ブロックチェーンを使い匿名性を維持しプライバシーに配慮した遺伝子検査管理を実現

2021年、個人の遺伝子検査のためのプライバシーファーストの分散型プラットフォームを持つDegenicsがブロックチェーンコンサルティング会社のBlocksphereと共同で、ブロックチェーンベースの匿名管理可能なDNA検査プラットフォームを立ち上げたことをプレスリリースニュースサイトRITZHERALDが明らかにしました。

このDNA検査プラットフォームは、遺伝子検査施設と、遺伝子検査を行いたいユーザーを結びつける場を提供しています。

遺伝子検査には、ユーザーのプライバシーに配慮し、遺伝子検査結果の所有権は完全に各個人に帰属することを保証するメカニズムが採用されています。

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個人の遺伝子検査市場の高まり

個人の遺伝子検査市場は、遺伝子検査技術の進歩や、個別化医療に対する高まりで拡大しています。

2020年12月14日のPRTIMESでは、Reportocean.comが発表した「遺伝子検査市場調査レポート」が紹介され、レポート結果によると、世界の遺伝子検査市場は2019年に126.8億ドルとなり、2020年から2027年までにCAGR10.1%の成長率で成長し、2027年には212.6億ドルに達すると予測されていることが分かりました。

Degenicsによるこのプロジェクトは、拡大中の個人に関する遺伝子検査の世界市場への展開を目指しています。

遺伝子の検査結果のプライバシーを守り、不正から守る

Degenicsは、遺伝子データの悪用、プライバシーの侵害、セキュリティ上の問題、同意なしに遺伝子データを販売する慣行を防ぐために設計されています。

遺伝子情報の取り扱い、企業利用は多く検討されています。

例えば、保険料を導くために遺伝子検査を行うことや、従業員の採用時に遺伝子検査結果で採用、不採用が決められてしまうことについてなど様々な利用シーンでの活用方法について議論されていました。

また、活用方法についての議論だけではなく、個人の遺伝子データが製薬会社に転売されることや、遺伝子検査結果情報へのハッキングによる情報漏洩等様々なことが懸念されています。

現在、Blocksphere.idのCIOを務め、インドネシア・ブロックチェーン協会の監督委員会にも就任しているPandu氏は、ブロックチェーン技術は、クレデンシャル情報(ユーザーIDとパスワードの組み合わせのようなユーザー認証に必要な情報)と分散型ストレージを組み合わせることで、これらの問題を解決できると考えています。

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ブロックチェーンを使い遺伝子検査結果の実用性を検証する

ブロックチェーンを使うことで、扱う情報に透明性、データの耐改ざん性を持たせることができるようになります。

そして、情報の分散管理により、遺伝子検査結果の利用を決定する際に、持ち主であるユーザーが利用権限を完全にコントロールできるようになります。

Degenicsは、ブロックチェーン技術とクレデンシャル情報、分散化によりユーザーが名前やその他の個人データを提供することなく、遺伝子検査を受けることを可能にします。

ユーザーは、ブロックチェーン上に記録された自分の情報の匿名性を維持したまま、情報の利用をコントロールすることができます。

匿名性と、プライバシー保護の実現には公開鍵暗号方式が使われます。

公開鍵・秘密鍵の2つで1つのペアとなっており、唯一無二の鍵です。

Degenicsでは、ユーザーは、遺伝子検査を行ってもらうラボ等と共有する公開鍵と、誰にも公開してはいけない秘密鍵の2つを使い分けることで、検査結果を安全に暗号化、複合化し活用、所持することができるようになります。

また、公開鍵で暗号化されたデータはペアの秘密鍵でしか複合化できないため、匿名性を維持しつつ、データの所有者であることを証明することができます。

もちろんブロックチェーン上に記録された情報は耐改ざん性に優れており、改ざんされる心配はありません。

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匿名で遺伝子検査を行う流れ

DNAを匿名で検査するためには、綿棒で口腔内の細胞のサンプルを採取する方法で組織を採取します。

その後、ユーザーはdApp(分散型アプリ)にアクセスし、スマートコントラクトのマーケットプレイス・フロントエンドを介して遺伝子検査製品や検査するラボの推奨情報を取得、選択を行います。次に公開鍵情報の入った封筒を使って、DNAサンプルを検査機関に送ります。

この時、送る内容には、個人を特定することができるような個人情報は含まれません。

郵送物は、選択したラボが受取、サンプルの処理を行います。遺伝子検査はユーザーの公開鍵で暗号化され、分散型ストレージに保存されます。ユーザーの秘密鍵だけがこれらの結果を復号化することができ、ユーザーの管理によってのみ結果を他の研究室で再利用することができます。これにより、ユーザーは暗号化されたデータを完全に管理することを実現しています。

今回は、個人に対する遺伝子検査結果の管理をブロックチェーンで実現するプロジェクトをご紹介しました。

このプロジェクトにより、自身の検査結果を意図しない形で転売、利用されてしまったり、ハッキングによる個人情報と遺伝子情報どちらもが漏洩してしまうということを防ぐことが可能となります。

遺伝子検査市場は、世界で拡大が予測されているため、国内においてもこの流れが到来することが考えられます。

国内において匿名での遺伝子検査管理が検討される際の一つの事例としてご参照いただけると幸いです。

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