アフリカの小規模農家を救うための農業保険がブロックチェーンを採用した理由

農業保険イメージ画像

2020年11月15日ドイツの分散型保険会社のEtheriscが、ブロックチェーンテクノロジー企業のChainlinkと提携し、ブロックチェーンベースの農業保険を提供することを明らかにしました。

小規模農家は、気候変動の影響を大きく受けるため、農業保険への加入が不可欠でした。しかし、手ごろな価格の保険がないため、アフリカの南の地域では農業保険に加入している小規模農家は全体の約3%という低い加入率に留まっていました。

従来の農業保険は高額なうえ、保険金支払いの遅延が起きたり、保険金の支払い条件が不透明であったりしたことから、小規模農家の農業保険に対する信頼はほとんどない状態でした。

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目次

ブロックチェーンが小規模農家を気候変動リスクから守る

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Etheriscのブロックチェーンベースの農業保険ソリューションは、気候変動によるリスクから小規模農家を守ります。

ブロックチェーンで構築されたシステムなので、契約に関する情報の透明性が高く、手頃な価格で利用できる農業保険となっています。

Ethereumの農業保険は、Chainlinkの技術提供により、地域の気象情報をデータベース化し、検索可能でパラメトリック手法を用いたものとなっています。

パラメトリック手法:母集団の分布がある特定の分布に従うことがわかっているデータに対して行う検証法

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スマートコントラクトによって保険業務を迅速化

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Chainlinkのブロックチェーンベースの分散型オラクルネットワークは、様々な外部の気象データソースの外部APIをスマートコントラクトを用いて呼び出すことができ、エンドツーエンドで信頼性の高い接続を実現しています。

また、異常気象が発生した場合は、農業保険契約のデータがスマートコントラクトにより自動処理されるため、公平で透明性が高い状態で支払いもリアルタイムに自動で行われます。

具体的には、農業保険加入者の登録場所から半径30マイル以内にある気象観測所で観測されたハリケーンの風速によって保険の支払いが自動で行われることなどが想定されています。

他にも政府機関によって発表された干ばつや洪水等の被害範囲に該当していた場合にも保険支払い対象となります。

Ethereumの農業保険はChainlinkとの提携により、今後3年間で東アフリカの25万人の農家を、気候変動リスクから守るソリューションとなることが期待されています。

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ブロックチェーンによって保険業務の大幅なコスト削減に成功

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気候変動に対する経済活動行うグローバル・イノベーション・ラボのclimatefinancelabとの共同調査では、Etheriscのスマートコントラクト技術を使用することで、保険契約の発行に必要なコストが最大41%削減されることが分かっています。

加えて、従来の保険金支払いまでに3カ月程かかっていた保険金の請求期間も大幅に短縮することが分かりました。

保険業務の大幅なコスト削減によって保険料を抑えることができ、小規模農家にも手頃な価格での保険提供を実現しています。

また、2020年11月15日には、Chainlink Community Grant Program(チェーンリンクコミュニティ助成プログラム)からの支援をEtheriscが受けることができると発表されました。

助成金は、スマートコントラクトの開発やユーザーフレンドリーなUIの構築、地域の決済システムとの統合等技術開発や、気象パターンの研究などに役立てられます。

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まとめ ブロックチェーンが保険の支払いを自動化し、気候変動リスクからアフリカの農家を守る

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今回は、アフリカにおける農業保険の支払いを自動化するブロックチェーンの活用事例を紹介しました。

ブロックチェーンのスマートコントラクトを用いれば、人為的な業務を削減し、保険支払いの自動化を実現させることができます。

保険にブロックチェーンが用いられることは多く、日本ではブロックチェーンを使った実証実験を日本損保保険協会がNECと共同で行うことを発表しています。

コロナ禍において保険会社間の紙による事務処理を無くし、契約業務を効率化する目的があります。

今後も保険業界におけるブロックチェーン活用が増えていくことでしょう。

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