ブロックチェーン技術を食品サプライチェーンなどに積極的に導入をしているIBMは、ブロックチェーンを使ってビジネス上の様々な課題を解決するために複数の主要組織と協力をしています。
IBM Researchは、カリフォルニア州の干ばつに対して地下水の利用を持続可能なものにするためにThe Freshwater Trust(TFT)とSweetSense Inc.と提携し、北米で問題視されている帯水層の地下水使用量を監視するためのブロックチェーンとIoT技術の試験運用を行っています。
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IBMがブロックチェーンとIoT技術でカリフォルニアの干ばつを対策
カリフォルニアの干ばつ問題をブロックチェーンとIoTで取り組むメンバー
- IBM Research ・・・AIやブロックチェーン技術で業界の課題を解決するための研究を行っている
- The Freshwater Trust(TFT)・・・淡水生態系の保護と修復に取り組んでいる非営利団体
- SweetSense Inc.・・・低コスト衛生接続センサーのプロバイダーである
IoTセンサーで地下水の使用量をリアルタイムで正確に測定
帯水層の地下水量を監視するためのIoTセンサーで得た水量は、抽出データとして衛生に送信され、IBMクラウドで管理されているIBMブロックチェーンプラットフォームに送信されます。このプラットフォームは追加専用の変更不可な台帳で、データ交換の記録やトランザクションを記録します。
IBMブロックチェーンプラットフォームに蓄積されたデータはWebベースのダッシュボードで閲覧することができ、全ての関係者が地下水の使用状況を監視・追跡することが可能となります。地下水の利用状況をブロックチェーンで可視化することで地下水が枯渇しないよう監視ができ、水供給の維持を実現させます。
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ブロックチェーンで地下水量を可視化・監視する
カリフォルニア州では農業が非常に盛んであり、水不足や干ばつは農作物に大きく影響します。2015年には深刻な水不足状況により米国国内だけでなく世界市場にも影響を与えアーモンドや柑橘類のフルーツも価格が高騰しました。また、農作物は季節によって水が多く必要な時期と、あまり必要ではない時期が存在します。
アフリカのIBM Researchのコンピューター科学者であるNathan Wangusi氏をはじめとした科学者は農業における水の必要量は農作物によって異なることから、農家同士で水を売買することを可能する「地下水クレジット」を開発しています。
Nathan Wangusi氏は以下のように述べています。
「ブロックチェーンは、水の採取の可視性を可能にし、透明性と資産を取引する能力を手助けしながら、しっかりと管理します。現在、地下水クレジットを開発しており、これは、ユーザーが権利を持つ水の量を表す資産ベースのトークンです。概念は、環境クレジットと似ています。たとえば、私たちは現在、ブロックチェーンプラットフォームで取引できるトークン化されたクレジットとして、プラスチックリサイクルを使用するプロジェクトを進めています。」
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水を売買する?「地下水クレジット」とは
地下水クレジットとは、農家同士で水を売買する概念です。
この「地下水クレジット」の取り組みは、ブロックチェーンを用いて使うことができる水の使用量を可視化・売買することで水の使用量をコントロールし、地下水が蓄えられている地層「帯水層」に悪影響を与えることなく持続的に水を持続的に供給できるようなシステムです。農家が農作物を作るにあたってあまり水を使わない期間がある場合、ブロックチェーンで使わない水量分のクレジットを別の農家に売買することができます。また、多く水を使う必要がある場合には、追加で水を買うことができるのです。
TFTのFreshwater Fundの理事であるアレックス・ジョンソン氏は以下のように述べた。
「カリフォルニア州とセントラルバレーでは、河川・地下水の状況に最も影響を受けるのは農業です。この問題は、数十年にわたる干ばつによって農業経済に30億ドル以上の影響受けたことで注目されました。その後カリフォルニアは地下水管理法(SGMA)を可決し、これで初めて地下水の採取を規制することにつながりました。しかし、現在、カリフォルニア州は共同財源の共有方法を決定しようと模索しています。 」
地下水管理法SGMAは、地域の地下水供給が持続可能な方法で管理されることを保証する、地元団体の地下水持続可能機関(GSAs)の創設を義務付けました。GSAsは、2040年までに地元の地下水利用を持続可能にするための計画の策定と実施を担当します。
ブロックチェーン技術やAI、IoT技術を組み合わせることで、自然現象による被害も対策を講じることができます。水分量の測定が可能であれば、日本の豪雨による土砂災害に対しても何かしらの対策を講じることができるかもしれません。
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コメント
コメント一覧 (1件)
日本で導入するとなると、1人あたりの水資源量が全国平均の40%以下の香川県が1番最初な気がします。