印刷されると同時にブロックチェーンに記録される産業用プリンタが登場
Honeywellは2020年8月12日、iTRACE Technologiesと提携し、産業用プリンタにブロックチェーンテクノロジーを融合させ、印刷されたラベルを追跡、検証が可能可能になったと発表しました。
Honeywellは航空宇宙の分野において製品やサービス、建築物や産業用の技術、材料など、業界に特化したソリューションをグローバルに提供しています。iTRACE Technologiesは、2DMI®技術を使った特許取得済みのサプライチェーンセキュリティシステムを持つ開発会社です。
iTRACE Technologies
iTRACE Technologiesの2DMI®技術は、レーザーを使用して、ステンレス鋼、ダイヤモンド、ガラス、さらには布地などのあらゆるモノの表面にマーキングできるサプライチェーンセキュリティシステムです。
この技術を使い、サプライチェーンの流通全体に対して、追跡による安全性と透明性を向上させることに特化しています。サプライチェーンを強化させることは、改竄や盗難、交換詐欺、返品詐欺など流通のトラブルを抑制することができます。
またiTRACEは、サプライチェーン上のブロックチェーンに記録されたデータを、APIを使い、簡単に既存のサービスへ実装することで、トランザクションのレコードデータも新たに開発をしなくても確認できるようにしています。
さらに、2DMI®技術はiTRACEテクノロジーソリューションに組み込まれているため、記録されているデータは暗号化され、偽造を企む人間がデータを読み取ることや、セキュリティを無効化することを防いでいます。また、データはブロックチェーン上に記録されているため、データそのものを改竄させることは不可能となっています。
iTRACEとHoneywell
iTRACEは、2019年12月にもHoneywellのEコマースプラットフォームGoDirect Trad社に対してブロックチェーン技術を提供しています。
iTRACEと認証会社のSecureMarkingが協力し、航空宇宙産業のEコマース市場における偽造品対策として、GoDirect Tradeで売買することのできる部品に対してブロックチェーンテクノロジーが使われました。
Honeywellで生産された航空宇宙部品にiTRACEの2DMI®技術などを使いブロックチェーンに部品についての情報を記録、追跡を可能にすることで、偽造品を抑制し、中古市場も安全にやり取りが行えるEコマースプラットフォームのライフサイクルを実現しました。
産業用プリンタ×ブロックチェーン
2020年8月12日の発表では、Honeywellが提供している産業用プリンタPX940vとiTRACEの2DMI技術が融合し、Honeywell PX940v産業用プリンタで2DMI®の印刷を可能にしました。
2つの技術が融合したことにより印刷と同時に、印刷された製品をブロックチェーンへ登録可能になりました
この産業用プリンタは、追跡したい製品を持つ生産拠点への展開が期待されています。
産業用プリンタによって印刷された製品が直接ブロックチェーンに記録、追跡管理できるようになることで、オンラインによる認証、検証をするためのデジタルツインを作成することが可能となります。そのため、高精度で尚且つ、エラーのない印刷を必要とする輸送・物流、医薬品・ヘルスケア、出荷・流通センター、工業製造、自動車部品サプライヤーなどの業界に、より高レベルのセキュリティを提供することが可能になります。
Honeywellの生産製品事業の代表である Kevin Dehoffは以下のように述べています。
「ブロックチェーンの利用は、サプライチェーン上の不正行為を減らすことができます。そして、消費者やサプライヤーとの信頼関係を高めることを保証する多くの機会を企業に提供します。」
「当社の産業用プリンタで使用されている偽造防止技術の安全な実装は、このような高度なトラックアンドトレースや認証ソリューションの導入が困難なことが多い製造・流通業界に大きな影響を与えるでしょう。」
iTRACEの創設者兼CEOである Mark Manningは以下のように述べています。
「印刷されたラベルの印刷、検証、登録により、ラベルが作成された瞬間からラベルの完全な管理の連鎖が生まれ、この情報は、iTRACEのモバイルアプリを使用してサプライチェーンのどこにいても製品やラベルの認証に使用することができます。」
ブロックチェーンは、刻まれるデータそのものが間違っている場合、ブロックチェーンの持つ対改竄性や透明性が意味を持たなくなる場合があります。HoneywellとiTRACEによる産業用プリンタは、生産された瞬間にブロックチェーンへ刻まれるため、情報の信頼性が非常に高く正確な情報を刻むことが可能となっています。生産現場では今後このようなプロダクトの採用や開発が急速に発展する可能性は非常に高いでしょう。
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