近年、IoTという言葉を耳にする機会が増えています。
IoTとは、「Internet of Things」の略称で、あらゆるものがインターネットに繋がることで、様々な情報を取得、活用できるようになることをいいます。
しかし、インターネットに繋がるということは、情報セキュリティの脅威に晒される可能性や、インフラ面での管理が必要になるなど、考慮すべき点が増えることにもなります。
今回は、IoTにおける問題点を改善する方法の1つとして、ブロックチェーン活用のメリットなどを紹介します。
この記事を読むことで、IoTネットワークを構築するうえで必要な知識とブロックチェーンを活用したセキュリティを理解できます。
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IoTとは
IoTとは「Internet of Things」の略称で、家電やデジタルカメラ、機械、センサーなどのモノがインターネット経由で通信することをいいます。例えば、洗濯機をインターネットに繋げた場合、あらかじめ洗濯ものさえ入っていれば、スマホアプリを使って遠隔で洗濯が可能になります。
また、遠隔操作以外にも、医療分野では自宅療養している患者のバイタル情報を医師がリモートで確認可能になるなど、インターネットとモノが繋がることで便利なサービスをたくさん作ることができます。
IoTにおける5つの課題
多くのモノがインターネットに繋がるということは、それに伴うデメリットも存在します。この章では、IoTの主なデメリットについて紹介します。
- 監視やセキュリティ対策が難しい
- インフラ整備や保守にコストがかかる
- 可用性が保ちにくい
- 設定や管理が複雑で、ミスを誘発しやすい
- 不正や改ざんを検知しにくい
それぞれを解説します。
監視やセキュリティ対策が難しい
IoTではセキュリティ管理すべき対象が多数となります。企業に設置されているサーバーであれば、サーバー管理者を立てて管理することでセキュリティ対策をとることができますが、IoTのように個人が持つ者に対して1つずつ管理者を立てることはできません。
これによって、機器のアップデートを個々に委ねることにもなり、ソフトウェアを安全な状態で管理することが難しくなります。
この他にも、独自のOSを利用することによりPC用のウィルス対策ソフトが利用できないことや、IoT機器は最小限のハードウェアリソースしかないため暗号化対策などを後から追加しにくいなどの課題があります。
インフラ整備や保守にコストがかかる
インターネットを通じて情報をやり取りするIoTを活用する場合、インフラ整備は必要不可欠な要素です。
例えば、工場にIoTを導入してセンサーから情報を効率的に取得しようとした際に、工場にインターネットがないというケースもあります。この場合、LANケーブルや無線LANを利用してインターネットを使えるようにしますが、それぞれ以下のような問題があります。
【LANケーブルの場合】
工場内にLANケーブルを配線するため、機材を避けつつ、人の導線を邪魔しないような工夫が必要となる。配線の管理が複雑になったり、断線などのトラブルの可能性も高まったりします。
【無線LANの場合】
大型のプレス機や、高熱の炉などが稼働している工場では、機器から放出されるノイズによって工場内の無線LANの通信が途切れてしまうことがあります。
こういった問題を回避する対応や、保守に大きなコストがかかってしまうことがあります。
可用性が保ちにくい
IoT機器はコストを抑えるために、必要最低限のハードウェアリソースで構成されていることが多いです。
これによって、十分なセキュリティ(アクセス制御や暗号化対策)をとることができず、サイバー攻撃によって機器が使用できなくなる可能性があります。この問題は、ハードウェアリソースを変更することにより対応できる場合もありますが、医療機器のような場合は、認可上機器の変更ができないこともあります。
設定や管理が複雑で、ミスを誘発しやすい
IoTは、開発や監視が難しいといわれています。
その理由として、
- 業界や業務の幅広い知識が求められる
- システムの要件を変更する際にハードウェア側での反映に時間がかかる
- 拠点側の環境によってはデバイスを監視するためのネットワークが切れてしまう
などが挙げられます。
特に知識に関しては、ネットワーク、データベース、セキュリティ、組み込みシステム、運用保守などITのほぼ全ての知識を必要とされます。
不正や改ざんを検知しにくい
PCやスマートフォンなどが攻撃を受けた場合、モニターを通して使用者が何かしらの攻撃を察することができます。
しかし、IoTが攻撃を受けた場合、機器によってはモニターなどがなく、使用者がすぐに確認できないことが多いです。
IoTセキュリティにブロックチェーンを活用する5つのメリット
IoTのさまざまな課題をブロックチェーンが解決できる可能性があります。IoTセキュリティにブロックチェーンを活用する主なメリットは以下の通りです。
- システムが分散化され、可用性が高まる
- 不正やデータ改ざんのリスクが低減できる
- スマートコントラクトによって利便性が高まる
- ネットワークが巨大になっても管理コストを抑えられる
- データ活用にリソースを割くことができる
それぞれを解説します。
システムが分散化され、可用性が高まる
ブロックチェーンは分散型のシステムであるため、様々な人や場所から送られてくる膨大なデータによって特定のサーバーに処理が集中しません。
また、分散して管理するデータはブロックチェーンネットワークに参加しているすべての端末が保有しているため、特定の端末が使用できなくなったとしても他の端末からデータを取得することでシステムとしては正常に稼働させることができます。
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不正やデータ改ざんのリスクが低減できる
ブロックチェーンといえば高い改ざん耐性を持っており、IoTから取得した情報を安全に管理することができます。改ざん耐性を保つための仕組みについては、下記の記事で詳しく解説しておりますので、ぜひ参考にしてください。
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スマートコントラクトによって利便性が高まる
スマートコントラクトとは、あらかじめ決めた条件を満たすことで自動的に契約を行ってくれる仕組みのことです。
この仕組みによって人の手を介さずに契約を履行することができるため、改ざんや不正を防止するだけでなく、取引行為が円滑に行うことができます。
また、このほかにもデバイスのアップデートや、スマートコントラクトを用いた分散的な自動処理によってケーラビリティの確保も出来ます。
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ネットワークが巨大になっても管理コストを抑えられる
中央集権型のシステムの場合、ネットワークが巨大になるにつれてシステムがダウンしないようにするために、より高いスぺックのサーバーを用意、サーバーを分散化させるなどの対応が必要となり、管理コストが重なってしまします。
しかし、ブロックチェーンはもともと分散型のシステムであることから、サーバーを増強したり維持したりするコストが抑えられます。
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データ活用にリソースを割くことができる
ブロックチェーンを活用することでスマートコントラクトによる認証やデバイスのアップデートなどを自動化することが可能なため、管理や運用の手間から解放されます。
データ活用にリソースを割くことができ、新しい価値を創造したり、さらなるコストダウンを実現したりする業務に注力できます。
IoTにおけるブロックチェーン活用が期待される現場
IoTにおけるブロックチェーン活用が期待される現場は多岐にわたります。ここでは代表的な事例として下記の4つをご紹介します。
- 製造
- 物流
- 小売
- 社会インフラ
それぞれを解説します。
製造
製造分野での活用例として、センサーから取得したデータの記録が考えられます。
例えば、製品の検査を行う際にセンサーから取得した値を人力で記録するとなった場合、改ざんすることは容易です。
しかし、IoTで取得した情報をブロックチェーンに自動的に書き込むという構成を作り上げることで改ざんする隙を与えません。
物流
物流分野での活用例として、サプライチェーンの課題解決に繋がるということ期待されます。
例えば、商品を出荷、納品する際にバーコード等をIoT機器で読み取ることによってブロックチェーン上に流通経路を記録することができます。これによって、商品がいつ届いたかなどを確認できます。
従来のDBでも同様の仕組みを作ることは可能ですが、ブロックチェーンは非中央集権で運用することができるため、企業の壁を越えて、現在商品はどのように流通しているか確認することが容易になります。
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小売
小売分野での活躍例として、商品の在庫管理が簡易化できるということで期待されます。
例えば、IoT機器で商品情報を読み取った際にブロックチェーンのスマートコントラクトを利用することで、在庫が一定数を切っている商品を自動的に発注してくれる仕組みを作ることができます。
社会インフラ
社会インフラでの活躍例として、サイバー攻撃を受けた際に単一の障害点がないということで期待されています。
ブロックチェーンは、ネットワークに参加している端末すべてが情報を共有し、お互いに監視しています。これによって、特定の端末が攻撃を受けたとしても他端末が正常なデータを保持しているため、重要な社会インフラがシステムダウンすることを防げます。
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IoTセキュリティにブロックチェーンを活用する際の注意点
IoTセキュリティにブロックチェーンを活用する際の注意点を解説します。
- 基本的なセキュリティの強化
- IoTデバイスの能力不足
- 人材確保やノウハウの蓄積
それぞれを解説します。
基本的なセキュリティの強化
基本的なセキュリティの強化は、IT技術を活用するうえで必須のものとなります。ブロックチェーンは高い改ざん耐性を持っていますが、書き込まれるデータそのものが不正な値だった場合、完全性を保つことはできません。
そのため、データを取得する元となるデバイスのセキュリティの強化は必須となります。
IoTデバイスの能力不足
IoTは必要最低限のハードウェアリソースで構成されていることが多いです。そのため、ソフトウェアの更新を行ってもハードが必要な機能を果たせないこともあります。
適切なIoT機器を選定したり、必要に応じて機器を更新したりする必要があります。
人材確保やノウハウの蓄積
IoTとブロックチェーンを掛け合わせたシステムを作るノウハウに精通した人材を確保することが大切です。しかし、ブロックチェーン技術を利用した開発業務を行える人材やノウハウを十分に持っている企業は少ないのが現状です。
そのため、IoTやブロックチェーンに精通し、業界の事情や業務内容も理解できる開発パートナーを選定することが重要となります。
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【ブロックチェーンのセキュリティ】安全性や弱点、対策を徹底解説
IoTのセキュリティでブロックチェーンを活用するには
ブロックチェーンを活用することで、IoTのセキュリティを高め、業務効率を向上させたいとお考えであれば、トレードログ株式会社と株式会社リッカにご相談ください。
ブロックチェーン開発の豊富な経験を持ち、さまざまな業界の課題を解決した実績があります。会社概要や導入事例は下記よりご確認ください。
株式会社リッカ
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まとめ 【IoTのセキュリティ】ブロックチェーンを活用するメリットと注意点
今回はIoTのセキュリティと、ブロックチェーンを組み合わせたときのメリットをご紹介しました。人材の確保や端末のセキュリティなど、課題は多くありますがIoTは人々の生活に様々なメリットをもたらします。
将来性が期待されるブロックチェーンですが、ブロックチェーン開発には独特のノウハウや注意点があります。ブロックチェーンやスマートコントラクトを活用したシステム開発は、株式会社リッカにご相談ください。
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