『不動産にブロックチェーンが活用できるの?』
『メリットは?どんな事例があるの?』
ブロックチェーン技術はビットコインなどの暗号資産だけでなく、さまざまな分野に活用されています。特に不動産分野では、紙の契約書が使われたり、仲介手数料が高かったりするため、業務効率を高めて取引コストを削減できるブロックチェーンの活用は大きなメリットが期待できます。
今回は不動産に活用されるブロックチェーンについて解説していきます。
この記事を読めば、ブロックチェーンが不動産に活用される理由やメリットが理解できます。
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不動産取引における課題
不動産取引は古くからある業務であるため、現在においては多くの課題があります。不動産取引における主な課題は以下の5つです。
- 手続きが煩雑
- 取引コストが高い
- 情報に非対称性がある
- 流動性が低い
- 取引のリスクが高い
それぞれを解説します。
手続きが煩雑
不動産取引には、多くの紙の契約書や書類が必要であるため、手続きが煩雑です。不動産取引をオンライン化しようとしても、手続きや審査に紙の書類や押印が必要になるため、DX化が進みにくい分野となっています。
一部でオンライン化も進んでいますが、紙の契約書や書類を使う場面は多く残っています。
取引コストが高い
不動産取引には、信頼できる第三者が仲介者となる場合が多いです。そのため、高額な不動産取引ほど仲介者に支払う手数料が高くなってしまいます。
また、取引業務を行うための人件費や保険料、印紙代などのコストもかかるため、不動産の取引コストは高くなってしまうという課題があります。
情報に非対称性がある
不動産取引に必要な情報は、不動産所有者や不動産管理会社が多くの情報を持つ一方で、顧客は限られた情報にしかアクセスできないという非対称性が存在します。
例えば、設備や施工に不具合がある場合や、事故物件である場合でも、買い手や借り手は正確な情報を知ることができません。こうした情報の非対称性があるため、不動産取引ではよりオープンで公平な情報の取り扱いが求められます。
流動性が低い
不動産は価格が高く、公開されている情報も限られるため、流動性が低いという課題があります。流動性が低いと、取引される物件数が少なくなるため、需給バランスが取れず適正な価格になりにくいです。
また、不動産の流動性が低いと、土地や空き物件の活用が進まず、不動産市場が活性化されないというデメリットもあります。
取引のリスクが高い
不動産は高額であるため、不正や詐欺に遭うリスクも高まります。所有権が移転されなかったり、代金が未払いになったりする可能性があるため、仲介者を挟んだり供託したりしてリスクをしっかりと管理する必要があります。
取引のリスクが高いと、不動産価格の高騰を招いたり流動性が低くなったりするデメリットがあります。
ブロックチェーンが不動産に活用される理由
不動産取引が抱える課題は、ブロックチェーンを活用することで解決できます。ブロックチェーンが不動産に活用される主な理由は以下の5つです。
- 不動産取引が効率化するから
- 取引コストを削減できるから
- 取引の透明性が高まるから
- セキュリティが高まるから
- 不動産投資がしやすくなるから
それぞれを解説します。
不動産取引が効率化するから
ブロックチェーンのスマートコントラクトを活用することで、契約手続きを自動化することができます。スマートコントラクトは取引条件をプログラム化し、自動で契約や決済をする仕組みのことです。
例えば、買い手から資金を預かって、売り手が契約の手続きを行うと、不動産の権利の移転と支払いの実行を同時に行います。
詐欺や代金トラブルを防ぐとともに、プログラム化することで紙書類や手作業での確認作業を大幅に削減できます。
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取引コストを削減できるから
ブロックチェーンを活用することで、不動産取引が効率化すれば、仲介手数料や保険料、印紙代などが削減できる可能性があります。
ブロックチェーンのスマートコントラクトによって、売り手と買い手がお互いの信頼や第三者の仲介を必要としない取引ができるようになれば、信頼性を確保するために必要だったコストが削減できます。
取引コストが削減出来れば、不動産の流動性が高まり、不動産市場を活性化することができます。
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取引の透明性が高まるから
ブロックチェーンを活用することで、不動産取引に関する情報が分散管理されます。関係者に不動産取引に関する情報が公開され、取引の透明性が高まります。
不動産の情報非対称性が改善され、オープンで公正な取引が可能になります。買い手の安心感が増すことで、不動産取引がさらに活発になります。
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セキュリティが高まるから
ブロックチェーンの耐改ざん性によって、セキュリティが高まり、安全に情報を共有できます。
ブロックチェーンの情報は、取引情報が数珠つなぎになっていて、どこかの情報を改ざんしようとすれば、それ以降のデータをすべて書き換える必要があります。また、情報の書き換えには、関係者の過半数以上の承認が必要であるため、不正をしようとしてもすぐに発覚してしまいます。
このような仕組みによって、ブロックチェーンに書き込まれた情報は事実上改ざんが難しく、情報が安全に守られます。
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不動産投資がしやすくなるから
ブロックチェーンを活用することで、不動産をデジタル有価証券(ST:Security Token/セキュリティトークン)にして取引することができます。デジタルの有価証券であれば、小口化して取引しやすくできるため、多くの投資家の資金を集めることができます。
不動産投資がしやすくなれば、不動産の流動化も高まります。不動産市場が活性化することで、不動産の価値も高まり、STの時価総額や不動産投資家に対する配当金が増加する可能性があります。
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ブロックチェーンを不動産に活用した事例
ブロックチェーンを不動産に活用している事例を紹介していきます。
積水ハウス
積水ハウスでは、ブロックチェーン技術を用いた賃貸入居時手続きのワンストップ化を進めています。賃貸物件の内覧、契約手続き、ライフライン契約など、⼊居時の煩雑なプロセスをワンストップ化するサービスです。⼊居者の負担を軽減するとともに、利便性の高いサービスを受けられる環境を整備しています。
積水ハウスの取り組みでは、業種や企業の壁を越えたデータ連携を実現するための「NEXCHAIN」をプラットフォームとして活用しています。コンソーシアム型ブロックチェーンを構築することで、積水ハウスが提供する賃貸物件の入居時に必要な引っ越し手配、電気、ガス、保険などといった複数の契約を一括し、スムーズな入居の実現を目指しています。
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PROPY
アメリカのシリコンバレーに拠点を置くPropy Inc.が提供する不動産取引プラットフォーム『PROPY』では、米国内での不動産売買を容易にしたり、海外からの不動産投資マネーを呼び込んだりするために、ブロックチェーンを活用して不動産のNFT化を行っています。
※NFT(Non-Fungible Token:非代替性トークン)
PROPYは、不動産売買をオンライン化し、不動産の流動性を高めています。PROPYを利用することで、買い手から売り手にオファーを出し、仲介者が取引内容を確認し契約を促します。取引内容が合意できれば、買い手の支払いと売り手の不動産NFTの所有権の移転が同時に行われます。これらがすべてオンライン上で完結するため、広大な米国内はもちろん、海外からも買い手がオファーを出せるようになります。
ブロックチェーンのスマートコントラクトを利用することで、安全で確実な支払いの実行と契約の履行が可能です。不動産契約に多い紙の契約書を無くすとともに、1取引あたり10時間の削減効果を発揮し不動産の迅速な売買が可能となっています。
ブロックチェーンをビジネスに活用するなら?
不動産をはじめとした非金融分野においてもブロックチェーンの活用は活発に進められています。ブロックチェーンは、その耐改ざん性や高い可用性によって、新しいビジネスの可能性を高めます。
しかし、ブロックチェーン開発に特化した国内ベンダーは多くありません。
トレードログ株式会社と株式会社リッカは、ブロックチェーン開発のエキスパートです。ブロックチェーン開発で課題をお持ちの企業様は、ぜひトレードログ株式会社、株式会社リッカにご相談ください。貴社に最適なソリューションをご提案いたします。
株式会社リッカ
まとめ 不動産×ブロックチェーンのメリットや活用事例について
今回は、不動産×ブロックチェーンのメリットや活用事例について解説しました。
ブロックチェーンは不動産分野においても、積極的な活用が進められています。ブロックチェーンを活用することで、不動産の流動性を高め、取引コストを削減し、取引の透明性やセキュリティを高めます。
実際の活用事例として、積水ハウスの賃貸契約のワンストップ化やPROPYによる不動産のNFT化についてもご紹介しました。
このように、ブロックチェーンはさまざまなビジネスシーンにおけるボトルネックを解消する可能性を秘めています。ブロックチェーン活用にご興味のある企業様は、ぜひトレードログ株式会社と株式会社リッカにご相談ください。貴社に最適なソリューションをご提案いたします。
株式会社リッカ
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