持続可能なパーム油生産のためにブロックチェーンを活用【マレーシアの事例紹介】

パーム油イメージ画像

マレーシアのパーム油評議会(MPOC)とブロックチェーンのスタートアップ企業であるBloomBlocが提携し、パーム油のサプライチェーン全体を追跡可能なブロックチェーンアプリを開発しました。

持続可能なパーム油の製造におけるブロックチェーンの活用として注目を集めています。

目次

パーム油について

パーム油について

パーム油とは、アブラヤシの果実から得られる植物油です。

ピザ、ドーナツ、チョコレート等の食品を作るための原料になったり、消臭剤、シャンプー、歯磨き粉、口紅等の製品にまで幅広く使われています。

パーム油は、42か国で生産されていますが、特にインドネシアとマレーシアが全世界の供給量の85%を占めています。

マレーシアのパーム油評議会(MPOC)は、マレーシアのパーム油とパーム油を使った製品の市場拡大を促進するための団体です。

MPOCは、パーム油の市場統計やレポートの発表、イベント等を行って、マレーシアのパーム油の普及促進を行っています。

パーム油生産が抱える課題

パーム油は様々な製品に使用されており、世界中で多くの需要が生じています。

そのため、マレーシアではパーム油の新しい製造業者と既存の地主たちの間の競争が激化し、急速に森林の伐採が進んでいます。

森林の伐採により熱帯雨林の森が減少し、地球温暖化や熱帯雨林に生息する生態系にまで影響が出ています。

また、パーム油生産者のRadiant Lagoonは、マレーシア、Sarawak州の730ヘクタールの森林破壊に対して環境保護団体から責任を問われました。

同社は、ネスレ、ユニリーバ、モンデリーズ、P&G.などの有名メーカーにパーム油を供給するDouble Dynastyと提携していると伝えられています。

マレーシア政府はMSPO認証制度を設け、生産するパーム油の全てが持続可能になるよう取り組んでいます。森林管理の方法を改善するとともに、森林破壊ゼロに向けたさまざまな活動を促進しています。

2018年9月にマレーシアのマハティール首相が一般討論演説で、持続可能なパーム油の基準を定めたMSPO認定制度について表明し、2019年12月までに基準を満たすよう義務付けました。

 

パーム油生産の課題をブロックチェーンが解決

パーム油生産の課題をブロックチェーンが解決

BloomBlocMPOCと提携して、パーム油に関する情報をブロックチェーンに記録するためのモバイルアプリケーションとWebインターフェイスを開発しました。

ブロックチェーンにはHyperledger Fabricが使用されています。

今回の提携により開発されたアプリケーションでは、ブロックチェーンに保存されたデータに、それぞれの木とその関連情報、収穫された果物、抽出プロセスなどが含まれます。

このブロックチェーンプロジェクトは、マレーシアの持続可能なパーム油(MSPO)認証基準に準拠します。

このプロジェクトにより、生産者は環境問題の取り組みに関する数値を消費者へ示すことができたり、サプライチェーン上のコスト削減などにブロックチェーンで収集記録されたデータを活用できたりします。

 

Bloomblocについて

 

Bloomblocについて

Bloomblocは、VIKNAtech Engineering Sdn. Bhd.(パームオイル精製所、設計およびエンジニアリング等をおこなうマレーシアのコンサルティング会社)とスイスに本拠地のある開発会社Lardi&Partner Consulting提携により設立されたマレーシアの会社です。

Bloomblocは持続可能な農業サプライチェーンを実現するために、ブロックチェーン技術を活用して支援しています。

BloomBlocが実現すること

  • 植物から加工へのパーム油のリアルタイム追跡可能性
  • 持続可能性の追跡と認証プロセスのコスト削減
  • 労働者の状態とプランテーション管理の改善
  • 作物管理データ
  • プランテーションのデジタル目録
  • 持続可能な土地利用計画の方針
  • 腐敗を最小限に抑える-処理、保管、輸送中の温度と湿度の監視

BloomblocはSDGsの目標の達成にも貢献しています。

  • 飢餓に終止符を打ち、食料の安定確保と栄養状態の改善を達成するとともに、持続可能な農業を推進する
  • 気候変動とその影響に立ち向かうため、緊急対策を取る
  • 持続可能な開発に向けて実施手段を強化し、グローバル・パートナーシップを活性化する等

まとめ ブロックチェーンがSDGsを実現する

17のSDGsアイコン

今回はマレーシアのパーム油生産におけるブロックチェーン活用事例を紹介しました。

持続可能な方法で生産されたパーム油であることを証明するために、ブロックチェーンが活用されています。

パーム油の生産を管理しなければ、熱帯雨林の伐採が進み、環境や生態系に大きな問題を引き起こします。また、持続可能な方法で生産しなければ、SDGsの観点から世界中のメーカーや消費者から、マレーシアのパーム油が評価を得られなくなる可能性があります。

耐改ざん性が高く、安全な情報共有を可能にするブロックチェーンは、持続可能な方法で生産されたパーム油であることを証明することができます。

SDGsの関心の高まりとともに、ブロックチェーンの活用も世界中で進んでいくことでしょう。

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

この記事を書いた人

コメント

コメントする

目次