとめ 複雑な手続きや支払処理をブロックチェーンが解決する
今回はブロックチェーンを使った自転車盗難時の保険支払いの迅速化について紹介しました。
自転車盗難に関する届け出や確認を合理化することによって、盗難に対する不安が払拭されます。また、ブロックチェーンによって自転車の所有権が明らかになったり、警察への連絡が迅速になったりすることで盗難の抑制にもつながることでしょう。
ブロックチェーン技術を活用すれば、貴重な財産を盗難から守ったり、紛失してしまった場合にも保証が速やかに実行されたりするメリットがあるのです。
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コメント
コメント一覧 (1件)
日本全国における刑法犯、いわゆる刑法に違反した犯罪の件数は約91万件。そのうち、自転車の盗難は約20万件、件数にしてダントツの1位です。
ぜひ、日本でも広まっていって欲しいです…