世界有数の海運会社であるMediterranean Shipping Company S.A.(MSC)は、ブロックチェーンベースのプラットフォームであるWAVE BLを活用したパイロットテストを成功させ、世界中の顧客に対して電子船荷証券(eBL)の導入を可能にしたと、2021年4月28日にPRNewswireにて発表しました。
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貿易を円滑化させるブロックチェーンベースのeBL
eBLとは、電子化された船荷証券(electronic Bills of Lading)の略です。船荷証券は今まで、紙の書類をベースとしたものが主流でした。
MSCは、2019年以降、一部の国でパイロットプロジェクトを成功させた後、世界中の顧客に対してeBLを普及させようとしています。さらには、柔軟に市場の要求に適応するために、他のeBLプラットフォームも検討しています。
WAVE BLとは
WAVE BLは、分散型台帳技術を用いたブロックチェーンベースのシステムです。
貨物の出荷予約に関わるすべての関係者が、安全な分散型ネットワークを通じてデジタル文書の発行、転送、承認、管理等を行うことができます。
発行される文書は原本として暗号化され、ピアツーピアで交換・送信することができます。
WAVE BLの利用に関しては、ユーザーに支払が発生するタイミングは、書類の原本を発行する費用のみとなり、サービスを利用するためにITインフラへの投資や運用の変更は必要ありません。
WAVE BLの通信プロトコルは、海上賠償責任保険を提供する、International Group of Protection & Indemnity Clubsから承認を受けており、セキュリティとプライバシーに関する業界最高水準の基準を満たしています。
MSCのグローバル・チーフ・デジタル&インフォメーション・オフィサーであるAndré Simhaは、次のように述べています。
「MSCがWAVE BLを採用したのは、海運・貨物輸送業界が慣れ親しんだ従来の紙ベースのプロセスを反映した唯一のソリューションだからです。」
eBLへ移行することの重要性
標準化を通じて海運業界の相互運用性を推進する非営利団体であるDigital Container Shipping Associationによる調査では、2030年までにわずか50%のeBL導入を達成するだけで、海運業界は年間40億米ドル以上の節約ができる可能性があるとされています。
eBLは大幅なコスト削減だけではなく、デジタル上で文書のやり取りを行うため、従来の取引から国境を超えて書類を輸送するという行為を排除することができます。
さらにeBLを取り入れることで、支払いも簡易化、所要期間を短縮化することも可能であり、荷主の様々な負担を軽減します。
その他にも、eBLをブロックチェーンベースで構築することで、耐改ざん性やスマートコントラクトという特徴により、文書の偽造、取引に置ける詐欺行為、紙による文書の紛失、取引における人為的なミス等のリスクを軽減することができます。
COVID-19による世界的感染拡大の影響下では、eBLとして、書類を電子化、取引をプラットフォーム上で完結させるようにすることで、従業員のリモートワークを可能にし、COVID-19による影響でも、遅延の発生しない状況を維持することにつながります。
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最後に
eBLをブロックチェーンを使って構築するパイロットテストは各地で行われ始めています。
以前紹介したeBLについての事例はこちら
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今回は、パイロットテストが成功し、実用化に向けた取り組みについての発表でした。
国際基準でブロックチェーンベースのeBLが構築、運用されることは、貿易取引全体を円滑にすることに繋がります。
国内においても、eBLのような国際基準に準拠したプラットフォームが構築されることで海外との貿易が円滑化する可能性を秘めています。
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