東アフリカの小規模農家を救うブロックチェーンベースの農業保険
Etherisによると小規模農家は小規模農家は気候変動に大きな影響をうけるため、農業保険は必須でした。しかし、手ごろな価格の保険がないため、アフリカの南の地域では農業保険に加入している小規模農家は全体の3%に留まり、加入率が低い状態でした。
従来の農業保険は高額であり、保険金支払いの遅延や、保険金を支払う根拠等が不透明であることから、小規模農家の農業保険に対する信頼はほとんどない状態でした。
Etheriscのブロックチェーンベースの農業保険ソリューション
Etheriscのブロックチェーンベースの農業保険ソリューションは、気候変動によるリスクから小規模農家を守るためのソリューションであり、契約に関する情報の透明性が高く手頃な価格で利用できる農業保険です。
Ethereumによる農業保険は、Chainlinkによる技術提供により、地域の気象情報をデータベース化し検索可能でパラメトリック手法を用いたものとなっています。
(パラメトリック手法:母集団の分布がある特定の分布に従うことがわかっているデータに対して行う検証法)
Chainlinkのブロックチェーンベースの分散型オラクルネットワークは、様々な外部の気象データソースの外部APIをスマートコントラクトを用いて呼び出すことができ、エンドツーエンドで信頼性の高い接続を実現しています。
また、異常気象が発生した場合は、農業保険契約のデータがスマートコントラクトにより自動処理されるため公平で透明性が高い状態で支払いもリアルタイムに自動で行われます。
具体的には、ハリケーンが農業保険登録者の登録場所から半径30マイル以内の気象観測所によって登録された風速によって保険の支払いが自動で行われる等が想定されています。
他にも政府機関によって発表された干ばつや洪水等の被害範囲に該当支払いしていた場合も支払い対象となります。
Chainlinkとの提携により今後3年間における気候変動による影響から東アフリカの25万人の農家を守るためのソリューションとなることが期待されています。
保険契約に掛かるコストの大幅削減に成功
気候変動に対する経済活動行うグローバル・イノベーション・ラボのclimatefinancelabとの共同調査では、Etheriscのスマートコントラクト技術を使用することで、保険契約の発行に必要なコストが最大41%削減されることが分かっています。
加えて、従来の保険金支払いまでに3カ月程かかっていた保険金の請求期間も大幅に短縮することが分かりました。
コストの大幅な削減により保険料を抑えることを可能にし、小規模農家にも手頃と思える価格での提供を実現しています。
また、2020年11月15日には、Chainlink Community Grant Program(チェーンリンクコミュニティ助成プログラム)からの支援をEtheriscが受けることができると発表されました。
助成金は、スマートコントラクトの開発やユーザーフレンドリーなUIの構築、地域の決済システムとの統合等技術開発や、気象パターンの研究などに役立てられます。
保険の支払いにブロックチェーンのスマートコントラクトを用いて、支払いが発生する発動条件と、支払い対象者の条件を設定することで人為的な業務を削減し、支払いの自動化を実現させることができます。
保険にブロックチェーンが用いられることは多く2020年9月17日の日本経済新聞では、ブロックチェーンを使った実証実験を日本損保保険協会がNECと共同で行うことを発表しています。コロナ禍において保険会社間の紙による事務処理を無くすことが目的でした。
今後も保険とブロックチェーンの実証実験やサービス提供は増えていくことが考えられます。