【スマートコントラクト事例】商業用不動産のリース業務をブロックチェーンで高速化

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オーストラリアの4大銀行のうち3行が、商業用不動産リースの処理時間をブロックチェーンを用いたLygonプラットフォームを活用し、商業用不動産リースの処理時間を短縮できると発表しました。

Lygonプラットフォームは、ANZ(オーストラリア・ニュージーランド銀行)、CBA(オーストラリア・コモンウェルス銀行)、Westpac(ウエストパック銀行)、そしてIBM、ショッピングセンター運営のScentre Group(センター・グループ)の5つの設立メンバーからなるコンソーシアムによって開発されました。

このプラットフォームは、銀行保証プロセスを合理化するために、ブロックチェーンを活用した事例です。

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目次

商業用不動産リースにブロックチェーンを導入した理由

商業用不動産リースにブロックチェーンを導入した理由

海外でのビジネス取引において、Bank Guarantees(銀行保証)がよく利用されます。しかし、銀行保証を締結するまでには、紙ベースでの業務フローだったため、長い時間を要しました。また、紙ベースのやりとりのため不正のリスクもありました。そのため、紙ベースの業務プロセスからデジタルプロセスへの移行、堅牢性のある仕組みの導入が課題でした。

これまで銀行保証の発行にかかる時間は1ヶ月ほどでした。しかし、Lygonプラットフォームを活用することで、当日~数日で銀行保証の発行が可能になります。

Lygonプラットフォームは、単一企業への利益でなく、ステークホルダー全員へ利益を提供することが可能です。

また、デジタルプロセスに移行することで、詐欺のリスクを軽減することもできます。ビジネスに必要なプライバシーを守りつつ、ブロックチェーンテクノロジーを活用することで、透明性とセキュリティを向上させます。

Bank Guarantees(銀行保証)とは

Bank Guarantees(銀行保証)とは

Bank Guarantees(銀行保証)とは、債権者と債務者の取引において、その信用を銀行が保証するサービスです。

海外旅行や海外取引がある人は耳にしたことがあるかもしれませんが、日本では、馴染みのない言葉ですね。身近な例としては、家を借りるときの保証会社をイメージしていただくとわかりやすいです。

家を貸すオーナー(貸主)と家を借りる人(借主)が賃貸契約を締結する際に、貸主は家賃回収リスクを鑑みて、保証人の用意、ないしは家賃保証の会社の利用を求めることが一般的です。

借主は保証会社へ保証料を支払うことで、保証人を用立てしなくても、賃貸契約を結ぶことができます。貸主は、借主が家賃未納の場合は保証会社より補填してもらうことができ、キャッシュフローが安定するというメリットがあります。

海外にはその保証を銀行が行う「Bank Guarantees(銀行保証)」という仕組みがあります。

銀行保証のイメージは下記のとおりです。(キャッシュの流れは参考であり、実際のキャッシュの流れは違う場合もあります)

この銀行保証の仕組みの利点は、銀行が保証してくれるため、債権者は債権回収リスクを最小化できることです。また、債務者も銀行の信用を借りることができるため、銀行保証がないと取引に応じてくれないような相手先とも取引を行えるようになります。

銀行保証は、ビジネス拡大をサポートする1つの方法として活用されています。

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ブロックチェーンがビジネススピードを拡大する

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銀行保証(Bank Guarantees)は、ビジネスにおいてWin-Winの関係を作り出せる仕組みですが、銀行保証発行までに時間がかかることが課題でした。

また、紙ベースの業務プロセスであり、デジタル化へ向けた課題もありました。ブロックチェーンを活用したLygonプラットフォームはこれらの課題を一手に解決します。

Lygonプラットフォームの活用によって、銀行保証を発行する時間を大幅に短縮することが可能です。

また、銀行においては事務工数の削減ができ、債務者側はビジネススピードを拡大することが可能となります。加えて、ステークホルダー全員がブロックチェーンに刻まれたデータを確認でき、より強固な非否認性を確保できます。

※非否認性:書類や契約の内容を否認することができない証拠力のこと。

不動産業界とブロックチェーンの最新活用事例

不動産業界とブロックチェーンの最新活用事例

ブロックチェーンテクノロジー会社であるMediciLand Governance(MLG)は、リベリアのモンロビア市でブロックチェーンを使用した土地管理パイロットプロジェクトを開始したことを2021年2月18日に発表しました。

このパイロットプロジェクトは、リベリア土地局(LLA)および財務開発計画省(MFDP)と協力して、最大1,000の住宅用地区画の土地の権利を区分して文書化を行い、リベリアの土地所有者の権利を正式に認識および記録するための体系的な土地所有権のシステム及び、土地管理システムを合理化させるものです。MediciLand Governanceは、2020年にも土地管理のソリューションについて発表を行っています。

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まとめ ブロックチェーンがあらゆる業界の課題を解決する

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今回のLygonプラットフォームは、企業単一の課題解決を目的としたソリューションではなく、不動産業界全体の課題解決のためのソリューションであり、グローバル開発におけるマイルストーンといえます。

COVID-19による世界的な感染拡大により、国内においてもリモートワークが急速に普及し電子契約サービスも増加しております。脱はんこやペーパーレスの動きをはじめとしたDX化の動きは、ますます活発化しています。

しかし、FAXや紙の契約書が使われている現場もまだ見られるなど、デジタル化に向けては多くの課題もあります。

LygonプラットフォームのようなブロックチェーンでDX化された仕組みがあれば、日本でもブロックチェーンの活用がもっと進んでいくことが予想されます。

ブロックチェーンを活用してビジネスを拡大するためのスピーディな支援体制、中小企業の信用補助を構築できる未来が実現できれば、中小企業が行っているビジネスをプラットフォームで支えることが可能です。

ブロックチェーンの活用は、日本の中小企業の活気にも繋がっていきます。

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