『サプライチェーンに潜むリスクは?』
『ブロックチェーンを活用するメリットは?』
商品や製品を効率的に生産・流通するためのサプライチェーンには、さまざまなリスクが潜んでいます。近年の新型コロナウイルス感染症の拡大や半導体の不足によって、多くのサプライチェーンが減産や稼働停止などの打撃を受けています。
また、サプライチェーンの脆弱性を狙ったサイバー攻撃のリスクも高まっていて、IPA(独立行政法人 情報処理推進機構)がまとめた『情報セキュリティ10大脅威 2022』では、「サプライチェーンの弱点を悪用した攻撃」が前年の第4位からランクアップして第3位の脅威になってきています。
こうしたサプライチェーンのリスク対策として期待が高まっているのが、ブロックチェーン技術です。
今回は、サプライチェーンリスクとブロックチェーンを活用するメリットを解説していきます。
この記事を読めば、サプライチェーンのリスクを理解でき、ブロックチェーンを活用するヒントが掴めます。
株式会社リッカ
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サプライチェーンリスクとは?
経済産業省がまとめた『通商白書2021』によれば、サプライチェーンが影響を受け得る代表的なリスクには以下の4つがあります。
環境的リスク | 自然災害やパンデミックなど |
地政学的リスク | テロや政治的な不安など |
経済的リスク | 経済危機や原料の価格変動など |
技術的リスク | サイバー攻撃やシステム障害など |
サプライチェーンは、商品や製品を生産・流通させるために必要な原材料や部品の調達から、組立、製造、流通、販売、消費に至るまでのプロセスを指します。多くの企業が参加することで、商品や製品を効率的に生産できるほか、グローバル化によってサプライチェーンに参加する国や地域も多様化しています。
生産効率が高まるというメリットがある反面、自然災害やパンデミック、テロ、原材料の高騰などで、サプライチェーンが打撃を受けるケースが増えています。新型コロナウイルスで世界中の物流が混乱したことや半導体不足が原因で自動車などの工業製品全般が減産したことなどは記憶に新しいところです。
また、ロシアによるウクライナ侵攻や米中貿易摩擦などの地政学的なリスクやそれに伴う原材料の高騰も、サプライチェーンによっては大きな影響を受けています。
こうした環境的リスクや地政学的リスク、経済的リスクは、企業やサプライチェーンの努力によって防ぎきることは難しいです。予測も困難であるため、リスク分析や事前に対策を立ておくことも難しい場合が多いでしょう。
一方、技術的リスクであるサイバー攻撃やシステム障害は、企業やサプライチェーンの努力によって、ある程度のリスクヘッジが可能です。技術的リスクからの損害の分析や事前の対策もまったく見通せないということもありません。
つまり、サプライチェーンリスクの中でも技術的リスクは、他のリスクよりも比較的対策がしやすい項目です。それだけに、技術的リスクへの対策が疎かであった場合に被る損害や信頼の失墜は計り知れません。技術的リスクに対する分析をしっかりと行い、適切な対策を講じておくことは、サプライチェーンにおいて非常に重要であると言えるでしょう。
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サプライチェーンの技術的リスクに効果的な対策とは?
サプライチェーンの技術的リスクに効果的な対策のひとつとして挙げられるのが、ブロックチェーンの活用です。
経済産業省がまとめた『通商白書2021』によれば、
デジタル技術の中でも、暗号化されたデータを複数の分散したコンピューター上で管理する「ブロックチェーン」の技術は、ブロックチェーンの持つ耐改ざん性が製品のトレーサビリティ向上や企業間の情報共有の信頼性担保に寄与することに加え、スマートコントラクトや暗号資産といった関連技術の活用への期待、次節で述べるような貿易手続の円滑化等を通じたサプライチェーン効率化など、サプライチェーン上の様々なニーズに貢献することが期待されている。
とされており、ブロックチェーンの活用はサプライチェーンリスクに対する対策として有効であると考えられます。
ブロックチェーンは、暗号化されたデータを一定量になったら箱詰めしてブロック化、前後のブロックをハッシュ値によって数珠つなぎにして、ネットワーク上で分散的に管理します。これにより、不正な改ざんがされることなく安全にデータを共有できる仕組みを作れます。
こうしたブロックチェーンの特性を活かすことで、製品のトレーサビリティを実現したり、サプライチェーンのセキュリティを強化したりできます。ブロックチェーンは暗号資産のやりとりだけでなく、非金融領域におけるビジネス活用が進んでいます。
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サプライチェーンリスクにブロックチェーンを活用するメリット
サプライチェーンにおける技術的リスクの対策に、ブロックチェーンを活用する主なメリットは以下の3つです。
- 透明性と信頼性の向上
- トレーサビリティの向上
- スマートコントラクトの利用
それぞれを解説します。
透明性と信頼性の向上
サプライチェーンリスクにブロックチェーンを活用する主なメリット1つ目は、透明性と信頼性の向上です。
ブロックチェーンは分散型の台帳技術であり、データや取引履歴がネットワーク上で関係者に公開され互いに保持し合います。分散されたデータは、お互いにデータの整合性を確認しあっています。仮に分散されたデータの一部を書き換えられたとしても、他のデータとの整合性が崩れてしまうため、書き換えが承認されることはありません。このような仕組みから不正な改ざんが困難であるため、サプライチェーンにおける情報の透明性が向上し、情報の信頼性が高まります。
例えば、サプライチェーンの一部がサイバー攻撃を受け、ネットワークに侵入した攻撃者がデータを書き換えようとしても、ブロックチェーンに書き込まれたデータを改ざんすることは困難であるため、サプライチェーンリスクが低減されます。
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トレーサビリティの向上
サプライチェーンリスクにブロックチェーンを活用する主なメリット2つ目は、トレーサビリティの向上です。
ブロックチェーンによってサプライチェーン全体で安全に情報を共有できるため、製品や原材料の供給源や移動履歴の追跡が可能になります。これにより、製品の流通経路や品質管理の向上、偽造品や不正の検出などが容易になります。
トレーサビリティを確保することで、サプライチェーン全体が不正な改ざんや外部からの攻撃に耐性を持つことができ、サプライチェーンの技術的リスクに対策を講じられます。
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スマートコントラクトの利用
サプライチェーンリスクにブロックチェーンを活用する主なメリット3つ目は、スマートコントラクトの利用です。
ブロックチェーン上で実行されるスマートコントラクトは、契約や取引条件を自動的に実行・管理するためのプログラムです。これにより、サプライチェーン上の取引や支払いの自動化や効率化が可能となります。
取引や支払いが自動化されることによって、不正な情報の改ざんやハッキングの余地がなくなり、サプライチェーンの技術的リスクに対策を講じられます。
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ブロックチェーン活用の注意点
サプライチェーンにブロックチェーンを活用する際には、主に以下の3点に注意が必要です。
- 基本的なセキュリティ対策は必須
- プログラムのバグやエラーに注意が必要
- 周辺のアプリやネットワークの脆弱性に注意が必要
それぞれを解説します。
基本的なセキュリティ対策は必須
ブロックチェーン活用の注意点1つ目は、基本的なセキュリティ対策は必須であることです。
ブロックチェーンのデータを不正に改ざんすることは困難ではありますが、アクセス権の設定やパスワード管理、ウイルス対策などに不備があると、情報が漏えいしたり、システムへのアクセスができなくなったりする可能性があります。
ブロックチェーン自体が安全なデータ管理手法であっても、基本的なセキュリティ対策は必須です。サプライチェーン全体で、基本的なセキュリティ対策を徹底することが大切です。
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プログラムのバグやエラーに注意が必要
ブロックチェーン活用の注意点2つ目は、プログラムのバグやエラーに注意が必要であることです。
ブロックチェーンのデータを不正に改ざんすることは困難ではありますが、そのデータを参照したり利用したりするプログラムにバグやエラーがあった場合、サプライチェーンにとって大きなリスクとなります。
例えば、スマートコントラクトに記述されたプログラムに誤りがあれば、その誤りが実行され続けることになります。支払いのプログラムであれば、資金がどこかへ流出し続けることにもなりかねません。
ブロックチェーンを活用する際には、プログラムのバグやエラーに注意する必要があります。
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周辺のアプリやネットワークの脆弱性に注意が必要
ブロックチェーン活用の注意点3つ目は、周辺のアプリやネットワークの脆弱性に注意が必要であることです。
ブロックチェーンのデータを不正に改ざんすることは困難ではありますが、サプライチェーン全体で利用しているアプリやネットワークに脆弱性がある場合、情報漏えいや不正アクセスのリスクがあります。
サプライチェーン全体でアプリやネットワークの脆弱性に対策を講じる必要があります。最新のアップデートやパッチの更新を行う、ルーターやIoT機器の設定や更新をしっかりと行うなどの対策は必須です。
サプライチェーンのセキュリティレベルは、サプライチェーン全体の中で最も弱い部分で決定されます。ブロックチェーン周辺で動いているアプリやネットワークの脆弱性を攻撃されないように注意しましょう。
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ビジネスにブロックチェーンを活用するなら
安全にデータを共有し活用できるブロックチェーン技術ですが、しっかりとしたリスク対策や独特の開発ノウハウが必要となります。そのため、ブロックチェーンをビジネスに活用するには、ブロックチェーン開発に精通したベンダーを選定することが大切です。
トレードログ株式会社・株式会社リッカは、ブロックチェーン開発の豊富な経験とソリューションを提供してきたノウハウがあります。
サプライチェーンリスクに課題を感じている企業の方、ブロックチェーンを活用したDXに関心のある方は、トレードログ株式会社・株式会社リッカへご相談ください。
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まとめ サプライチェーンリスクについて
今回は、サプライチェーンリスクとブロックチェーン活用のメリットについて解説しました。
効率的な供給網を構築できるサプライチェーンですが、常にさまざまなリスクに晒されています。特に技術的リスクは、企業努力による対策が可能な部分であるため、対策が疎かであった場合に被る損害や信頼の失墜は計り知れません。
ブロックチェーンはサプライチェーンのリスクを低減する技術として注目されています。ブロックチェーンを活用すれば、関係者間で安全にデータを共有できるため、サプライチェーン全体のDX化が進み、セキュリティも強化されるからです。
しかし、ブロックチェーン開発には独特のノウハウが必要であり、サプライチェーンをリスクから完全に守れるものではありません。そのため、ブロックチェーン開発に精通したベンダーとパートナーを組むことが非常に重要です。
トレードログ株式会社・リッカ株式会社は、ブロックチェーン開発のエキスパートです。サプライチェーンのリスク対策で課題をお持ちの企業の方、ブロックチェーンを活用したDX化に関心をお持ちの方は、トレードログ株式会社・リッカ株式会社までご相談ください。
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