取引記録が改ざんされず、高い信頼性と安全性を担保できるブロックチェーン。ブロックチェーンの活用は、どの程度の市場規模で、今後はどのように拡大していくのでしょうか?
今回は、ブロックチェーンの市場規模と今後について、2024年度における最新情報をまとめました。
この記事を読めば、ブロックチェーンの可能性と今後の未来を垣間見ることができます。
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ブロックチェーンの市場規模と今後について
世界と国内のブロックチェーン市場規模と今後の見通しを確認していきましょう。
世界のブロックチェーン市場規模
現在の世界のブロックチェーン市場規模は、2023年において約106億ドル(およそ1兆5500億円)に至るとされています。これまでもブロックチェーンの市場規模は年々拡大していますが、2030年のブロックチェーン市場規模は4041億ドル(およそ58兆6000億円)になると予測されています。
2023年と比較すると、今後の7年間ほどで38倍ほどの成長が見込まれる計算になります。
参考:ブロックチェーン市場の2030年までの予測 株式会社グローバルインフォメーション
https://www.gii.co.jp/report/smrc1308673-blockchain-market-forecasts-global-analysis-by.html
もともとは世界最初の暗号資産であるビットコインを実現したテクノロジーのひとつであったブロックチェーンですが、現在では暗号資産だけでなく、金融、製造、貿易、医療、ゲーム、アートなどへの活用が広がっています。
ブロックチェーンの耐改ざん性やデータの真正性を活用すれば、各業界に潜在的に存在したものの実現が難しかった課題が解決できる可能性があります。また、低コストで効率的なシステム開発や各業界のDX化の推進も期待できるため、世界的にブロックチェーンの活用が進められています。
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国内のブロックチェーン市場規模
国内のブロックチェーンの市場規模は、2023年で1427億円と見られます。世界の市場規模と比較すると、日本のシェアはおよそ10%程度と推測されます。
参考:ブロックチェーンの今後の動向 2028年までの市場規模をAIで予測 xenoBrain
https://service.xenobrain.jp/forecastresults/market-size/blockchain
日本国内でもさまざまな分野でのブロックチェーン活用が進んでいます。特に日本はアニメやゲームなどのIP産業が盛んですので、こうした分野におけるNFT活用は注目を集めています。
また、日本では「デジタル社会の実現に向けた重点計画」(令和4年6月7日閣議決定)等において「ブロックチェーン技術を基盤とするNFT(非代替性トークン)の利用等のWeb3.0の推進に向けた環境整備」が盛り込まれたことを踏まえ、今後のブロックチェーン活用の検討を行う『Web3.0研究会』がデジタル庁に発足し、さまざまな活動を行っています。
参考:Web3.0研究会 デジタル庁
総務省が発行した令和5年度版「情報通信白書(ICT白書)」では、『新時代に求められる強靱・健全なデータ流通社会の実現に向けて』という特集の中で、ブロックチェーン技術を基盤としたWeb3を「データ流通・活用の新たな潮流」として紹介しています。
参考:情報通信白書 総務省
https://www.soumu.go.jp/johotsusintokei/whitepaper/ja/r05/html/nd131110.html
日本でも注目が増しているブロックチェーン技術。ブロックチェーンはどのような分野でどのような活用が期待されているのでしょうか?次に、ブロックチェーンの主な活用事例を紹介していきます。
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ブロックチェーンの主な活用事例
ブロックチェーンの現在の主な活用事例をご紹介します。ブロックチェーン技術は、その透明性、セキュリティ、不変性の特性を活かして、さまざまな分野で革新的な応用が進んでいます。
NFT(非代替性トークン)
ブロックチェーンの偽造・改ざんが不能であるという特徴を活かし、デジタルデータによって唯一性と真正性を証明するものがNFT(Non-Fungible Token)です。デジタルデータだけでなく、現物資産に対しても、所有者情報やその取引履歴、資産情報などをブロックチェーン上に記録し、デジタル上で取引することが可能となります。
NFTは、アートやゲームなどのクリエイティブな産業での活用が期待されているほか、デジタルで所有や履歴を証明できることから、不動産や美術品、学歴・職歴などにも応用が始まっています。例えば、ゲームで作成したオリジナルのアイテムをNFT化することで、他のユーザーに販売したり、オークションで取引したりすることが可能となります。
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金融サービス
暗号資産の決済や送金ができるブロックチェーンは、国際送金やマイクロペイメントの分野で、低コストかつ迅速な決済手段としての利用が期待されています。ビットコインなどの暗号資産は、銀行口座を持たない人々へも瞬時に送金が可能です。そのため、手数料が割高で送金スピードが遅いSWIFTに変わる国際送金プラットフォームとして活用され始めています。
例えば、一般的な国際送金では着金までに1週間程度かかる場合もありますが、ビットコインであれば理論上は10分程度で送金することが可能となります。また、暗号資産を活用した分散型金融(De-Fi)では、暗号資産同士の交換を低コストかつ自動で行うことができたり、暗号資産の流動性を高めるためのステーキングサービスなどで報酬が得られたりします。
ただし、De-Fiは非常に便利な仕組みではありますが、マネーロンダリングや詐欺などに注意が必要です。また、暗号資産はボラティリティが激しいため、急激な価格変動によって大きな損失を被ったり、多額の課税が発生したりするリスクもあります。
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サプライチェーン管理
デジタル上に記録したデータを、改ざん不可能な状態で関係者間で共有できるブロックチェーンは、サプライチェーンの管理での活用も拡がっています。
製品の生産から消費者に届くまでの全過程をブロックチェーンに記録すれば、製品の透明性を高めることができます。ブランド品の真贋証明や食品の安全性がブロックチェーンで瞬時に確認でき、消費者に安心と信頼を与えられます。サプライチェーンの情報が瞬時に確認できれば、過剰在庫や供給不足による損失を低減することも可能です。また、不正な原材料の混入や偽造品の流通も監視できるため、製品に関する事故や訴訟が発生するリスクを低減できます。
例えば、児童労働などの不正な搾取によって作られた原材料が混入することをブロックチェーンによって監視できれば、サプライチェーン全体の信頼性を高めることができます。また、ブロックチェーンによってサプライチェーンの透明性が担保され、不正な原材料の混入を撲滅できれば、児童労働などの不正な搾取を根絶することも期待できます。
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デジタルアイデンティティ(DI)
ブロックチェーンを利用することで、個人情報の安全な管理と、本人確認プロセスの効率化が期待できます。例えば、ユーザーが自身のデータに対するアクセス権をコントロールできるようになり、プライバシー保護が強化されます。
これまでは個人の情報や個人が作成したデータは、中央サーバーを管理するプラットフォーマーに委ねられていました。利便性が高まるというメリットがある一方、プラットフォーマーにデータを監視されたり、アカウントを消されたりするリスクもはらんでいます。
一方、ブロックチェーンによって個人情報を個人が管理できれば、自身の情報をどのように提供するかを自身で判断できます。また、氏名や住所などの個人情報を公開しなくても、自分の趣味や経歴などのアイデンティティを元に、信頼性の高いコミュニケーションが可能になります。
例えば、デジタルアイデンティティを使ってメタバース上でさまざまな人と交流し、ビジネスを拡大するきっかけを作ったり、共通の趣味で繋がるコミュニティを世界中の人々と楽しんだりすることもできます。
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ヘルスケア
ブロックチェーンを活用すれば、患者データの管理にも革新が起きます。患者の医療記録をブロックチェーンに保存すれば、データを安全に管理でき、個人の権利を侵害することなく、横断的で効率的な情報共有が可能になります。
例えば、診断画像や投薬のデータを世界中で共有できれば、完治が難しい病気の治療法を見つけられたり、新薬の開発スピードを劇的に早められる可能性があります。また、未知の新型ウイルスが世界中で流行するような事態が起こっても、ブロックチェーンでウイルスに関する情報を瞬時にかつ安全に共有できれば、ワクチン開発が迅速化されて終息を早められる可能性もあります。
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エネルギー
ブロックチェーン上でエネルギーの消費量や発電量をリアルタイムに監視できれば、省エネや脱炭素化を促進できる可能性があります。ブロックチェーンによってエネルギーのトレーサビリティが実現できるため、再エネ由来の電力を優先的に使用し、温暖化ガスの排出量が多い石油由来の電力消費を減らすことも可能になります。
また、カーボンクレジットをブロックチェーン上で取引できるようになれば、不正や改ざんのリスクを低減でき、脱炭素化への取り組みに関する透明性や信頼性をアピールできます。
ただし、ブロックチェーンのコンセンサスアルゴリズムの1つであるPoW(プルーフ・オブ・ワーク)を使う場合、ブロックチェーンネットワークが消費する電力が増大し、結果的に温暖化ガスの排出を増やしてしまう可能性があります。こうした事態を避けるためには、電力消費が少ないPoS(プルーフ・オブ・ステーク)をコンセンサスアルゴリズムに採用するブロックチェーンを利用したり、関係者間のみでネットワークを構成するコンソーシアムブロックチェーンを利用したりする必要があります。
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ブロックチェーン活用の注意点
ブロックチェーンをビジネスに活用するためには、主に以下の3点に注意する必要があります。
- ブロックチェーンのメリットを理解する
- ブロックチェーンのデメリットを理解する
- 信頼できるパートナーを選定する
それぞれを解説します。
ブロックチェーンのメリットを理解する
ブロックチェーンの最大のメリットは、その透明性と改ざんの困難さです。分散型台帳技術として、ブロックチェーンは取引記録をネットワーク全体で共有し、一度記録されたデータは後から変更することが非常に困難です。
これにより、データの信頼性が高まり、ビジネスプロセスの透明性が向上します。また、中央集権的な管理者が不要になるため、運用コストの削減や効率化も期待できます。
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ブロックチェーンのデメリットを理解する
一方で、ブロックチェーンにはいくつかのデメリットも存在します。例えば、PoW(プルーフ・オブ・ワーク)を使用するブロックチェーンは大量のエネルギーを消費する可能性があります。また、ブロックチェーンの技術は複雑であり、適切な専門知識が必要です。
さらに、ブロックチェーンはデータの追加は容易ですが、一度記録されたデータの削除や変更は非常に困難であるため、誤った情報が記録されると修正が難しいという問題もあります。
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信頼できるパートナーを選定する
ブロックチェーン技術をビジネスに導入する際には、信頼できる技術パートナーの選定が重要です。適切なパートナーは、ブロックチェーンの導入と運用における技術的な課題を解決するだけでなく、ビジネスのニーズに合わせたカスタマイズや、将来的な拡張性についてもサポートできるからです。また、セキュリティやプライバシー保護の観点からも、信頼性の高いパートナー選びは不可欠です。
ブロックチェーンのビジネス活用は、株式会社リッカにご相談ください。豊富なシステム開発実績とさまざまな業界へのソリューション経験があるため、貴社に最適なご提案が可能です。
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まとめ ブロックチェーンの市場規模と今後について
今回は、ブロックチェーンの市場規模と今後について解説しました。
ブロックチェーンの世界の市場規模は、2023年で106億ドルとされていますが、7年後の2030年ごろには約38倍の4041億ドルになると予測されています。
ブロックチェーン技術は、その特性を活かして、今後も多くの業界で革新的な応用が進むことが期待されています。これらの活用事例は、ブロックチェーンがもたらす可能性の一端を示しており、新たなビジネスモデルの創出や社会的課題の解決に貢献することが期待されます。
ブロックチェーンの進化は、ビジネスプロセスの効率化だけでなく、社会全体の透明性と信頼性の向上にも寄与するでしょう。
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