ブロックチェーンのスマートコントラクトを使って航空会社と石油会社の取引を自動化
2021年3月1日に、ロシアの垂直統合型石油会社Gazprom Neftは、自社の航空燃料事業者であるGazpromneft Aeroが、ブロックチェーンベースのデジタルスマート燃料システムを100便以上の定期便でパイロットテストを行いました。
デジタルスマート燃料システムのブロックチェーンスマートコントラクトを活用し、24時間年中無休で燃料に対する即時支払いを可能にします。
デジタルスマート燃料システムを使うことで石油事業者と航空会社は従来の前払い販売取引方式や銀行へ保証に関する申請を行う必要がなくなるため、取引に関するコストが削減され、取引スピードの向上に貢献することが期待されています。
デジタルスマート燃料システムを使ったパイロットテストで事業者は、航空機に燃料を補給するために、給油の申請、支払、会計に関する書類のやり取りを全てをタブレット端末の専用アプリケーションを介して行います。
銀行は、航空機への給油が完了するまで、航空会社の口座から必要な金額を自動的に保留にします。給油が完了すると、保留となっていた金額が即座にGazpromneft Aeroの銀行口座に送金されます。給油が完了した申請や支払いなどの取引データは、デジタル文章化され、ブロックチェーン上に保存され、プロジェクトに参加している企業が利用ができるようになります。
また、デジタルスマート燃料システムに保存されたデータは、航空会社の電子フライトバッグやデジタル航空燃料会計システムなどと同期しており、デジタルスマート燃料システムを使うことで、給油と航空情報に関するやり取りのプロセスが完全に自動化されます。
このシステムにより、即時決済を可能にし、従来4~5日かかっていた支払処理時間を15秒に短縮することができます。
すでにデジタルスマート燃料システムは、定期便100便以上に利用されており、航空会社のSmartavia、モスクワのメガバンクであるVTB銀行などはムルマンスク国際空港で行われているプロジェクトのパートナー企業となっています。
電子フライトバッグ
航空機に持ち込む関係書類などが電子化されたものであり、操縦マニュアルや航空図を参照できるもの。
Gazprom Neftの物流・加工・販売担当副CEOAnatoly Cherner氏は次のように述べています。
「バリューチェーン全体に沿ったデジタルソリューションの開発と実装は、当社の戦略的優先事項の一つです。最先端の技術を適用することで、生産と輸送の効率を高め、顧客サービスを強化し、顧客への石油製品の納期を保証することができます。航空燃料補給プロセスへのブロックチェーン技術の統合に成功したことは、当社にとって非常に重要な事例の1つとなりました。当社の新しいデジタルスマート燃料システムは、パートナーとの取引プロセスを容易にし、現在のマクロ経済状況において非常に重要な相互決済の財務的安全性を高めました。このシステムは、業界全体にスケールアップする可能性が高いと考えています。」
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